令和元年台風 19 号により、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げますとともに、
被災地の一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

即位礼正殿の儀の日に皇居の上に美しい虹がかかったり・・

即位礼正殿の儀の日に皇居の上に美しい虹がかかったり、富士山に雲が取り巻き初冠雪と素敵な自然現象が起きたそうですね。私は、科学も大好きですが、こういう自然のエネルギーや目に見えない力も大好きです。劇場に関わっているとこういうことはなぜか敏感に感じますよね。

本番を週に8回、それを1年以上続けるときは、その日の気持ちを自分の中のエネルギーに合わせた方が楽しめて、良いパフォーマンスが出来ます。
もちろん、作品が持っているエネルギーや役で表現しないといけない基本レベルは、ウォーミングアップや今までのリハーサルで準備できている上でのことですが。

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『キャッツ』小指を骨折しても踊ったことのあるビクトリア

自分が良いパフォーマンスをしたな、と思うのと、「うーん?」 という日のパフォーマンスは外から見るとそんなに変化が分からないそうです。
終演後、リハーサル・ディレクターから「気づかなかった」や「良かったよ!」など言われるので、自分が思っていることだけなのでしょうか。
ダンサーに怪我はつきもの。といいますが、私はラッキーで怪我は少ない方でした。もちろん1か月ほど踊れなくなる捻挫をしたことはありますが、1〜2回ぐらいだと思います。

腰痛で立てなく1ヶ月ほど『キャッツ』を休んだこともあります。このように、立てない、歩けない怪我だと、どうしようもないので休んで治療しますが、なんとか無理すれば出演できる怪我や病気の時の判断が一番難しいですよね。小指が骨折した時は、支える金属を病院で付けてもらい、『キャッツ』の舞台にたっていましたね。リフトは小指に負担をかけないように相手のダンサーの方々にも気を使ってもらい、案外大丈夫でした。

マシューのカンパニーでは、理学療法士の方がいるので、その方の判断で決まります。出演して欲しいとカンパニーが思ったり、ダンサーが出たい。出られる。と思っていても療法士の判断で決まります。 私も首のディスクがずれた時に、療法士に1日に2回から3回治療してもらいながらリハをずっと見ていていました。カンパニーがロンドン公演には私が出られるように、して欲しい。と療法士に伝えたので、それなら、最初の地方公演は出させない方が良い。となり、リハを見ながら動かず振りを覚えていました。とにかく、ロンドン公演までに治るように必死に休みました。

その後、『くるみ割り人形』でも首が痛くなったので、途中で休むことになり、治療のためだけに療法士がいる劇場に行きました。その時にもう一人怪我で休んでいた女性がいて、彼女は、この休んでいる時にパソコンの資格を取ったりしていました。これは日本人の私には思いつきませんでしたね。私が休んでいる時は他のキャストが私のために休みがなくなるので申し訳ないな、と思っていたので。
まさかその時期を利用して他の資格を取るなど! 思いつきませんでした。 怪我した箇所に支障がないのなら、どうせ舞台に出られないので、良い気分転換にもなるし、これは良いアイデアだな、とそれからは参考にすることにしましたが。

この『くるみ割り人形』の時から、私は両親指の巻き爪が痛かったのですが、舞台が始まる前に治療してもらい、舞台は休まず、ずっと数年間我慢して出演していました。同じ巻き爪になった男性ダンサーは、「痛い」という理由で休み、しかも手術もしました。もちろん公演中の治療費はカンパニーが出します。

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『カーマン』衣装の用意されたヒールが巻き爪に痛いので、衣装さんとデパートに一緒に行き、デザイン的によくて私の爪も大丈夫なヒールを選んでもらいました。デザイナーがダンスシューズではない、この作品の時代にあったデザインにこだわっていたので。

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巻き爪手術後

私は、やっと1ヶ月休める今年の9月に日本で手術をしました。20年近く待って、自費で! カンパニーのケリーと話していたのですが、私たち女性は、休むのが嫌で痛いのを我慢して出演していたけど、男性陣は考え方が違います! 痛くなったら我慢せず、カンパニーが払ってくれる間に治療してしまおうと休むのですよね・・・もちろん全員ではないのですがほとんどです。歯の治療、それもインプラントをした男性ダンサーたちも数名いました。 今、思うとあんなに痛かった巻き爪を我慢して出演せず、思いっきり休んで手術して貰えば良かった。カンパニーが支払ってくれたのに・・・男性陣は賢いな。と思います(笑)アメリカの保険は高く、フリーランスだと加入できないので、特にそう思うのかもしれませんが。でも、どう考えても若い頃の私にはそれは出来ませんでした。

ケリーが、今の若いマシューのカンパニーメンバーたちは「セカンドプランを持っている」と言っていました。私たちの時のように、ずっとカンパニーで出演していたい、と思うだけでなく、「ある年齢になったら、踊れなくなったら、カンパニーからオファーが来なくなったら、次はこの仕事をする」というプランをもう持っているそうです。まだカンパニーと最初の仕事をし始めたばかりでも! ケリーと「賢いね。」と思わず言ってしまいました。私たちがレギュラーで出演していた時は、考えもしませんでした。

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ケリー、スワンレイクダンサーズ

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カンパニーでは、フィジオの方のトレーニングクラスがあります。『眠りの森の美女』の時

結婚や、ある程度の年齢に来て、初めて「次はどうしよう」と考えます。イギリスはこういうダンサーたちを助けたい。と「ライフコーチ」という仕事が10年前ぐらいから出てきました。次のステップをどうすれば良いか一緒に話しながら探すみたいです。マシューのカンパニーでメインをずっとされていたイサベルという方もこのライフコーチの資格を取り、ダンサーたちを助けているみたいです。 ノーザン・バレエ団などは、10年以上カンパニーで働くと、スカラシップを貰えて次の資格を取れる学校に行かせてくれるそうです。ダンサーだった方が次の仕事として、衣装を学んだりしているそうです。

マシューのカンパニーは、ミュージカルと同じでプロダクションなので、そういうサポートを国からはもらえません。 それで、最近独自で次の仕事のための勉強することをサポートするように始めるみたいです。『スワンレイク』に出ていたダンサーたちも2月に長い2年ほどのツアーが終わり、次の仕事までの間に、ピラティスを学びたい。ジムのインストラクターになりたいので資格を取りたい。などと希望を伝えている人もいるそうです。良かったですね。

私も舞台に出演するよりもコンテンポラリーやミュージカルの振付、指導、マシューのカンパニーのワークショップや前座公演振付などが多くなり、第3? 第4の人生をどうするか考えています。というか、振付の仕事をもっとしたいので、どんどんアメリカもですが、日本にもアピールするつもりです。まずは、そのためのWEBサイト作りの準備をしています。きちんと、自分の作品をダイレクトするためにも、ディレクターになる学校にも行きたいな・・・とも思っています。 この振付に関してはまた書きます!

話は怪我に戻しますが、怪我は神様からの贈り物。とも言います。怪我をして初めて健康のありがたみ、また一度立ち止まって自分を見つめ直す時間をもらえます。これは、なかなか自分で保とうとしても忙しい毎日を送っていると難しいので、上手に時間を使いましょうね。

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

福岡シティ川添バレエ学苑、三ノ上万由美バレエスタジオでバレエを黒田バレエスクールにてコンテンポラリーダンスを学ぶ。
15歳で劇団四季に合格し、ミュージカルで活躍後、英国マシュー・ボーンのニュー・アドヴェンチャーズに日本人で初めて入団。『くるみ割り人形』では主役クララを演じ、『エドワード・シザーハンズ』『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)『白鳥の湖』『ザ・カー・マン』『眠りの森の美女』に出演。
現在は、マシュー・ボーンのインターナショナルツアーの「前座公演」振付、指導を担当。『ドリアン・グレイ』日本公演のリハーサルアシスタントも経験した。また、振付家としてN.Yの全米No.1のミュージカル『フェーム』のモデルにもなったラガーディア芸術高校で『サウンド・オブ・ミュージック』や芝居の振付で活躍中。ピッツバーグ大学の『Zanna Don't!』振付やコンテンポラリーのコンクール作品振付では、N.YのHariyama Balletの2名のダンサー達が銀賞を受賞。
ブロードウェイミュージカルを学ぶN.Y のプログラム「ブロードウェイ・エクスペリエンス」(TBE)のアシスタント・ディレクター。N.YのHariyama Ballet、ジョフリーバレエでコンテンポラリー、シアターダンスを指導、カーネギー・メロン大学、プリンストン大学など 全米、日本でワークショップを開催している。
チャコットのウエブマガジンDance Cubeに「私の踊りある記」連載中。
その他出演作品は『王様と私 』(ロイヤルアルバートホール)、 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』、スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』。 オーストリア、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどのコンテンポラリー作品。
Twitter @mamitomotani
踊りある記 https://www.chacott-jp.com/news/column/usa/
TBE https://www.thebroadwayexperience.com/tokyo

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