Youth America Grand Prix (YAGP)のニューヨーク大会のために...

Youth America Grand Prix (YAGP)のニューヨーク大会のために、ニューヨークにある針山バレエスクールの生徒たちに振付をしました。

同じ作品で生徒の一人、森重淳さん(14歳)が、ブルックリンで行われたバレエコンクール「ジュエルズフェスティバル」でコンテンポラリー3位を取りました! バレエでもジュニア部門技術賞を取り、「ユース・アメリカ・グランプリ」のニューヨーク 大会では、コンテンポラリー部門トップ12に入賞しました!
もう一人の生徒もフルア・レアミユさん(11歳)がプリバレエコンクール部門でバレエとコンテンポラリーを踊りトップ12でした!
今回は、コンテンポラリーは踊らなかったのですが、ジャズの生徒、神谷里咲さんがプリバレエコンクール部門でバレエを二つ踊り2位でした!
皆さん、よく頑張りました!

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森重 淳

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森重 淳

私も初めてニューヨーク大会を見学しました。特にプリバレエコンクール部門の年齢が若い子たちのコンテンポラリーはどんな感じなのかな? と振付をしている時に思ったので、見られてよかったです。
私が、振付をする時に、その子の良さが出るようにと選曲からして子供らしさが出るようにもしました。
だって、かわいい子供なので大人の演技をしなくても良いのでは、と思ったのです。ところが、大人のミニチュアのようなコンテンポラリーの衣装、音楽でたくさんの子供たちが踊っていました。
見ていて、痛々しかったです。まだ子供なのに、大人になって理解できるような作品を踊らせれている、ように見えました。
もちろん、二人ぐらいは、子供でもその大人の作品を見事に理解して表現している子もいました。凄いですね! 
曲は、ほとんどが綺麗なコンテンポラリーによく使用される曲が多く、4名いらした審査委員の方たちは同じ感じの曲や作品が続いて、見るのが辛いだろうな。と思ってしまいました。
明るい曲で子供らしい踊りだったのは、私の振付と他に一人ぐらいだったので、かなり他と違ったので印象に残る感じでした。

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フルア・レアミユ

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フルア・レアミユ

アメリカの大きなテレビ会社もニュースのために来ていて、他と全然違う、子供らしさが出ていたレアミユの作品を流していて、インタヴューも受けていました。
そうでしょね、でないと何も知らない一般人たちは、なんかアメリカのビューティーコンテストのように、大人の格好し、踊りをしたコンテストに見えるので。それほど子供らしい作品はありませんでした。これがコンテンポラリーのコンクールでは普通なのでしょうかね? 私は初めてだったのでびっくりしましたが。
テクニックもアクロバットが多く、アクロバットが入っていないといけないのかな? と思うぐらいです。
オリンピックの新体操の床の技を見ている感じでした。
これは、ダンスのわからない生徒さんのお父様も言われていました。「ほとんどがオリンピックの床体操みたいでしたね。」と。
私も、思わず針山先生に「サーカスかアクロバットを指導できる先生を呼んでいくつか技を習わないと賞に入らないのですかね?」と聞きました。

YAGP は、踊りを間違っても、転んでもその子の将来性を見るから賞に入れると聞いていて、それはさすがだな。と思いました。
ポワントも11歳以下は無理して履かなくて良い、となりました。骨がまだできていないことや、無理したことで怪我をしやすい体になる可能性もあるなどが理由です。こういうのは、本当に時代が変わったな、と思います。良い方向に、子供たちを守ることになり、やはり歴史の長いバレエだけあって、変化していくことはさすがと思います。

多分、このままコンテンポラリーも床技が多く、「踊る」より、「テクニックを見える動き」が多くなると、規制も将来出てくるような感じがします。
ニューヨーク大会は、それだけどうやってこの技を練習したのだろう? マットレスが必要だな、というのが多かったので。怪我しそうな、それこそ支える筋肉もまだできていないので、骨に負担をかける動きもありました。
でも、床の動きはあってもアクロバットのような技がなかった私の生徒も、衣装の羽がかわいい、など審査委員からのフィードバックもあり、素敵に踊ったバレエと総合で入賞したので、アクロバットがなくても良いんだな、ちゃんとその子を見てくれているな、と安心しました。審査委員の方たちはテレビでもその子の将来性を見ている、と言っていました。なので、その子らしさが出るように、持っているものを出せるように今後も振付していこう、と思いました。

ジュニアの方は流石です! 作品を理解している子も多く、技よりも踊っている子たちが多く、見ていて気持ちがよかったです。
私の生徒もフィードバックで、踊るときのエネルギーなど褒められていました。4人中3人が90点以上を出していたので生徒のパフォーマンスが審査委員に届いた感じです。「楽しんで、気持ちの切り替え、ストーリーを伝えてね」と踊る前に言いましたが、本人もとても楽しんだようです。この作品は昨年から踊っていて、体に入っているので、表現までできてよかったと思います。
バレエと一緒でコンテンポラリーをコンクールのためにだけ踊っても無理があり、やはり日頃からレッスンをして、体の使い方、重心の置き方の違いや、想像なども入れて練習しておくと、生徒さんが不安なまま、あるいは賞を取ることだけを考えず、楽しんで踊れると思います。
私もとても勉強になりました。今後の依頼が来た時のために、まずは曲探しを含めて、良いなと思ったアイデアはノートに書き留めています。
コンクール参加された皆様、大変お疲れ様でした。

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YAGP終了後のハリヤマ・バレエ・スクール-チーム

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

福岡シティ川添バレエ学苑、三ノ上万由美バレエスタジオでバレエを黒田バレエスクールにてコンテンポラリーダンスを学ぶ。
15歳で劇団四季に合格し、ミュージカルで活躍後、英国マシュー・ボーンのニュー・アドヴェンチャーズに日本人で初めて入団。『くるみ割り人形』では主役クララを演じ、『エドワード・シザーハンズ』『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)『白鳥の湖』『ザ・カー・マン』『眠りの森の美女』に出演。
現在は、マシュー・ボーンのインターナショナルツアーの「前座公演」振付、指導を担当。『ドリアン・グレイ』日本公演のリハーサルアシスタントも経験した。また、振付家としてN.Yの全米No.1のミュージカル『フェーム』のモデルにもなったラガーディア芸術高校で『サウンド・オブ・ミュージック』や芝居の振付で活躍中。ピッツバーグ大学の『Zanna Don't!』振付やコンテンポラリーのコンクール作品振付では、N.YのHariyama Balletの2名のダンサー達が銀賞を受賞。
ブロードウェイミュージカルを学ぶN.Y のプログラム「ブロードウェイ・エクスペリエンス」(TBE)のアシスタント・ディレクター。N.YのHariyama Ballet、ジョフリーバレエでコンテンポラリー、シアターダンスを指導、カーネギー・メロン大学、プリンストン大学など 全米、日本でワークショップを開催している。
チャコットのウエブマガジンDance Cubeに「私の踊りある記」連載中。
その他出演作品は『王様と私 』(ロイヤルアルバートホール)、 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』、スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』。 オーストリア、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどのコンテンポラリー作品。
Twitter @mamitomotani
踊りある記 https://www.chacott-jp.com/news/column/usa/
TBE https://www.thebroadwayexperience.com/tokyo

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