マシュー・ボーンのシンデレラ「In Our Shoes」という新しい形式のワークショップをLAでしました!

いつもの前座公演のワークショップは『シンデレラ』などマシューの公演のチケットを購入したお客さんの前で踊りますので、照明付きでかなり緊張感があり、踊れる生徒さん、将来プロのダンサーになりたい生徒さんたちが受けられます。衣装は、黒のレギンスに用意されたT-シャツです。

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それに比べると「In Our Shoes」のワークショップはとっても親しみやすくて良かったです!
まず、2日間のワークショップで成り立っています。
1日目はウォーミングアップで始まり、マシューのメソッドの演技やインプロのゲームなど、数時間ですぐ作品のリハーサルに入ります。
この新しいワークショップは、皆で一緒に作っていく感じです。音楽も自由です。しかも長さもできるところまでなので生徒さんにも「終わらせないといけない。覚えて練習しないといけない」などの時間のプッレシャーがありません。
そして2日目に短いリハーサルをして、その後、本番で使用している大劇場のセットの中で踊りますが、照明なしで普通の練習着でリハーサルみたいな感じです。
観る人は、カンパニーメンバーと劇場関係の方たちだけでとてもリラックスしたアットホームな感じです。なので、ダンスも初級の生徒さんでも大丈夫です。
この「In Our Shoes」の発表以外に、バックステージツアーをします。早替えの場所や小道具を見て、本番はどんな感じで行われているかなど説明があります。
そして、カンパニーメンバーと質疑応答があり、最後に一緒に舞台で写真を撮ります。
マシューの公演の主催者側が(アメリカは劇場の教育部門の方)仕切っているので、その方が最後に生徒さんたちに感想を書いてもらっていました。

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「In Our Shoes」での感想は、「ダンスが楽しくなった」「舞台で踊るまでには大変な努力が必要と分かった」「自分のダンスをもっと知ることができた」「少しだけプロのダンサーに必要なことを経験できた」「裸足で踊るのは大変だったけどとても楽しかった」「自分ができることをもっとプッシュできた」「忍耐、根気が必要と分かった。大変だけど諦めずに続けると結果が出たり、何か得るのが分かった」などなどです。
アメリカの劇場は、どこも教育部門があり、DCでもたくさんいろいろな企画を地元の学校80校ぐらいと提携されています。
LAも何百校と提携していろいろなワークショップをされているそうです。今回私たちは、2週間、「In Our Shoes」以外にルークと12校周り、1クラス90分のワークショップで228名の生徒さんを指導しました!

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視聴障害の生徒さん達とのワークショップです。振動が感じられるのでルークがドラム担当しました。

演劇部、ダンス部、コーラス部などもあり、ダンスを全然したことがない子にもワークショップをしました。少しでも表現することの楽しさ、物語の中で踊るには、そのために歴史や資料を調べてそこから動きができることなど学んでもらい、最後には劇場に行って生で舞台を観る楽しさを経験してもらうためです。視聴覚障害を持っている生徒さんの学校にも行きました。とっても感情表現が大きく、指導したダンスを太鼓の振動で踊ってくれましたが素晴らしくて私たちが感動してウルウルしました。
LAは、数名の劇場のパトロンさんが全部劇場を借りきる費用を出して、このワークショップをした12校以外に27校(合計39校)の1408名を「シンデレラ」のマチネ公演に招待されていました。
その後にキャストの質疑応答があったのですが、とにかくほとんどの子が劇場に来るのが初めて、ダンスを見るのが初めてなのに、たくさん質問をしたそうです!

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生徒達からの感謝のカードて

IMG_0644下記はNew-Adventures-の教育部門のスッタッフとです。.jpg

New-Adventures-の教育部門のスッタッフと

この選ばれる学校は毎年変えているそうです。そして事前に学校の生徒にアンケートを配って、観る前から興味をもたせていました。例えば「あなたにとってのシンデレラは誰?」
これには、「私のおばあちゃん。癌と一生懸命戦っているから一番強い女性」「親友、彼女は私が落ち込んでいる時も良い時もいつも輝いた光の様に一緒にいてくれるか。」「私自身、いじめられているけどそれに戦っているから」「おじいちゃん、怪我をしても家族を養ったから」などなどです。

この質問に対する答えだけでも、どれだけ子供たちは自由に意見を言えて発想できるか! すごいですよね!!
これは学校の教育が常に自分の意見を言えること。どんな当たり前の質問でも「そうね、それは良い質問ね。では例えばこれはそう思う?」と講師陣が質問の引き出しを増やす指導をしているからだと思います。

マシューもこのスクールマチネが大好きだと言っていました! 何せ反応がすごいのです!! シーンの途中でダンサーたちに音が聞こえないぐらいの拍手や笑いで凄いそうです。また、大人のお客さんがあまり反応しないメインではないアンサンブルの演技に全員が反応するのでとても面白いそうです。

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劇場のロビーです。どんなイベント、活動しているかお客様が見れます

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劇場も、こういう活動をロビーに写真で説明しています。お客さんとの一体感ができ、普通に劇場をサポートしよう。と思える環境ですよね。日本もこういう劇場が増えると良いですね。あと、パトロンさんも!

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インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

福岡シティ川添バレエ学苑、三ノ上万由美バレエスタジオでバレエを黒田バレエスクールにてコンテンポラリーダンスを学ぶ。
15歳で劇団四季に合格し、ミュージカルで活躍後、英国マシュー・ボーンのニュー・アドヴェンチャーズに日本人で初めて入団。『くるみ割り人形』では主役クララを演じ、『エドワード・シザーハンズ』『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)『白鳥の湖』『ザ・カー・マン』『眠りの森の美女』に出演。
現在は、マシュー・ボーンのインターナショナルツアーの「前座公演」振付、指導を担当。『ドリアン・グレイ』日本公演のリハーサルアシスタントも経験した。また、振付家としてN.Yの全米No.1のミュージカル『フェーム』のモデルにもなったラガーディア芸術高校で『サウンド・オブ・ミュージック』や芝居の振付で活躍中。ピッツバーグ大学の『Zanna Don't!』振付やコンテンポラリーのコンクール作品振付では、N.YのHariyama Balletの2名のダンサー達が銀賞を受賞。
ブロードウェイミュージカルを学ぶN.Y のプログラム「ブロードウェイ・エクスペリエンス」(TBE)のアシスタント・ディレクター。N.YのHariyama Ballet、ジョフリーバレエでコンテンポラリー、シアターダンスを指導、カーネギー・メロン大学、プリンストン大学など 全米、日本でワークショップを開催している。
チャコットのウエブマガジンDance Cubeに「私の踊りある記」連載中。
その他出演作品は『王様と私 』(ロイヤルアルバートホール)、 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』、スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』。 オーストリア、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどのコンテンポラリー作品。
Twitter @mamitomotani
踊りある記 https://www.chacott-jp.com/news/column/usa/
TBE https://www.thebroadwayexperience.com/tokyo

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