明けましておめでとうございます!

2019年もどうぞよろしくお願いします。
ワシントンDCでオープンしたミュージカル『ビートルジュース』、私はこの映画が大好きです! だからミュージカルにしないでほしいな・・・「ハリー・ポッター」のようにお芝居になれば良いのに、と思いました。でも劇場に観に来るお客さんもこの映画に出てくるキャラクターたちの格好やビートルジュースの衣装、黒白のシマシマのドレスを着てたり、と始まる前からワクワクさせてもらいました!

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とにかく最初からビートルジュースのジョークの連発で会場は大笑いです! そんなことも言うの! と言うぐらいテレビでは放映禁止用語や神に対してのジョークが炸裂です。後で聞くと、プレヴューでは子供連れの方や信者の方たちは途中で出て行く時もあったそうです。

さすがにオープニングナイトに出て行く家族連れはいませんでしたが、私の隣に座っていた白人の男性二人は全然笑っていませんでした! 思わず「クリスチャンなのかな?」と思いましたが。

演じている主演の男性は、アンドリュー・ロイドウエーバーの『スクール・オブ・ロック』でトニー主演男優賞にノミネートされたAlex Brightmanです。彼は素晴らしかったです! お客さんとの間の取り方、コメディのセンス、彼のビートルジュースが作品をリードしていました!

また、リディアのお父さんと一緒に家に住みだすデリア役の女性の面白いこと! 出てくるだけで何が起こるのだろうと観客も彼女が話し出す前から笑顔で待っている感じです。
リディア役は映画のゴシックな感じより、ティーンエイジャーで反抗期という感じになっていて、お父さんと娘との関係が一つの軸としてありました。

歌がポップス歌手のようで私は好きではなかったのですが、TBEのディレクター、ベンは良かった。と言っていたので人それぞれですね。

アンサンブルは大忙しです! 早替えもたくさんあり、新しい劇場用のシーンではそれぞれぞれに役割があり皆さん多才です。
観客は、映画と同じキャラクターが出てくるたびに大喜びで大拍手をしていました。あの有名な「バナナボート」の音楽のシーンでは、私も「来た!」と思い、全観客が思わず身を乗り出した感じでした。
振付は多分、映画のは使えないのでしょうね。このシーンに出ている役の人数が映画とは違うのですが、それなりに面白かったです!

春からブロードウェイでオープンします。このDCのテスト期間の観客の反応など見てまたいろいろと変更されるのでしょうね。楽しみです。

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最後に、私が振付けましたラグアーディア芸術高校の『The Sound of Music』大成功で幕を閉じました!
オーケストラも、セットを作り動かしているのも全員高校生です!
ほとんどがヴォーカル科と演技科の生徒さんで二人だけダンス科の生徒さんでしたが、ヴィネナワルツのシーンも素敵に踊っていました!

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何よりも嬉しいことに10回公演が満席で毎日50名ほどのキャンセル待ちが出たそうです!!
すごいな。と思ったのはナチスのマークを腕に付けている役を学校の校長が見て、外すように決めました。すると生徒たちが私たちスタッフ以上に「事実を伝えないといけない」「このミュージカルではナチスを支持しているのではなく、大勢の国民が流れに沿って生きていけば大丈夫だろう。というのをトラップ大佐は自分の意見を堂々と言って実行する。これは強い立場の人や国と意見が違う時も、怖がらず意見が言える。テロに屈しない。というメッセージが入っている」と高校生の組合メンバーがリードして話し合い、校長先生に直訴しました。

すぐにたくさんの生徒たちが親に電話をし、数時間後には保護者の方が学校に来て、校長先生とミィーティングをし、なんとマスコミまで電話をして訴えた結果、校長先生もナチスのマークを腕にする代わりにSSのマークでいく。となりました。
さすが、ニューヨークの高校生ですね。それを見守っていたプロのスタッフたちが「君たちこそ未来のパーフォーマンス。」と涙ぐみながら言っていました。

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第二次世界大戦に入る前のオーストリアの話ですが、怖いことに現在のアメリカも強いパワー、権力に飲み込まれそうだと、全員思っているからこそ、この物語のメッセージを伝えたい。と生徒たちが感じたからです。
千秋楽では、生徒全員から真心のこもったメッセージをもらい、「ダンスが苦手な自分にダンスの楽しさを教えてくれてありがとうございます」「まみ先生は、物語を伝える動きを難しく指導せず、簡単だよ。と面白く指導してくれた結果、いつの間にか踊れている自分にびっくりした」などたくさん学んでくれたことがわかりとても嬉しかったです。
この子たちは、芸術を支えていくでしょうね、どの道に進んでも。

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インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

福岡シティ川添バレエ学苑、三ノ上万由美バレエスタジオでバレエを黒田バレエスクールにてコンテンポラリーダンスを学ぶ。
15歳で劇団四季に合格し、ミュージカルで活躍後、英国マシュー・ボーンのニュー・アドヴェンチャーズに日本人で初めて入団。『くるみ割り人形』では主役クララを演じ、『エドワード・シザーハンズ』『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)『白鳥の湖』『ザ・カー・マン』『眠りの森の美女』に出演。
現在は、マシュー・ボーンのインターナショナルツアーの「前座公演」振付、指導を担当。『ドリアン・グレイ』日本公演のリハーサルアシスタントも経験した。また、振付家としてN.Yの全米No.1のミュージカル『フェーム』のモデルにもなったラガーディア芸術高校で『サウンド・オブ・ミュージック』や芝居の振付で活躍中。ピッツバーグ大学の『Zanna Don't!』振付やコンテンポラリーのコンクール作品振付では、N.YのHariyama Balletの2名のダンサー達が銀賞を受賞。
ブロードウェイミュージカルを学ぶN.Y のプログラム「ブロードウェイ・エクスペリエンス」(TBE)のアシスタント・ディレクター。N.YのHariyama Ballet、ジョフリーバレエでコンテンポラリー、シアターダンスを指導、カーネギー・メロン大学、プリンストン大学など 全米、日本でワークショップを開催している。
チャコットのウエブマガジンDance Cubeに「私の踊りある記」連載中。
その他出演作品は『王様と私 』(ロイヤルアルバートホール)、 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』、スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』。 オーストリア、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどのコンテンポラリー作品。
Twitter @mamitomotani
踊りある記 https://www.chacott-jp.com/news/column/usa/
TBE https://www.thebroadwayexperience.com/tokyo

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