全米No1のラガーディア芸術高校の一番大きなイベントミュージカル公演『サウンドミュージック』のリハーサルが始まりました!
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- コラム 友谷真実
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最初は台本読みから、音取りなどに始まり、私の振付を指導する番はまだ後ですが、ダンスが始まるシーンのブロッキング(演出家が芝居、バレエ、映画、あるいはオペラのパフォーマンスを容易にするために舞台上での俳優の正確な動きやポジショニング、を指すこと。注:ウィキペディアより)には参加しています。
演出家もこの子はこのポジションで次の踊り出しに良い?、と聞いてくるので私がリハに入る時に変更しなくて良いですし、その前のシーンが見られると新たなアイデアが湧いたりとしてとても良いです。
演出家とは「ディズニーみたいにならないようにしよう。」と話しています。マリアとトラップ大佐の踊りも美しく、二人の気持ちが見えて観客がドキドキするように、ナチスのシーンでもどれだけ恐ろしいことが始まっているかなど、深みがでるよう話し合いました。
音楽監督とも、どのアレンジが良いか話しています。私はアレンジに関しては知識があまりないので、音楽監督からこのヴァージョンと、もう一つこちらもあるけど?と言われるとそれを元に決めたり、またはリハ中に私から「次のフレーズに入る前にこの4カウント足してください。」「マリアたちは、もう少し遊ぶ感じで、出だしは綺麗に歌うより、いろいろと面白い声を出して欲しいのだけど」とお願いすると、私のアイデアの中でできる限りのことをしてくれます。
また、私がキャストに振り写しをしている時に演出家が「この子たち、ベットに寝るこういうポーズは?」と、音楽監督も「ここはチビソロにして、マリアではなく子供たちにあげるのは? 誰が歌うか真実が決めて」とアイデアをもらう時もあり、一緒にクリエイトしている感じで楽しいです。
もちろん、時々は「そのアイデアは後で入れているから、今はしたくない」などと伝える時もあります。最終判断は演出家がします。
振付している時に、「枕を4つ欲しいのだけど」「ベットの下に男の子たちは入れる?」など舞台演出助手の生徒たちに聞きます。彼女たちもしっかりしていて「まだ作り出していないから可能です」など答えて、希望を大道具や小道具の生徒たちに伝えてくれます。
演出家も私の振りを見て演出助手たちに「ベットのフットカバーはなしにしよう。真実の振りで子供たちが登りやすくするために。」など伝えてくれます。
そうなんです。さすが、全米No1の芸術高校! 演出家、音楽監督、振付家はプロですが、セットも小道具も生徒たちがプロの指導で作ります。オーケストラも生徒たちです。このオーケストラはブロードウェイより良い!と、評判がいつも高いです。スタッフたちもプロの下で生徒たちが担当し学びます。
世界中からこの高校に入りたいと、母親と子供だけでニューヨークに引越ししてきてオーディションを受けたりする家族もたくさんいます。父親と兄弟は自分の国に住んでいるので、家族の協力が必要です。公立高校なのでニューヨークに住んでいないと入学できません。
私もいろいろと調べますが、台本を読むと様々なアイデアが突然沸きます。音楽を聴いてたり、ふとバスの中でなどで:)以前バスの中で思いつき頭の中で振付けたナンバーが一番良かったりした時もありました。:)
ワインを飲みながらも良いですねー!(#^.^#)
アシスタント(Lukasz Zieba)の振りを作っている時
後は、自分がその役を演じるつもりで台本を読み、音を聞いているとまた違うアイデアも沸きます。今回も映画や他のプロダクションではないシーンを有名なナンバーの中に少し入れる振りをしました。演出家もOKなので、11月の通し稽古でどんなになるか楽しみです。
今日も『レントラー』のダンスシーンのために、このダンスを指導してくださる先生にプライベートクラスを受けました。アシスタントになってくれる男性と90分習い、他にもどんなステップがあるかなど教えてもらい、最後にはウイナ・ワルツも習いました。あとは、私がアシスタントの男性と他にどういうことができるかリハーサルし、作り上げていく感じです。
クリエティブな仕事は楽しいですね。お家で料理をクリエイティブしたり、模様替えしたりも同じですね。:)
インタビュー & コラム
友谷 真実 Mami Tomotani
福岡シティ川添バレエ学苑、三ノ上万由美バレエスタジオでバレエを黒田バレエスクールにてコンテンポラリーダンスを学ぶ。
15歳で劇団四季に合格し、ミュージカルで活躍後、英国マシュー・ボーンのニュー・アドヴェンチャーズに日本人で初めて入団。『くるみ割り人形』では主役クララを演じ、『エドワード・シザーハンズ』『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)『白鳥の湖』『ザ・カー・マン』『眠りの森の美女』に出演。
現在は、マシュー・ボーンのインターナショナルツアーの「前座公演」振付、指導を担当。『ドリアン・グレイ』日本公演のリハーサルアシスタントも経験した。また、振付家としてN.Yの全米No.1のミュージカル『フェーム』のモデルにもなったラガーディア芸術高校で『サウンド・オブ・ミュージック』や芝居の振付で活躍中。ピッツバーグ大学の『Zanna Don't!』振付やコンテンポラリーのコンクール作品振付では、N.YのHariyama Balletの2名のダンサー達が銀賞を受賞。
ブロードウェイミュージカルを学ぶN.Y のプログラム「ブロードウェイ・エクスペリエンス」(TBE)のアシスタント・ディレクター。N.YのHariyama Ballet、ジョフリーバレエでコンテンポラリー、シアターダンスを指導、カーネギー・メロン大学、プリンストン大学など 全米、日本でワークショップを開催している。
チャコットのウエブマガジンDance Cubeに「私の踊りある記」連載中。
その他出演作品は『王様と私 』(ロイヤルアルバートホール)、 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』、スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』。 オーストリア、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどのコンテンポラリー作品。
Twitter @mamitomotani
踊りある記 https://www.chacott-jp.com/news/column/usa/
TBE https://www.thebroadwayexperience.com/tokyo