マッジ役のカツラを着けてもらっていました。

 ロンドンでテロが起こった時は、開演1時間前で私はマッジ役のカツラを着けてもらっていました。 隣に来たアダムが「地下鉄が止まっているらしい、停電みたいだけど、1カ所だけではないみたいだ。」と、話していました。
 ロンドンの地下鉄やバスは冷房がほとんどついていないので、止まっただけでサウナ状態になるのを思い出しながら、みんなで大変だね。停電になったのもテロでなければいいね。と話していました。
本番直前、出演者が袖にいるときに「どうもテロで爆弾らしい。」という情報が入ってきましたが、カンパニーマネージャーのチャールズが連絡を取っているから心配せずに。と言われました。

 正直言って皆も情報が乏しいのであまり実感がなく、普通に本番をしたのを覚えています。犠牲者の方がいませんように。 と私も思いましたが、あまり考えると作品に影響がくるので、気にしないようにしていました。
 終演後、ファイナルパーティーがありましたが、主催者側の配慮で全員、家族、友人に連絡を取ってから始まりました。 最初、パーティーを中止にしましょうか? と言われたそうですが、マシューのカンパニー関係者が全員無事なのを確認して、 アソシエイト・ディレクターのエタが「自分たちの生活までテロリストの影響を受けるようになってはいけない。 どんなに混乱、動揺しようと、そのまま続けるのがイギリス人」「人生は短いのだから、きちんと、今回の公演を祝わないと」と言って、そのままパーティーを楽しみました。

 フラットメイトのマチリアス(Random dance company)も、ロンドンで普通にリハーサルをしていて、地下鉄関係で遅れて来たダンサー達に聞いて初めて知ったそうです。 ディレクターのウエンから、今日は終わりにして帰りなさい。と途中で言われたそうです。
 いつかは、テロが起こるだろうな。となんとなく思っていましたが、イギリスの警察は優秀なので、今までは事前で食い止められていましたが、今回は本当に残念ながら起こってしまいました。

 千秋楽の夜にエタとウイルと3人でバーに飲みに行きましたが、偶然そこにロイヤル・バレエのダンサーの方たちが何人かいて、ウイルの友人でもあったので、みんなでテロの話をしました。 私もずっと、隣にいたダンサーと話をし、後でエタに彼らは有名なダンサーだよ。と言われましたが、テロの話のことでいっぱいで、彼らが有名なことはどうでもよかったのですが、リアン ベンジャミンさんたちだったそうです。(笑)

 ヒースロー空港から帰りに、爆破があったバスの所を見ましたが、大きなビニールでカバーされていて、楽しかった日本公演から急に現実に帰った感じでした。 特に爆破のあった30番のバスは、私は時々ですが、フラットメイトはよく使うバスだったので、今、思うととても怖いです。 マチリアスも無事を確認する友人からのメールや電話にお互い、長々と話した。 と言っていますし、私のメールにも、ロンドンからたくさんの返事がすぐ来たので、本当にみんな、心細く、コミュニケーションを必要にしていたみたいです。

 さて、この夏は
マチリアスのカンパニー「Random」がニューヨークのリンカーンセンター内のNew York State Theater で公演があるので、私はそれを観るのもかねて7月19日からホリデーでニューヨークに行きます。 この時期にアメリカに行くのは不安ですが、今は、日本も含めてどこも危険なので、もう、楽しむしかない。と割り切って行ってきます。

 みなさんも不審な人やものを見たら、すぐに報告するなど、小さな出来ることから気をつけて、コミュニケーションを大切に。

 世界中の平和を祈りながら。

インタビュー & コラム

tomotani.jpg

友谷 真実 Mami Tomotani

マーサ・グラハム・サマースクール、劇団四季研究所、川副バレエスクールでダンスを学ぶ。
★主な出演作品:
ニュー・アドべンチュアーズ『くるみ割り人形』(クララ、キューピット役ほか)、『白鳥の湖』、『カーマン』、『エドワード・シザーハンズ』(ペグ 役ほか)、『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどの作品(オース トリア)、 アルティ・ブヨウ・フェスティバル(京都)、ベノルト・マンブレイの振付作;スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』; 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』など
★TV/映画:『くるみ割り人形』(BBC)他。
★振付作品:『just feel it?以・真・伝・心』個人のプロローグ(02年);アルティ・ブヨウ・フェスティバル(98年)、他。
http://ameblo.jp/mami-tomotani/

ページの先頭へ戻る