暑中お見舞い申し上げます。

夏休み前に、リ・ボーン(マシュー・ボーンのNew Adventuresの作品を使ってのワークショップです。)のワークショップを福岡の演劇学校の生徒さんとしました。受講生の年齢は8歳〜17歳で3人の男の子に22人の女の子たちで合計25名でした!
始めにマシュー・ボーンの作品を説明し、パンフレットも見せて、その日に使う作品の説明をしました。演劇学校の生徒さんなのでダンスはレベルにバラツキがあるとのことでしたので、演技が主な『シザーハンズ』を選びました。主役のジョニー・デップさんなどが公演を観に来てくれたエピソードなどを話しながら、彼の『シザーハンズ』(映画)を見たことがある人と聞くと、誰も見たことがありませんでした!! やはり年齢の違いですね。みんな、ジョニー・デップの『チャーリーとチョコレート工場』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』などは見たそうです。是非、これを機会に昔の作品『シザーハンズ』も見てほしいですね!

Photo:Mami Tomotani

舞台では 瞬発力、また集中力そして色々なことを同時に見て、考えて判断しなければなりません。まずは、そのための必要なことを訓練するゲームをしました。
最初は恥ずかしがっている子もいましたが、スピードをあげないといけないので、それについていけるかな? と思っていましたがさすが若い子供たちです! すぐにのみ込み、出来なかった時、なぜ判断を間違えたかも良く解っているようでした。その後、軽いウォーミングアップを30分だけし、ダンスの経験がない子たちはリズムやダンスの動きをなんとかこなし、これまたビックリしましたが『シザーハンズ』に実際使われている振りを教えたらすぐに覚えてしまいました!

さー、ここからがこのワークショップの本番ですが、みんなに想像力を使ってもらいます。4人一組でどんな家族か決めてもらい、それぞれの役名、年齢、性格を決めてもらいました。これは、つぎに創るジェスチャーのために必要なのですが、そこまで悩まなくても、と思うぐらい特に役名を決められない子が多かったです。親しみが湧けば適当で良いのですが・・・・
これは外国の英語の先生たちも良く言っていました。「日本人はまじめに考え過ぎ」と。今日は現在進行形(ing)のレッスンだから、今から何をする? とか今夜は何を食べるつもり? と聞くと日本人は決まって答えにつまるそうです。というのも真剣にこれから何をするのだった? 今夜は何を食べよう? と考えるからで、先生たちは勝手に想像して作り話で良いのに。メインは現在進行形を使うためなのだから。

Photo:Mami Tomotani

どうも私たちは正直すぎて、すぐに課題を使って作り話が出来ないみたいです。これは、ダンスのオーディションでも時々必要になります。特に最近はバレエ団でもコンテンポラリー作品をするので、その振付家が来た時のワークショップでインプロバイゼーション(即興)がある時もうまく出来ないようです。そういう時はすぐに想像力を働かせると他に色々とアイデアが生まれてきます。

今回も、名前をつけるのにそうとう時間がかかりましたが(30分かかった子もいました!)ジャクソン・ファミリーなどもあり、無事に家族構成まで創り、そこから朝の起きた時から寝るまでのジェスチャー(行動)を4つ決めてもらいました。お国によって違うな。と思ったのは、(イギリスではこの動きを個人で創りだします。)いくら「それぞれの役でまずは創ってみて」と言っても、家族構成をグループで考えているからなのか、「私が起こすから、あなたが起きて」、「私があっちに行くからあなたはこっちに」など一緒に考えだします。私は、「例えば1、起きる。2、歯を磨く。3、洋服を着る。4、靴を履く。など個人のキャラクターで決めて、4つシンプルにジェスチャーを創って」と説明しましたが、どうも、いきなり作品のように形にしてしまいたいみたいです。個々別々に創るという発想にいかないのは、日本人だからでしょうか。(笑) あるいは先生が言ったことから先を読むことが得意なのか。(笑)

Photo:Mami Tomotani

また、いきなり起きるという動作を踊りのようにバク転をした子もいました。これは、私がもっと普段の動き、リアルティーのある動きを。と説明しないといけないな。と学びました。
とにかく、積極的な子供たちで助かりました! 少し、アイデアなどに詰まっているグループは私が助けに行くと素直に聞いてくれました。次のステップでは、そのジェスチャーにターンやジャンプなど入れてもらいました。(はい、ここで起きるという動作にジャンプを入れるとバク転にもなりますね。)そして、グループごと、色々と私が構成を入れて一つの短い作品のように最後にはなりました。

一度、それぞれのグループが発表すると、他のグループのアイデアや良い所、弱い所などが見え、みんなもっと色々と工夫をしたいみたいで、うずうずしていました! この気持ちは良くわかりますし、とっても大事です! なので、時間がオーバーしましたが、もう一度それぞれのグループで練習し、アイデアなども足し、最後に劇団の代表に見て頂いて発表しました。仲の良い家族、仲の良くない姉妹、両親が外国にいて子供たちだけでがんばっている姉妹、親を殺害されて(あるいは殺害して)、それを隠しながらの兄弟での生活など、これは子供たちが自分たちで家族構成を決めました。私はあえて殺害。という言葉が出たときに、そのままにしておきました。というのは、殺人役や被害者でもそれをひた隠しにする、などという演技はとても難しいので、「その演技を見せてもらいましょう」と言って、シンプルな役の方が一番やりやすいことも説明しました。実際、New Adventuresの作品でも『ザ・カー・マン』は殺人シーンがあり、それをひた隠す、あるいは役によって隠していく自信がないなど、最後は街全体でこの事件をそれぞれ受け止めた演技で終わります。

Photo:Mami Tomotani

残念ながら、今回の生徒たちが考えた〈殺害された家族〉には、私にその演技は全然見えず、そのアイデアがどこかに行ってしまったようでしたが、最後には個々の個性は見えるようになっていましたから、たった3時間のワークショップでは上出来と思います。
みなさんは、この夏は何か特別なクラスを受ける予定はありますか?
N.Yで、このリ・ボーンのワークショップが開催されます!
マシューボーンのカンパニーでメインを演じた、エタ・マーフィットとニナ・ゴールドマンが指導にあたります。
期間は8月17日〜21日までです。詳しくは下記のアドレスをご覧下さい。(英語です)

www.peridance.com/wsdetail.cfm

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

マーサ・グラハム・サマースクール、劇団四季研究所、川副バレエスクールでダンスを学ぶ。
★主な出演作品:
ニュー・アドべンチュアーズ『くるみ割り人形』(クララ、キューピット役ほか)、『白鳥の湖』、『カーマン』、『エドワード・シザーハンズ』(ペグ 役ほか)、『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどの作品(オース トリア)、 アルティ・ブヨウ・フェスティバル(京都)、ベノルト・マンブレイの振付作;スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』; 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』など
★TV/映画:『くるみ割り人形』(BBC)他。
★振付作品:『just feel it?以・真・伝・心』個人のプロローグ(02年);アルティ・ブヨウ・フェスティバル(98年)、他。
http://ameblo.jp/mami-tomotani/

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