ALLEGHENY COLLEGE大学生のチェーホフのお芝居 『桜の園』を観ました。

ここの大学は演技やダンス、スタッフの仕事などを学ぶ科があります。ダンスの生徒さんも約400名います。そのうちの200名は社交ダンスを習っているそうです。
スタジオは3つあり、一つは公演も出来る様にサイドステージもあり、照明もあります。舞台スタッフの生徒達には、装置を作る場所、衣装部屋など立派な本場さながらの教室があります。
セットは素晴らしく、シンプルでお話の主役でもある桜の木がステージの後ろにコンテポラリー風にありました。役者たちが桜の木を見ながら語る時は、お客の方を見るのですが、私たちは彼らの表情とその後ろに彼らが見ているという想定の木が見えて、自然にロシアの風景に入って行きました。
また、段差のあるステージが場所や時間が変わる時にとても良く、違う部屋として、あるいは外の場面として効果が出ていました。

Photo:Mami Tomotani

このセットも生徒たちが先生方(プロの舞台装置の方)と一緒に創られたそうです。ディレクター、セットデザインはプロです。
照明と衣装もそれぞれこの大学のその道のプロの先生達と生徒達で構成されて、特に衣装は素晴らしかったです! 古くなく、でもチェーホフのロシアの世界を表し、ここの生徒たちはとてもラッキーと思いました。
ただ、肝心の演技が・・・半分以上が9月に入学した新入生だったので、これだけ、セットなど周りが良いと演技の半熟さが丸見えで、しかもチェーホフという難しい課題で、最初のトライする作品としては、大変だろうな。と思いましたが、これもここの大学のやり方なのでしょうね。チェーホフの暖かい台詞に ロシアの変革によって 家族の失うものの悲しみ、新たな希望などの台詞を間違えず言うのに必死で、リアルさがありませんでした。

Photo:Mami Tomotani

バレエやミュージカルもそうですが、演技には想像力が必要です。
特に、バレエは言葉も使わず、夢の世界や実年齢よりも上や下の年齢を演じないといけないので、演技は大事だと思います。バレエの振りやセット、衣装、照明が助けてくれますが、芯の演技がしっかりしていないと観客はテクニックだけを見ることになります。
マシューもブロードウェイの人たちも良く言いますが、私たちは「ストーリーテーラー」(物語を伝える)が役目です。
自分では、出来ていると思っても、他の人にはそう伝わってないこともあります。これは、演技のゲームでも良くわかるのですが、一人のジェスチャーをみんなに答えてもらうと、必ず違う答えが出ます。テクニックも同じで、自分は出来ていると思っていても、先生の言っているのには近づいてない時があります。

大人のバレエが人気があるのは良く解る気がします。生徒たちは大人なので、先生の言っていることが常識のラインで良く理解できます。
ただ、体が子供とは違い、理解した通りに動いてくれず、時間はかかると思いますが。
ロンドンのダンス学校の一つは生徒が出演者にもなる訓練と一緒に、スタッフになる訓練も受けます。短いツアーも経験し、最初はスタッフとして参加するそうです。これはとても良い経験になると思います。舞台上の表現でだけではなく、舞台は総合芸術と言うことを学べます。
プロのパフォーマーは衣装をより効果的に使い、照明を気にして、特にツアーだと、それぞれの劇場で照明のスタッフさんが変わり、(専属のスタッフさんが一緒にツアーに参加する場合は心配いりません。)スポットライトに入るために意識しないと、せっかくの演技も暗く、観客に伝わらない事が多いからです。また、舞台監督がこのチームの指揮者です。彼らの指示通りに袖や裏では行動しないと、大怪我をします。私も何度スタッフさんに助けてもらったことか。。。(笑)
ダンスを習うことはただ踊るだけではなく、色々なことを学べます。それぞれの発表会などはそのためにも、とても必要な経験ですよね。でも、本人は転ばないように必死でしょうが。(笑)

Photo:Mami Tomotani

Photo:Mami Tomotani

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

マーサ・グラハム・サマースクール、劇団四季研究所、川副バレエスクールでダンスを学ぶ。
★主な出演作品:
ニュー・アドべンチュアーズ『くるみ割り人形』(クララ、キューピット役ほか)、『白鳥の湖』、『カーマン』、『エドワード・シザーハンズ』(ペグ 役ほか)、『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどの作品(オース トリア)、 アルティ・ブヨウ・フェスティバル(京都)、ベノルト・マンブレイの振付作;スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』; 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』など
★TV/映画:『くるみ割り人形』(BBC)他。
★振付作品:『just feel it?以・真・伝・心』個人のプロローグ(02年);アルティ・ブヨウ・フェスティバル(98年)、他。
http://ameblo.jp/mami-tomotani/

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