マシュー・ボーンの『ドリアン・グレイ』のリハーサル2週目が終わって、この「踊りある記」を書いています。

やっと、1幕が全部終わり、2幕の大きなダンスシーンも一つ終わりました。予定では、マシューが来日するまでの来週中に2幕も全部終えます。

Photo:Mami Tomotani

New Adventuresカンパニーのリハーサルは、日本人ダンサーたちからすると、とてもゆっくりみたいで、早く振りをとにかく欲しい、という方もいたみたいですが、だんだんとその場面を一緒に作っていくのを楽しむ様に気持ちを切り変えた、と言っていました。
でもお芝居のリハーサル経験がある方たちからは、同じ進め方だから芝居のリハーサルみたい、という感想を頂きました。

私たちの進め方は、すぐに完璧を求めず、役柄やその場面が少しずつ出来上がって行く過程を楽しむリハーサルで、いろいろとアイデアを出してもらいたい、というやり方なのです。最初はこのイギリスのスピードに戸惑ったみたいですが、みなさんとても明るくポジティブにとらえてくださり、1週目の半ばからそれぞれ違う世界から参加したダンサーのたちが一緒になり、一つのカンパニーという感じになりました。
リチャードを始め、イギリスから来たダンサーたちも、とても親切にみんなに振りなど教えて、日本人キャストとすぐに仲良くなっていました 。なにせ、デュエットやそれぞれ個人で違う振りが多く、『Swan Lake』や『くるみ割り人形』の様に同じカウントで一緒の振りを踊ることが少なく、同じスタジオで、バラバラになって教えることが多くエタと私も大変でした。

マシューの作品は、ダンスを踊るのではなく、ダンスで物語を伝えるというのが大切で、「凄いテクニック!」と観客に見える踊り方は求められていないので、テクニックがあるダンサーとしては、演技の中で自然とそのテクニックを行うという、かなり違う経験をされています。
また、たくさん参考にしてほしい映画や小説の台詞などから、登場人物の年齢や好きなこと、他の人との関係など、いろいろと自分で考える役作りの作業もあり、その作業がダンスシーンにちゃんと出て来て、毎回やるたびにキャラクターが出て来ています!

Photo:Mami Tomotani

リハーサルでは、日本人キャストにリチャードだけが入ってみたり、アダムだけが入ったりするときがありますが、だんだん日本人の中に外国人が入っているという感じがしなくなっているので、やはり表現をする、演技は世界共通だな、と思いましたね。

カンパニークラス(ウォーミングアップのためのクラス)は、毎日みんなで交代に教えています。これがイギリスと違い、日本は、ヨガやストレッチ、コンタクト(コンテのインプロで、それぞれを感じるため)のクラスを教える方たちがいて面白いです! エタも私も出来るだけ参加しています。20代から40代のダンサーたちが一緒にクラスをするのはなかなかないので、みんな楽しんで受けています。
さて、マシューが来日するまで、最後の1日休みで休みたいのですが、今日はイギリスチームとお台場です・・・。さすがに前日の夜は私とエタは食事後、飲みには行きましたが、若い人たちが次の街に (3次会?)夜中に出て行くのは見送り、部屋に帰りました(笑)。

是非、日本人キャスト、イギリス・キャストの『ドリアン・グレイ』を観に来てください。セット、衣装、音楽も素敵で、転換が早く面白いですよ!
たったの8回公演しかないので、お見逃しなく!
7月11日〜15日。渋谷オーチャードホールです。
詳しくは、下記のホームページをご覧下さい。
http://hpot.jp/dorian_gray/

Photo:Mami Tomotani

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

マーサ・グラハム・サマースクール、劇団四季研究所、川副バレエスクールでダンスを学ぶ。
★主な出演作品:
ニュー・アドべンチュアーズ『くるみ割り人形』(クララ、キューピット役ほか)、『白鳥の湖』、『カーマン』、『エドワード・シザーハンズ』(ペグ 役ほか)、『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどの作品(オース トリア)、 アルティ・ブヨウ・フェスティバル(京都)、ベノルト・マンブレイの振付作;スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』; 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』など
★TV/映画:『くるみ割り人形』(BBC)他。
★振付作品:『just feel it?以・真・伝・心』個人のプロローグ(02年);アルティ・ブヨウ・フェスティバル(98年)、他。
http://ameblo.jp/mami-tomotani/

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