HIDEBOHインタビュー
「今の時代のタップを創り上げ伝えていきたいと思います」
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---2年前にインタビューをさせていただいておりますが2010年春が「タップジゴロ」初演ということでHIDEBOHさんのこと、タップダンスのことやお父様のことなどお聞きしました。ありがとうございました。
今回は再演ということですがその間に東日本大震災があり日本も日本人もずいぶん変化を余儀なくされたところがありますが、HIDEBOHさんはこの2年どのような活動をされて来られましたか?
HIDEBOH この2年もやはりタップの普及に努めてきました。
震災によっていろいろ状況が変わってしまいましたが、負けてはいられませんから。
いろいろなアーティスト同士手を組んで、被災地でのチャリティーライブはかなりの数やってきました。
---テレビでよく「タップをやったことがない人を踊らせる」HIDEBOHさんをお見かけするのですが難しいことですよね?
HIDEBOH タップダンスは「遠いもの」と思われがちなので「近いもの」と思っていただきたいという根本的な願いがあるんです。なので普及するための働きというのは精力的にやっていますね。大変といえば大変ですが、興味を持ってもらえることが嬉しいことだったりするので楽しいですよ。みんなに「楽しい」「面白い」とわかってもらえるようになるまで説明はし続けたいと思いますね。
著名な方、人気のある方にタップに挑戦していただけるのも有難いことです。
今まで見ようとしなかった方が見てくれる、というようなことにもつながるのではないかと思っています。
---子ども達とも踊っていらっしゃいますね。
HIDEBOH NHKの「みんなのうた」での楽曲「HEART BEAT」ではキッズとタップをしてますし、母校の小学校に呼ばれてタップダンスを教えたりしています。
実際はまだまだ時間はかかるんだろうな、というのがありながらもダンスが中学校の体育の授業への必修科目化したこの時代、僕としてはタップダンスが一般的になってほしいという夢とともに子どもたちに未来を託していますね。
---では早速作品について聞かせていただきたいと思います。
初演を拝見して作品として素晴らしいと感じました。
それぞれの人生がきちんと描かれていて、時代の移り変わりとともに登場人物も変わっていきますが中でもHIDEBOHさん演じるジョニー佐々木は時代に翻弄される人物でしたね。毎回舞台でジョニー佐々木を生きた、という感じだったと思うのですがいかがでしたか?
HIDEBOH そうですね。僕自身芸人の親に育てられ、先輩方である昔の芸人さんをたくさん見てきました。ジョニーという人物も、戦後タップというものが日本に入ってきてすごく華やいでいた時代、芸人さんはみんなタップをやっていた、そんな時代にいた。芸にだけは誇りを持ってそこだけはぶれない、芸はすごいけど他はハチャメチャな人たち。現代とはちょっと違って楽ができない、武士は食わねど高楊枝・・・じゃないですけどなくてもあるように見せる誇り高き生き方をしていました。その美学というものを重んじて演じました。
どこか等身大に思える不思議さと、演じながら自分自身も見直すというかんじもありましたね。
---みなさんのダンスも素晴らしいのですが振付もHIDEBOHさんがされているのですよね?
HIDEBOH そうですね、僕とDIAMOND☆DOGSの森新吾とで振り付けています。タップの部分は僕で、他のダンスの部分は森が、あとはふたりで話し合いながら作りましたがいいコラボレーションができてそんなに苦労はなく楽しいうちに出来ちゃったかんじでしたね。
---今回演出の本間憲一さんは俳優さんでもありタップダンサーでもありますね。
HIDEBOHさんとご一緒されたことはあるのですか?
HIDEBOH 間柄としてはとても古く、若いときからの長年の近い先輩なのですがお仕事でご一緒するのは初めてです。何よりタップを分かっている人に演出をして欲しいし、今回は直談判して演出をお願いしました。
---横山智佐さんはじめ共演者の方について少しお聞かせください。
HIDEBOH 横山さんは初演の前、昔からもちろん存じ上げていました。声優さんのお仕事でも活躍されている方ですから、本読みのときから声で人物像を作ってしまうんですね。「田舎から出て来たなまりのある女性」という難しい役所を演じていて、もちろん影でたくさん練習されているとは思いますが「器用な方」というイメージですね。
---井上和彦さん演じる支配人の竹中が印象的でした。
HIDEBOH 和彦さんのすごいところは存在の印象を残すところですね。低いトーンでぼそぼそとしゃべるんだけどなんだか印象に残ってしまう。声優さんとしても数々の役を演じられていて、そのすごさをやはり舞台でも感じましたね。支配人の存在感に僕なんかもずいぶん助けられていますね。
---博品館劇場という場所もこのお芝居にとても合っていますね。
HIDEBOH 合っていますね。タップダンスを生で体感していただくには最適なところ。広すぎると伝わらないんですよね。本当に好きな劇場で観る側としてもずいぶんお世話になっているところです。
---客席に座っていてタップや歌が「迫ってくる」かんじがしました。
HIDEBOH 「届く」というかんじですね。一緒に空間を共有できる良さが博品館劇場にはありますね。本当に「シアター」というイメージがあります。
「近いから迫力がある」というだけではなくて「温度が伝わる」というかんじがすごくあります。
---前回のインタビューではHIDEBOHさんご自身が時代を継承する役目があるとおっしゃっていました。
HIDEBOH ビル・ロビンソン、中野ブラザーズなどたくさんの先輩や僕にとっては両親がいますけれども、どの時代でも継承して時代を創り上げた方がいらっしゃいます。昔のタップは凄く有名だし創り上げられ過ぎているから、現代のタップがどれとはなかなかわかりにくいかもしれないけれど僕は今の時代のタップをまた創り上げて伝えていかないといけないと思っています。
まず自分の足元をしっかり構築して、次の世代にどんな影響力を与えて、何を残していくか。誰かがやらないといけないことなので。その思いは自分の中に明確にありますね。
---公演を楽しみにしている読者にひとことお願いします。
HIDEBOH 生で観ていただかないとどうしてもタップの魅力は半分くらいになってしまうと思うんです。人には鼓動があってリズムはどなたにも備わっているものですよね。生活のリズムとかバイオリズムとか・・・。
リズムを体感して感情が動くのを体験しにとにかく劇場に観に来ていただけることを願っています。要は「来て下さい!」ということですね(笑)。
---ダンスキューブ読者にひとこといただけますか?
HIDEBOH ダンスキューブはバレエの情報がたくさん掲載されていますね。僕は実はバレエにすごく興味があって、やっていた事があるんですよ。
昔「バレエタップアメリカ」というとても有名な公演もありましたし。
バレエダンサーの西島千博君とも仲良くさせてもらっています。
バレエも古典、タップにも古典がありますし、バレエのエレガントさは取り入れてみたいです。今後コラボしてみたいですね。
ぜひこの機会にタップダンスにも触れてみてください!
----お忙しい中ありがとうございました。公演楽しみにしております。
ミュージカル『タップ・ジゴロ』
●2012.10/3(水)〜14(日)
●博品館劇場
●脚本=広井王子、演出=本間憲一、振付=HIDEBOH/森新吾(D☆D)、音楽=鈴木和郎
●出演=
HIDEBOH/横山智佐
星奈優里/大鳥れい/井上和彦/森新吾(D☆D)/芋洗坂係長
LiBLAZE/藤坂和史/長浜満里子/チナツ/Funk-a-Baby
●8,000円(全席指定・消費税込)
●開演時間=3〜5・9・10・12日19:00、6〜8・11・13・14日14:00
●お問い合わせ=博品館劇場 03(3571)1003
http://theater.hakuhinkan.co.jp
プレビュー公演
●2012.9/8(土)14:00
●志木市民会館パルシティホール
●前売4,000円/当日4,500円(全席指定・消費税込)
●お問い合わせ=志木市民会館パルシティホール 048(474)3030
※森新吾(D☆D)は出演しません。
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