「ロイヤル・エレガンスの夕べ 2014」で踊る英国ロイヤル・バレエ、プリンシパル・ダンサー
スティーヴン・マックレー=インタビュー

----2003年だと思いますが、ローザンヌ国際バレエコンクールのフリーヴァリエーションで、タップダンスを踊られたそうですね。
マックレー 最初に踊った時には、みんなちょっとびっくりしたと思いました。でもその後、踊り終わったら大きな拍手を貰うことができました。それで初めは緊張していたのですが、ホッとしました。

----タップダンスはオーストラリアで習われたのですか。
マックレー ええ、タップだけでなくダンスはすべてオーストラリアで習いました。私はとてもタップが好きでした。

----あなたにとってのタップのスターは誰でしたか。
マックレー ジーン・ケリーとフレッド・アスティアでした。

----クラシック・バレエとタップダンスは交互に踊っても身体的に問題はありませんか。
マックレー 幼い頃から同時に両方を習っていたので、それに身体が慣れているのだと思います。むしろ、クラシック・バレエとタップダンスを踊ることはそれぞれにいい影響を与えていると思います。

----両方をマスターしているダンサーは、あまり多くはないでしょうか。
マックレー 幼い頃には同時に習っていたダンサーはいると思います。

----両方マスターしたということはすごいですね。今回の「ロイヤル・エレガンスの夕べ」公演でもタップダンスを自作自演されますね。
マックレー 前回は『サムシング・ディファレンス』という作品を観ていただいたので、今回は新しいサプライズのある動きを観て欲しいと思います。皆さんは私がタップを踊ることはご存知かもしれませんが、さらに何が出来るかを示したいと思います。

(C) Chacott

(C) Chacott

----体型的にもアステアを彷彿とさせるところがありますし、21世紀のフレッド・アステアとしての活躍も期待できるのではないかと思います。
マックレー おお、それは私にとってとても名誉なことです。

----話は変わりますが、リアム・スカーレット振付の『スウィート・ヴァイオレット』では切り裂きジャックの役、『ヘンデルとグレーテル』ではサンドマン(砂男)を演じていますが、これらの作品はタイトルを聞いただけではダンスシーはあるのだろうか、と疑問に思うのですが・・・
マックレー サンドマンはたくさん踊ります。でも普通の踊りとは全然違います。サンドマンというのは人形なんです。振付家としては人形に見えるように振付けています。古典の動きをした後に床に倒れ込むような動きをします。クラシックとモダンの動きを結合したような動きです。切り裂きジャックのほうはあまり踊りません。『スウィート・ヴァイオレット』では実際の切り裂くジャックではなくて、切り裂きジャックの魂というか、そういった役だったのです。ちょっと違った存在でした。少しホラー映画の『リング』などといった恐怖が練り込まれています。

----ダンスでそういった題材を扱うことは少ないと思うのですが。
マックレー そうですね、『ヘンゼルとグレーテル』ではほんとうに怖いシーンがあります。バレエでは少ないと思います。

----観客も驚いたのではないでしょうか。
マックレー 『ヘンゼルとグレーテル』を上演したのはコヴェント・ガーデンのリンブリー・スタジオで、客席と舞台がすごく近くてほんとうに怖かったようですよ。

-----サンドマンは何か着ていましたね。
マックレー ええ、人形のように見えるユニタードで、紐を引っ張ると口が開く人形です。ヘンゼルが近づくとサンドマンが口を開けるという・・・顔にはプラスティックのマスクを着けてました。ピッタリとくっつくマスクで、作り物の顎もつけていました。メイクアップだけで2時間かかりました。

----リアム・スカーレットは何を訴えたかったのでしょうか。
マックレー 『ヘンゼルとグレーテル』は不幸な物語です。リアムはこの物語に対してまた異なった考えを持っています。日々何気なく過ごしている日常生活に対して疑問をもってもらいたい、ということかもしれません。

----「ロイヤル・エレガンスの夕べ」の公演で、観客にもっとも見て貰いたいのはどこですか。
マックレー こういったガラ公演では、観客はすべてを見ることができます。チョコレートの入っている箱のような感じで、全種類が好きではないかも知れませんが、それぞれの何かにフィットする作品が必ずあります。私自身は、楽しんで踊れるそれぞれ違ったタイプの踊りをお見せ出来ると思っています。

-----「ロイヤル・エレガンスの夕べ 2014」では、マックレーさん自作自演のタップダンスが観られて、他のロイヤル・バレエの多くの振付家の舞台が観られるのでとても楽しみです。本日はありがとうございました。

ロイヤル・エレガンスの夕べ 2014
〜英国バレエの伝統と今を伝えるショーケース公演〜

●2014年 8/8(金)〜10(日)
●日本青年館ホール
●出 演=
ラウラ・モレーラ(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)
サラ・ラム(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)
崔由姫(英国ロイヤル・バレエ団ファースト・ソリスト)
佐久間奈緒(バーミンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパル)
ネマイア・キッシュ(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)
スティーヴン・マックレー(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)
リカルド・セルヴェラ(英国ロイヤル・バレエ団ファースト・ソリスト)
平野亮一(英国ロイヤル・バレエ団ファースト・ソリスト)
ツァオ・チー(バーミンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパル)

◇リハーサル見学会
8/8(金)14:00〜日本青年館ホール
◇ファンミーティング
8/10(日)17:00〜アリスガーデン(千駄ヶ谷)

『ロイヤル・エレガンスの夕べ2014』公演記念展開催
●チャコット渋谷本店
●期 間=2014年 6/8(日)〜7/4(金)

インタビュー&コラム/インタビュー

[インタビュー]
関口紘一

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