オニール 八菜=最新インタビュー
「マリインスキーの舞台は、観客がほんとうにバレエが大好き、という心が伝わってきてとても良かったです!」

----3月にガルニエ宮でのジャスティン・ペックの『イン・クリーシズ』に出演されましたが、たのしそうにグループの中心で踊っておられたのが印象に残りました。

オニール そうですか(微笑)。出演が決まったのは今年に入ってからです。練習は振付家本人の指導でした。最初に初演ダンサーたちが来て教えてくれて、最後の一週間半くらいはジャスティンが来てコーチしてくれました。他のプログラム(ラトマンスキー、バランシン、ロビンズ)とあわせて、全体として良いプログラムだったと思います。

----ジャスティン・ペックの作品を踊ったのは初めてですか。

オニール はい、初めてでした。7月にはまたジャスティン・ペックのクリエーションがあるのですが、そちらにも出演します。バスチーユ・オペラでのバランシンと一緒のプログラムです。ガルニエのフォーサイス作品のプログラムにも出演予定です。

----全体をまとめていたのはミルピエさんですか。

オニール そうですね。

----彼はまだパリにいるのですか。

(C) DR

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オニール はい、います。あまり見かけませんが・・・。今はニューヨークにいるようです。5月の末から始まる『ジゼル』の時にはあまり来られないかと思います。今回、私はミルタを踊るのですが。

----ミルタを踊ることになってどう思われましたか。

オニール 実際に踊るとなるとうれしかったです。プルミエール・ダンスーズのステファニー・ロンベールとアシスタント・メートル・ド・バレエのヴィヴィアンヌ・デクーチュールの指導で何度かリハーサルをしましたが、すごくむずかしいので、チャレンジという感じです。がんばります。
『ジゼル』の前にフランスのブルターニュ地方ブレストへのツアー(3公演)があります。演目は3月のガルニエ公演と同じです。オペラ座の公演で地方へ行くのはこれが最初です。それでちょっとハードスケジュールなんです。
私は初めて『ジゼル』に出演するのですが、ミルタはステップではなくて表現が一番むずかしいと思います。

----マリインスキー歌劇場で行われた第16回国際バレエフェスティヴァルには、どういう経緯でガムザッティ役で出演することが決まったのですか。

(C) DR

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オニール 昨年秋に『ラ・バヤデール』のリハーサルをしていた時にバンジャマン・ミルピエが来て、マリインスキーのバレエ監督ユーリー・ファテーエフが「ガムザッティ役で来てほしい」と言っていると伝えてくれて、その後にユーリーからも直接言われました。パリ以外の大きなバレエ団と踊るのは初めてです。呼ばれたけれどあまり実感がなくて、気持ちが盛り上がったのはサンペテルスブルクに着いてからでした。6日に着いてすぐ夜にリハーサルがあって、7、8日に練習して9日に踊りました。キミン・キムさんと二人だけでスタジオでの練習でした。コーチは向こうの方でした。本番直前に着いたので、それほど指導してもらう余裕はなく、二人で合わせるための練習だけでした。少しパリとは振りが違いましたが、パリの時と同様プレッシャーがなかったので生き生きと踊れました。

----パートナーとしてのキミン・キムさんの印象は。

オニール すごく良かったです。リハーサルの時から面白い感じの人だな、と思いました。パートナーとしてもやさしくて上手で、感じの良い方だったので踊り易かったです。
ともかくいきなり本番だったので、コール・ド・バレエと一緒に踊ったのも本番当日でした。舞台裏のどの場所から舞台に出て行くのか、ということも1幕と2幕の間に説明を受けました。ロシアのダンサーたちはみなすごく踊りがきれいで、ニキア役のダンサーは本当に上手でした。

----パリとロシアとでなにが一番違っていましたか。


オニール お客さまがみんな本当にバレエが好き、というのが舞台にいてもはっきり伝わってくるんです。どのダンサーもみな120パーセントの力を出して踊っていて、少しはしょってしまったり、といったことは全くないです。ソリストたちはみな最初から最後まで「私を見て」という感じで踊っていました。

Photo:Natasha Razina © State Academic Mariinsky Theatre

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Photo:Natasha Razina © State Academic Mariinsky Theatre

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----初めて行ったロシアの印象はいかがでしたか。

オニール すごくよかったです。私にとってはとてもいい経験でした。劇場がきれいなのが特に気に入りました。マリインスキー劇場の舞台の傾斜は、ガルニエ宮と同じくらいです。でもガルニエよりずっと小さくて、特に奥行きがなく全体的にちょっと小ぶりです。お客さまがすぐ近くにいるんです。

----観客にとってはぜいたくな舞台ですね。ところで、パリ・オペラ座はローラ・エケがエトワール昇進したのが最後ですが、バンジャマンがいなくなってしまったので、オーレリー・デュポンがバレエ監督になる9月まではどうなるのでしょうか。

オニール それまではエトワール任命はないと思います。

----八菜さんから見て、次にエトワールに任命されそうな人は誰でしょうか。ユーゴ・マルシャンやフランソワ・アリュでしょうか。

オニール オーレリーの意向がわからないので、なんとも言えません。

----マリインスキー劇場への出演が成功でしたから、これから外国の檜舞台から声がかかることも増えていくのではないかと思います。ご活躍を期待しています。

オニール はい、がんばります。

----本日はお忙しところ、お話を聞かせていただきましてありがとうございました。

Photo:Natasha Razina © State Academic Mariinsky Theatre

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[インタビュー]
三光 洋

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