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今回は、ラトビア凱旋公演の事などをお伝えしたいと思います。

今回は、ラトビア凱旋公演の事などをお伝えしたいと思います。

【鶴の恩返し&ガラ公演】
2024年12月9日にラトビア国立歌劇場で『鶴の恩返し』を上演することができたこと、今でも現実かと思う位です。
公演は 2部構成。平和の思い、国境や言葉の壁を超えて文化、芸術の力で心ひとつに、、、と言うコンセプトをもとに。
1部は、鶴の恩返し。2部は、国際的なコラボレーションをプロデュースしました。

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ラトビアとは、国際ダンスフェスティバルに出演したり、リガ国際コンクールの審査員を務めたりなど20年近く交流を続けていました。
ソビエト連邦崩壊前の時代も含めるとご縁は30年以上前から続いています。1991年に私が初めてソ連に留学したときにラトビアはソ連の中にあり、その年にウクライナもラトビアも独立しました。
海外のバレエ団で踊ってきた中で、そして海外の方といろいろなコラボレーションをしてきた中で、気づきずっと思い続けていたことのひとつ。自分は日本で生まれた日本人だからこそ、日本の奥ゆかしさや歴史、素晴らしさ、伝えたいコンセプトや想い、願いを込めたオリジナルの和バレエをクリエーションできればなと。
今回のラトビア国立歌劇場での公演が実現できるまで、今までの一期一会の出会いと、助けていただいた一人ひとりの方々、一人でもその出会いがなければ実現できませんでした。
見切り発車で行動からスタートしてしまったのですが、こんな事は一生ない機会と決心し、心に決めてから様々なことがありましたが、七転び八起き、と言うことわざのように、700転んで701起き上がった感じでした。
ラトビア首都であるリガ現地のスタッフとはオンラインで何度も何度も打ち合わせを重ね準備してきました。時差があったので、夜中のミーティングになることが多く、それでも少しでもできること、妥協せずやり切りたいとの思いで情報共有していきました。そのような過程を続ける毎日、いざ本番の3日前に現地リガ入りしました。

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空港に到着し、そのまま直行して大道具の制作をお願いしていた工場に行きました。しかし、大道具はまだまだ未完成で本当に間に合う?と心配になるような状況でした。そのうえ国立歌劇場に入れるのは本番当日のみ、照明合わせや、場当たり、そして現地の方々とのフィナーレの振り付けもしなければならない中、限られた時間しかない...それでも何とかなるだろうと信じていました。
当日の12月9日は、9時に劇場ステージに入りましたが、予感的中。大道具とセットはステージの上でまだ制作中でした。結局完成したのはステージリハーサル直前、そこから照明合わせ、映像合わせのリハーサルは時間との戦いでした。
本番が始まる25分前にまだ照明の確認をしつつ...時間切れになり本番が始まりました。
それでも、プロフェッショナルな現地スタッフの方々、日本で準備してくださったスタッフみんなの思いが1つになり、ここまで来たからもうどうなっても大丈夫。と言う安心感の気持ちで本番が始まりました...。
「鶴の恩返し」が始まると、あっという間の1時間。無事に全員の力が集結し、何とか幕を閉じることができたときには心からほっとしました。が、ただその続きが... ガラ公演のパートが始まりました。

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2部のガラを実現するために、半年位前から、ラトビア国立バレエ団、ラトビア国立バレエ学校、エストニア国立バレエ学校に一緒に出演していただきたいと熱い想いを伝え、光栄なことに趣旨に賛同していただき踊っていただけることになりました。総勢60名以上の、10代の学校の生徒たち40名弱、それとプロフェッショナルなダンサー達が舞台に集結しました。
リガでは全員集合できるのは当日のみで時間がないけれど、フィナーレは全員総出演で笑顔で終えたかったので、事前に校長先生や、アーティストの方々とオンラインやメッセージのやり取りで、打ち合わせしながら準備を進めていきました。12月7日に、国立バレエ学校の方々には現地で振り付けし、全員集まったのは、開演直前のリハーサルで何とか形になりました。
演出も最大限のことをお客様にお伝えできるよう最後の最後までこだわりました。
ラトビア国立バレエ学校の生徒たちは、低学年から高学年までの40名弱が、素敵なハーモニーを見せてくれました。全員お揃いのレオタードを着て、生き生きと笑顔で踊り、拍手喝采。
ラトビア国立バレエ団のアーティストは、さすがプロの踊り。「白鳥の湖」から2幕のアダージオと「ドン・キホーテ」からパ・ド・ドゥと言うクラシックを見せてくれました。地元のファンの方も多く、盛り上がりました。エストニア国立バレエ学校からは、「タリスマン」からグラン・パ・ド・ドゥを披露してくれました。安定したテクニックで華やかに盛り上げてくださりました。

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2部の最後は、淡路ワールドバレエダンサー全員が出演し、「荒城の月」から力強い和太鼓と和楽器の音楽でテクニカルに踊る作品「魂」を披露しました。私自身が、演出、振り付けを担当し、日本で初演し2024年の6月と7月には、ヨーロッパのチェコ、プラハでも披露させていただいた作品を踊りました。
公演には、現地の方々はじめ、在ラトビア日本大使、外務副大臣夫妻、文化副次官夫妻などもお越しくださり、ほぼ満席のお客様にお越しいただくことができました。
最後、無事に幕をおろすことができた時は感謝しきれない思いで観客とダンサー、スタッフの皆様の心がひとつになり劇場の空気があたたかくなったような気がします。
皆様には感謝しきれません。
パフォーマンスの後に、様々な方とお話しする機会がありましたが、「鶴の恩返し」は、ストーリーを言葉でお伝えしなくてもわかってくださったようで、今後またブラッシュアップして活動を続けていきたいと言う思いになりました。

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パフォーマンスの次の日には、ラトビア国立バレエ学校でマスタークラスを開催していただく機会もいただきました。
学校内の小さな劇場で、英語とロシア語を交えながらのクラスレッスン、先生方も客席で見てくださいました。
子供たちの輝いた瞳が忘れられません。本当に様々な方との出会い、学び、交流があり今後も自分に出来る活動を続けていきたいと思いました。
12月6日はリガ文化高校を訪問しました。
学校の日本語教室を訪問し、日本語を学ぶ生徒と出会い、学校の生徒の民謡集団「クルラ」のリハーサルを見学し、生徒たちと音楽で遊ぶゲームなどをしました。私は、その際『鶴の恩返し』の子供たちが登場するシーン、かごめかごめで輪になって遊ぶシーンを一緒に行いましたが、現地ラトビアでも同じような遊びがあり、それを教えていただき一緒に仲間に入れていただいたり、素敵な交流の時間となりました。

このようなことを実現するのは、かなりのパワーを要し、今後はできないかなぁと思ったのですが、フィードバックをお聞きして、また機会があれば一歩一歩続けていきたいと言う思いになりました。
このプロジェクトに携わってくださったすべての方々、助けてくださった方々、見に来てくださったお客様、本当に感謝しきれません。
ありがとうございました。

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プログラム
1部『鶴の恩返し』
振付・構成・演出・出演:針山愛美
出演:
倉智太朗
ネリア・イワノワ
スヴェトラーナ・シュリヒテル
マリア・ヴォロコビナ
ソフィア・シェイコ
アナスタシア・レフクット
ソフィア・ヴァレンシコ
セルゲイ・ロモヴィツキ―
コンスタンティン・ツァプリカ
タラス・コヴシュン
オレクシー・ゴギッゼ
マルガリータ・ドゥシャコワ
横田爽磨
山本春姫
針山愛美
ラトビア在現地の子供たち
ほか

2部 ガラ・コンサート
1.ジョアッキーノ・ロッシーニ作曲「序曲」
振付:ゼーン・リールディッジ・コルビン
リハーサル講師:ディアナ・マンセヴィチャ、アレクサンダー・コルビン
出演 ラトビア国立バレエ学校生徒約40名

2.バレエ「白鳥の湖」よりアダージョ
ラトビア国立バレエ団
アリス・プルーダネ・スプリドザネ
フィリプス・フェドゥロフス

3.バレエ「タリスマン」よりグランパ・ド・ドゥ
(タリン音楽バレエ学校)

4.バレエ「ドン・キホーテ」よりグランパ・ド・ドゥ
ラトビア国立バレエ団
アニヤ・コプシュターレ
フィリプス・フェドゥロフス

5. 魂
演出・振付・出演:針山愛美
作曲:上田修一郎
編曲:大森愛弓
淡路ワールドバレエダンサー

スタッフ
リガオルガナイズ
タチヤーナ・ステパノワ
大道具制作:アンシス・ゴルナヴス
照明:カルリス・カウプジュス
映像:株式会社プリズム

Gala koncerts
1. Džoakino Rossini "Uvertīra".
Zanes Lieldidžas Kolbinas horeogrāfija.
Iestudējuma repetitori Diāna Manceviča, Aleksandrs Kolbins.
Dejo: MIKC "Nacionālā Mākslu vidusskola" Rīgas Baleta skolas audzēkņi un
Latvijas Nacionālā Baleta mākslinieki Emīls Jānis Ungurs un Genādijs Eisaks.
2. Pēteris Čaikovskis. Mariusa Petipā horeogrāfija.
Adagio no baleta "Gulbju ezers "
Izpilda Latvijas Nacionālā baleta vadošie solisti Alise Prudāne - Spridzāne un Filips Fedulovs
3. R. Drigo. Mariusa Petipā horeogrāfija.
Pas de deux no baleta "Talisman"
Dejo Tallinas Mūzikas un Baleta Skolas audzēkņi Ruka Tateno un Hiroto Nakabayashi
4. Ludvigs Minkuss. Mariusa Petipā horeogrāfija.
Pas de deux no baleta "Dons Kihots "
Izpilda Latvijas Nacionālā baleta vadošie solisti Annija Kopštāle un Filips Fedulovs
5. "Dvēsele"
Režija, horeogrāfija, kompozīcija
Emi Hariyama

現地国営テレビ放送リンク
https://www.lsm.lv/raksts/zinas/latvija/26.12.2024-japanas-baleta-grupa-uznemusi-ukrainu-dejotajus.a581582/?utm_source=rss&utm_campaign=rss&utm_medium=links

また次回も日本から、世界から旬な情報をお届けできればと思います。
芸術文化などを通して、世界の人々の架け橋となれるような活動...明日へのパワー、夢、勇気などを伝え、平和への力になれるような活動続けたいです。
2025年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi Hariyama Official Page

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『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』

針山愛美/著 Emi Hariyama
体裁:四六版並製、240頁ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)

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