今回はラトビア凱旋公演の事、夏の事などをお伝えしたいと思います。
- インタビュー & コラム
- コラム 針山愛美
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ラトビアとは、20年近く交流を続けてきました。
ソビエト連邦崩壊前の時代も含めると、今このご縁は30年以上前から続いているなと感じています。
国際ダンス、振付コンクール「リガの春」は2004年より20年間継続中で、過去に17回開催されていますが、審査員を勤めたり、様々なパフォーマンスに出演するいただきました。
子供世界ダンスフェスティバルでは、日本から子供たちを連れて行き、オリジナルの和バレエを披露するなど日本文化を伝える活動などもしてきました。
そして、そのようなこれまでの活動や、経験、そして奇跡のような出来事の連続で、このたび12月9日にラトビア国立劇場で『鶴の恩返し』を上演させていただけることになりました。
『和』『日本』をテーマにしたバレエを制作したいと20年以上想い続け、第1作目として『鶴の恩返し』を題材にバレエを制作。感謝の想いを込め、まずは日本で初演しました。
作品は昔話の筋書き通りではなく、今、このような世の中だからこそ、そしてこれまでの私のソビエト連邦からアメリカ、ヨーロッパでの経験を踏まえて、伝えたいコンセプトを折り込んだオリジナルの構成脚本で、踊りのシーンも試行錯誤しました。日本での初演の時から演出の空間映像を用い様々なことにチャレンジし、3Dのような感覚で奥行きを演出、そして世界観にもこだわりました。今回はヨーロッパの国立歌劇場ですので、奥行きが逆に広すぎる位あります。日本の演出とは少し変更して、後ろの背景も映像をリニューアルしている最中です。
日本文化特有の奥ゆかしさに、文化や歴史の背景を加え"恩を返す鶴"のように、今まで歩んだ道のりにありがとうと、平和の願いをも込めました。
ラトビアも、私が最初にソビエトを訪れたときにはその1部として存在していた国です。
今では東ヨーロッパの国ですが今でもロシア語を話す方々や、様々な人々がいらっしゃいます。
国境や言葉の壁を越えて、踊りで表現し、心から心に、日本から世界にメッセージを届ける事が出来れば嬉しいです。
ウクライナから避難の為来日したダンサー達は淡路島で一緒に活動していますが、こうして、文化芸術で心と心をつないでいくことができる活動をしたいなと思っています。
パフォーマンスは、2部構成。1部は『鶴の恩返し』、2部はガラとして開催できる予定で、ラトビア国立バレエ団からゲスト出演いただけるか、国立バレエ学校の生徒たちも、花を添えてくださります。そして、エストニア国立からもゲスト出演に来てくださるようで、華やかに2部を開催することができそうです。
今を生きている、感じる心があるから泣いたり笑ったりできる私たち人間。ありがとうの気持ちを忘れず、子どもからお年寄りまで、世界中のすべての人たちが思いやり、感謝で包まれる、そんな世界になればと願い、文化芸術の力でできることを続けていきたいと思います。
次回は、現地からのレポートさせていただきたいと思います。
毎年、8月24日に開催し、今年4回目を迎えた『Souls for peace』。
今回のコンセプトは地球といのちでした。
同じ地球にいのちもつ私たちが、笑顔で毎日過ごせたら、、、言葉や国境の壁なく踊りで世界を繋ぐ事が出来ればなぁ、、、といつも同じような思いを持っています。
この数年、手がけている太鼓とのコラボは、今回「荒城の月」をオリジナル作品として手直ししました。
和の第九は「惑星」大好きな曲「ジュピター」でお届けしました。
今回の初演は、マラーホフさんが来日され、2日で完成した新作『SEKAI』です。
マラーホフさんがコンセプトを自らご提示してくださり、音楽のチョイスもマラーホフさん。オンラインで様々な打ち合わせをして、振付は宝満直也さん。
打ち合わせの時から、しっかりとしたコンセプトを持っていらっしゃって、前半は目隠しをして踊ると...さて、どのような作品になるだろうと思いながら、本番の数日前に振り付けが始まると言う臨場感でした。
結果、見ていただく人には、様々な感じ方を持っていただける作品になり、心境のささいな変化も表現しなければいけない大人の作品になりました。実際4日間踊り、感情面での表現が毎日変化し、マラーホフさんのアプローチも毎回違ったもので、それにどのように瞬間的に対応しようかと自然のフィーリングで踊らせていただきましたが、生きて変化していくデュエットと感じました。
マラーホフさんと、宝満さんとのクリエーションは、早朝から行い一瞬一瞬が真剣そのもの1秒も無駄にしないその現場は厳しくあり、ワクワクする場所でもありました。
マラーホフさんは、決して妥協を許さない方、ご自身に対しても作品に対しても真っ向から立ち向かわれます。私がもたついてすぐにできない時でも何十回でも付き合ってくださります。決して簡単な道を行こうとはされません。
Awaji World Balletのダンサーたちの指導もしてくださったり、フィナーレの「ジュピター」では振り付けのお力添えいただいたりと本当にたくさん力になっていただきました。
同時に、26日から4日間にわたり学べるコンクール『Step for your future』を開催しました。
全国から集まった若いダンサーたちが切磋琢磨しながら、バレエ、キャラクターダンス、レパートリーなどを学び、28日には、マラーホフさん含めウクライナの先生方にもステージでのソロを見ていただきました。その後、アドバイスを受ける時間も作り、皆さん学び多い日々になったかと思います。
29日は私たちと一緒に舞台に上がりました。ワークショップに参加してくださった方、希望者全員がマラーホフさんと一緒に舞台に上がるという場と経験を作りたく、オンラインで振付を共有し、2時間のリハーサル、当日のリハーサルのみでみんな素晴らしい舞台を見せてくれました。
日々様々な経験をさせていただけること、心より感謝し、また次に向かって進んでいきたいと思います。
最近では、国立民族学博物館とコラボレーションしてパフォーマンスさせていただいたり、能楽堂とコラボレーションして、そして世界遺産の仁和寺などでも様々な分野の方々とパフォーマンスを重ねています。万博の事前事業として出演させていただける機会もあり、様々な活動を続けていきたいと思います。それとともにしっかりとバレエの伝統、心髄を伝えていく活動も続けたいと思います。
次回は、ヨーロッパからまたお届けしたいと思います。
インタビュー & コラム
針山 愛美 Emi Hariyama
13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。
1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
◆Emi Hariyama Official Page
『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』
針山愛美/著 Emi Hariyama
体裁:四六版並製、240頁ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)