今回はヨーロッパから、そして日本から、そして4月に行われたペルミのコンクールの様子などお届けしたいと思います。

今回はヨーロッパから、そして日本から、そして4月に行われたペルミのコンクールの様子などお届けしたいと思います。

【ダンスワールドカップ】
『Dance World Cup 』は、1年間にわたり世界各国で予選が行われ、1年に1度の『Dance World Cupファイナル』が開催されます。
そのファイナルは毎年開催国が変わり昨年はポルトガル、今年2024年は6月27日から7月6日の10日間にわたりチェコのプラハで開催されました。
54カ国から9500人近くの世界決戦出場者、父兄など関係者を含めると約2万人以上の方々が集まり盛大に行われました。
今回、私が2年前に、様々な方々の多大なるご尽力いただき立ち上げ芸術監督を務めている『Awaji World Ballet 淡路ワールドバレエ』と、上田秀一郎先生率いる和太鼓集団『鼓淡』のコラボレーションパフォーマンスの機会もいただきました。

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6月28日に行われたオープニングセレモニーと、2万人が参加したパレードでは、日本の国を代表し世界遺産である旧市街を和太鼓の演奏と踊りながら参加しました。
各国の国旗を掲げた54カ国からの参加者が、和気あいあいと踊りながら歩く姿は本当に信じられない光景でした。
パレードの最終地点でのセレモニーは、プラハの中心地に特設会場を設置し行われ、冒頭で踊りと和太鼓のコラボレーション作品をお届けしました。日本文化を少しでもお伝えすることができたかなぁ、と思います。
メインのパフォーマンスは、ワールドカップ初日、6月27日20時半から開催していただいた1時間の単独特別公演。
プログラムは新しく振り付けをしたバレエ作品「モルダウ」、太鼓とコラボレーションの「桜」、和太鼓独奏、そしてダンサーと太鼓メンバーが総出のダイナミックな新作など、様々な異なる作品の数々をお届けしました。
限られた時間のリハーサル(本番前約1時間のみ)でしたが、事前に日本から様々なコンタクトをとり、現地で初めてお会い出来た素晴らしい舞台スタッフ、皆様のおかげで無事を終えることができたこと、本当に感謝です。そして暖かいお客様に迎えていただけたことにも感謝です。
そして、7月2日に行われた2回のガラ公演にも出演させていただきました。

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また、昨年は後半に数日だけでしたが、今年は全日程の審査員とマスタークラスを務めさせていただく機会をいただきました。
コンクールやマスタークラスの会場は、プラハ国際会議場で行われました。
コンクールの審査は2500席以上を伴うコングレスホール、その他フォーラムホール、サウスホール、など3カ所で同時進行で行われました。
審査は朝8時から始まり、夜22時位まで3つの会場で分刻みで行われ、コンクールというより、フェスティバルというお祭りのような雰囲気で開催され、会場では歓声が飛び交い、素晴らしいエネルギーでした。
私も何とか朝の8時から審査員をさせていただきましたが、8時から出演の方々も元気いっぱいの素晴らしい踊りを見せてくれました。1日700人ぐらい審査することもありました。でも一つ一つの作品が異なるもので素晴らしく、あっという間に時間が過ぎていきました。
また、マスタークラスなどがの教育プログラムがとても充実していて、ジャズやコンテンポラリーバレエは、もちろん、オーディションの受け方や、シアターダンスなど1日中熱気あふれる指導が行われていました。

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7月2日に行われたガラ公演、そして7月6日に行われたファイナルガラ公演では、30人以上の団体によるジャズダンス、シアターダンス、アクロバティックダンス、コンテンポラリーや、ソロやデュオのしなやかな踊りなどが3時間以上にわたり披露され、ヤングダンサーとは思えないテクニックを備えた踊りと、パッションが溢れ出た表現力に圧倒されました。

以下に一部資料を紹介させていただきます。
1983年にドイツで始まった、あらゆる分野のダンスの大会「ダンスワールドカップ」。
世界で一番参加者が多く、今尚増え続けるこの大会では、世界中の4歳から25歳までの120,000人を超える子供たちが、毎年開催される世界大会ファイナルへの出場権をかけて各国や地域予選に出場します。
過去のワールドカップファイナルの開催国はポルトガル、スペイン、ドイツ、ルーマニア、イングランド、オーストリア、イタリア、フランス、ジャージーなどで行われていて「ダンスのオリンピック」かもしれません。
バレエ、コンテンポラリー、リリカル、ジャズ、タップ、歌とダンス、ショーダンス、アクロバット、ストリート/コマーシャル、ナショナル(民族舞踊)、パラダンス(日韓大会限定)のジャンルで開催されます。

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私も過去にジャクソンインターナショナルバレエコンクール、モスクワ国際バレエコンクール、パリ国際ダンスコンクール(今はもう存在しませんが...)ニューヨークインターナショナルダンスコンペティションなどに出場しました。
その時に友達になった方々とは今もご縁が続いていて、また出演した時にお声掛けをいただいたカンパニーで活動するなど、様々な友情関係が生まれました。
この大会でもどこに行っても友情とフレンドシップに溢れた雰囲気でした。お互いを応援し合う歓声、拍手がわき、起こり、素晴らしい雰囲気でした。
文化の違い、それぞれの国の素晴らしい歴史や踊り、踊りにもこれだけの種類があるのかと驚きの連続で学びが多く、これをまた次に活かしていきたいと思います。
来年はスペインでの決戦が予定されています。日本予選は、9月14日尼崎のアルカイックホールで開催されます。応募締め切りは7月末、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

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【鶴の恩返し The Return of the Crane】
『鶴の恩返し』を6月8日、9日に初演させていただきました。
日本の物語を題材にした作品を、そしてそれが長く残るような作品を作りたいと、20年以上思い続けてきました。
私自身が海外に出たのが30年以上前になりますが、様々な経験を経て自分が日本人だからこそできることがあるのではないかと常々思ってきました。様々な短い作品を作る事は、"日本の伝統文化×バレエ"でも和太鼓やお琴を交えチャレンジしてきましたが、今回は約1時間の長編和作品としてストーリーもわかりやすくお伝えできるように、悩みに悩み、演出にこだわり政策を進めていきました。
『白鳥』ではなく『鶴』で、作品作りをしようと...。

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空間演出にこだわり紗幕のテストから、映像の検証まで日々夜中近くまで取りかかることもありました。
日本の歴史や文化、織物、動きや表現も奥ゆかしさにこだわり試行錯誤を続けてきました。
音楽もオリジナルで大森愛弓さんに作曲いただいたり、今回特別に許可をいただき、中井智弥さん作曲の名曲「花のように」をお琴の生演奏を加え、演奏していただいたり...1から制作ました。
"恩を返す鶴"のように今まで歩んてきた道のりに想いを馳せ、感謝と平和への願いを伝えたいと言う思いを込めて。
そして、国境の壁を越えて、言葉の壁を越えて、様々なコンセプトを踊りで表現できれば様々な強い想いを込めたバレエ作品になりました。

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様々悩み、考え、日々新しいアイディアが生まれ、妥協せず、伝えたい想いとコンセプトを追い続け結果、様々な変更や改良を重ねることになりましたが、そのたびに嫌な顔せずに、笑顔で深夜まで対応してくれる仲間の皆様、スタッフの皆様、ダンサーの皆様、そして活動できる場所を提供してくださったり、数え切れない、ご尽力いただいた全ての方々に感謝しきれません。
無事6月の本番を終えることができました。
そして、再演が決まりました。
11月2日、3日、4日に旧アサンブレホールにて開催予定です。お時間があれば見に来ていただければ幸いです。
(NHKのニュースより)
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20240609/2000085019.html

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2年に1回の開催でロシアのペルミで行われるアラベスクコンクール。
以前何度かプレス審査員をさせていただきました。
毎回の審査が国立オペラ劇場で公演のような雰囲気で行われ、レベルが高く、丁寧に新作が進む素晴らしいコンクールです。
今年、2024年4月17日から4月28日に開催されました。
審査委員はウラジーミル・ワシリエフさん、ドイツからディートマー・ザイフェルトさん、ロシアのペルミバレエ学校からウラジーミル・トルストーヒンさんなどが審査員として参加、コンクール審査委員長のワシリエフさんは今回はリモートでの参加でした。
参加国は、ロシア、ブラジル、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、モンゴル、韓国、フランス、日本などからあり、初日の4月17日に出場番号くじ引きと開会式が行われました。
開会式ではペルミのバレエ団の方々がアニュータを、前回大会の受賞者などもクラシックやコンテンポラリーを披露し、コンクールが開幕しました。
参加者は70名でした。

ジュニアグループ(13歳〜17歳) 計:32名
2次審査通過者 計:25名
3次審査通過者 計:11名

シニアグループ(18歳〜25歳)計:38名
2次審査通過者 計:35名
3次審査通過者 計:24名

結果
ジュニアグループ:
1位(女子)ユリア・マンジエワ(ロシア、ペルミ)
1位(男子)ウエン・アナール(モンゴル)
2位(女子)セミチェバ・エリザベタ(ロシア、ペルミ)とザナビル・アデミ(カザフスタン)
2位(男​​子)受賞なし
3位(女子)ルカグヴァプレフ・エンクジン選手(モンゴル)とプロコペツ・エヴァ選手(ロシア、ペルミ)
3位(男子)ブルチュン・アユシュ選手(ロシア、ウラン・ウデ)とオーバキル・アリハン選手(カザフスタン)

シニアグループ:
1位(女性)スベトラーナ・サヴェリエワ(ロシア、サンクトペテルブルク)
1位(男性)ラズミク・マルキヤン(アルメニア)
2位(女子)はムルザコワ・ラジリャ(ロシア、ウファ)とバスコンセロス・ラウラ(ブラジル)に分けられる。
2位(男性)ウラジスラフ・バシュマコフ(ロシア、サンクトペテルブルク)
3位(女子)はアナスタシア・クプツォワ(ロシア、ウファ)と柴垣未羽(日本)が分けた。
3位(男子)はセアラ・ペドロ(ブラジル)とポミトキン・アレクセイ(ロシア、モスクワ)が受賞した。

特別賞
ベストパートナー賞 廣瀬晃太朗
純粋な技術と芸術パフォーマンス賞 星川綺羅

4月27日には表彰式とガラ・コンサート、28日にガラ・コンサートでコンクールが幕を閉じました。

8月24日、25日、26日、29日に今年で3回目となる【特別バレエ公演「Souls For Peace vol.3~世界を繋ぐ恩返しの心~」】を開催できる運びとなり、振付けと、演出、構成に取り掛かっています。
ウラジーミル・マラーホフさんを今年もお招きし、宝満直也さんが振り付けの新作を踊ってくださる予定です。マラーホフさん自身が音楽を選曲され、コンセプトも考え、宝満さんとのコラボレーション作品になる予定です。
2年前に、避難と言う形で、ウクライナからのバレリーナの先生に手を差し伸べ立ち上がったAwaji world balletですがメンバーが増えました。
今、現在9名のウクライナからのアーティスト、そして日本からのダンサーも含めると10人以上が一緒に切磋琢磨しています。
今回デビューするのは、マリア・ボロホビナ、タラス・コフシュンの2人。
前回の鶴の恩返しで少しですが、セルゲイ・ロモヴィツキー、コンスタンティン・ツァプリカの2人のダンサーもデビューしました。今回この4人が本格的にデビューとなります。
ウラジーミル・マラーホフさんと共に、身近な隣人から世界へ、人々の心の架け橋になれるような、想いを込めたパフォーマンスにできるよう一歩一歩進んでいきたいと思います。

パフォーマンス詳細
https://www.awajiballet.com/souls3
日程:2024年8月24,25,26,29日
時間:16:00開演(約60分)
場所:アソンブレホール
小学生以下無料
<構成・演出・出演>
針山愛美

そして、8月26日から28日は、マラーホフさんにもご指導いただける学べるワークショップ【Step for your future 】を開催予定です。
敷居が高いと思われるバレエやコンクールですが、どなたでも経験として参加できるよう、レオタードでも、ソロでも、グループでもジャンルものような形でも参加できるようにしています。そして若い方々にも、学んで、見て、実際に舞台に出演することを経験していただきたく、29日には、マラーホフさんと一緒に舞台に立てる機会もつくりました。
夏休みの最後の1週間、様々な経験を淡路島でしていただければなと願っています。
以下ワークショップ詳細
https://www.awajiballet.com/202408concours

次回は、海外からのご報告もできる予定です。
暑い夏ですが、皆様体調に気をつけて、様々な経験を通し素敵な思い出を作って下さい。

インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi Hariyama Official Page

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『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』

針山愛美/著 Emi Hariyama
体裁:四六版並製、240頁ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)

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