今回は、ヨーロッパはラトビアから、日本からお届けします。
- インタビュー & コラム
- コラム 針山愛美
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「リガの春」
ラトビアで、国際ダンス&振付コンクールが開催されました。
2004年より20年間で17回開催され、2024年は5歳から27歳まで、11カ国から約300人のダンサー達が参加しました。
私は、15年ほど前からこのコンクールの審査員とワークショップ講師を務めさせていただいているご縁があり、その他ラトビアで、日本から子供たちを連れて日本の作品を、リガ世界ダンスフェスティバルで発表したこともあります。
このコンクールの特色は、カテゴリーが沢山あり、「バレエ」、「コンテンポラリー」に加え世界各国の「民族舞踊」、「振付部門」の参加者が大変多い点です。
フェスティバルのような雰囲気で和気あいあいと盛り上がり、観光バスで遠くから訪れる団体も多く見られます。
今年はドイツのハンブルクから参加した「Tanzbrucke 」がグランプリを受賞しました。
次回は、2025年4月末を予定されています。
ラトビア国立歌劇場にて
バレエ作品『美しき蒼きドナウ』を見ました。
ヨハン・シュトラウスの美しい音楽で、愛と舞台、夢と現実の選択を描いたロマンティック・バレエです。
この作品は1957年にリガで初演され、以来60年にわたり何度も再演され、ラトビア・バレエの礎のひとつとなっています。
2017年4月に伝説のバレリーナで指導者、プロデューサーであるヘレナ・タンギエワ=ビルズニースの誕生110年の記念日に新たに改定されたプロダクションとして今は上演されています。
全3幕のバレエは、シュトラウスの音楽が満載、振付はシンプルでバレエ作品に良くある男女の三角関係を描いたストーリー。
ロマンティックバレエの良さを醸し出していました。素敵だなぁと思ったのは、お客様の層が、おしゃれをして見に来ている方々、普段着の若者など、老若男女がそれぞれの楽しみ方で劇場に来て楽しんでいることでした。日本もそのように文化が生活の中の身近な存在になればなぁと思いました。
新プロダクションの振り付けを担当したのは、芸術監督のAivars Leimanis氏。以前、彼の『ライモンダ』なども見たことがありますが、ネオクラッシックの作品からロマンチックの作品まで幅広い振付をされていて、本当にすばらしいと思いました。
ラトビア国立歌劇場で、『ラ・フィユ・マル・ガルデ』も見る事ができました。日本では、『リーズの結婚』、ロシア版は 『無益な用心』(Тщетная предосторожность)として上演されることも多い作品です。
ラトビア国立歌劇場ではアシュトン版を上演していて、ボストンバレエ団で踊っていた時にアシュトン版に携わったことがあり、カルロス・アコスタがゲストで訪れて踊ってくださったことを懐かしく思い出しました。
素晴らしいパフォーマンスでした。
『鶴の恩返し』6月8日初演となる新作バレエ
昔話のストーリーではなく、オリジナル構成脚本を考え、演出にもこだわり日々試行錯誤しています。
空間映像の新技術にもチャレンジし、立体的な空間の中で世界観を描きたいと思っています。
"日本の伝統文化×バレエ"には今まで、太鼓やお琴を交えクリエーションしてきましたが、約1時間の長編和作品として、『白鳥』ではなく『鶴』を主役にバレエを制作、、、20年ぐらいずっと思い続けてきたことを実現したいと思っていますが、何もないところからいちから創るのは本当に難しい...。
「日本文化特有の奥ゆかしさ」に文化歴史の背景を加え"恩を返す鶴"のように今まで歩んだ道のりに感謝と平和への願いを込め、国境や言葉の壁を越えて、踊りで表現できればと思っています。
鶴の恩返しと言う作品にメッセージを込めて、そのメッセージが、世界の方々に伝わり、見ている方に感じて考えていただくバレエとして旅立たせることができればと願います。
お琴と、生演奏でお届けします。
様々な強い想いを込めて、皆様の心に届けられるバレエに仕上がるように精一杯できることをチャレンジしたいです。
2年前立ち上げた【Awaji World Ballet淡路ワールドバレエ】は、パフォーマンス、学びの機会、文化芸術を身近に感じていただく機会をと交流会、などを開催して身近に本場のバレエを感じていただける様々な機会を企画しています。
ウクライナから2年前に避難のために手を差し伸べ、今では淡路島で一緒に活動している、キーウ国立バレエ学校で講師マルガリータ・ドゥシャコワ先生、朝の連ドラ「ブギウギ」にも出演された、キーウ国立芸術アカデミー講師カテリーナ・エフチコーワ先生。おふたりに指導していただく機会をと、淡路ワールドバレエアカデミーを立ち上げました。
この度、生徒たちによる単独ミニパフォーマンスをゴールデンウィーク中に開催しました。
また、皆様とお近づきになる交流会ではウクライナメンバー手作りのボルシチを振る舞い質問コーナーなども行いました。
パフォーマンスでは3月から4月にかけて『Coppeliaコッペリア』を、初めて見る方にも楽しんでいただけるような演出を心がけて生演奏も交え全7公演お届けしました。
キャストは、2022年に来日したスベトラーナ・シュリヒテル、ネリア・イワノワがダブルキャストで主演しました。
気軽に劇場に来ていただき楽しんでいただけるプラットフォームを今後も作っていきたいと思っています。
7年目を迎えた「ダンスプロジェクトVol.7」
プログラムディレクターを務めさせていただいている豊中市立文化劇場にて、パフォーマンスを行いました。
2024年も様々なジャンルのダンスやバレエが大好きな方々が集まり、共に和気藹々と熱気溢れる時間を過ごしました。初めに皆様が踊りたい作品をお聞きし、その願いを叶えられるようにプログラムを考え、目標と夢に向かって練習しました。
幼稚園児から大人の方々まで、ダンス経験者も初めての方々も一緒に「ダンスプロジェクト」では振付を自ら考えるなどクリエーションを行ったり、子供たちは楽器を演奏しながら踊ったり、普段できないような経験をしていただけるようなワークショップを開催してきました。
限られた時間ではありましたが、様々な経験が今後に生きてくる事を願います。
世界中の各地で心痛めるニュースが多い中、1人でも多くの方に、心の栄養、明日へのパワーを芸術文化を通して届けていくことができればと、私も自身のできることを精一杯続けて参りたいと思います。
便利な時代ですが、人が集い一緒に目標に向かって汗を流したり、心から感動したり達成感を感じる機会が少なくなっているように思います。そんな中、踊っている人も、見ている人も笑顔が溢れるステージも手掛けていきたいと思います。
6月27日には、チェコのプラハで和太鼓とコラボレーションしたパフォーマンスをさせていただく予定になっております。
その様子などもまた次回お伝えさせていただきたいと思います。
インタビュー & コラム
針山 愛美 Emi Hariyama
13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。
1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
◆Emi Hariyama Official Page
『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』
針山愛美/著 Emi Hariyama
体裁:四六版並製、240頁ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)