春が目前、新学期を迎える季節になって参りました。
- インタビュー & コラム
- コラム 針山愛美
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今回も様々な話題をお届けしたいと思います。
30年以上前、初めてソビエトの時代に海外に行った時のことを先日思い返していました。時代の流れは早く世界が変わりゆくスピードも速く、感慨深い気持ちになりました。そんな中でも、文化、芸術、伝統をしっかり残しつつ、時代に沿った形でお伝えしていければと思います。
先ずは【さっぽろ雪まつりに出演】2月9日
一夜限りのスペシャルコラボ・パフォーマンス『Frost Flowers』の総合演出、出演させていただきました。
アイヌの伝承者・秋辺デボさん、そしてアイヌ古式舞踊の踊り手と歌い手の方々総勢13名と、ウクライナから、スヴェトラーナ・シュリヒテル、ネリア・イワノワ、カテリーナ・エフチコーワ、マルガリータ・ドゥシャコワ、ソフィア・シェイコが共演しました。
プロジェクションマッピングとのコラボレーションも同時に行われました。雪像に映し出された映像は幻想的で美しかったです。
パフォーマンスは、まず最初にアイヌの儀式から始まり、そのシーンに私もステージでご一緒させていただきました。その後、アイヌ古式舞踊の男性の方々と即興コラボレーションダンス、女性の方々とは「鶴の舞」で一緒に踊らせていただきました。
雪の上で、生まれて初めて?トゥシューズで「瀕死の白鳥」も踊りました。まずは転倒しないように必死、寒さで感覚がなくならないか心配でしたが殆ど寒さを感じる事はありませんでした。
ウクライナのメンバーは、ウクライナのオリジナル民族舞踊「プレスカーチ」を踊り、最後は「This Is Me」で全員が一緒に踊りました。
出演者全員が揃ったのは、本番前日の夜。それまでは、どのような形になるのか想像でしかなく、お互いの異なる文化や背景をどう協調していくかずっと考えていましたが、ステージの上では1つになれたのでは、と感じました。一緒に手をつないで踊る場面も振り付けしましたが、みんな笑顔で楽しそうに踊ってくださいました。
言葉や国境の壁を越えて、様々な歴史の背景がありますが心が一つになった瞬間でした。
デボさんが伝統が、伝統として進化していくとおっしゃったのが心に残りました。映像を交えた一夜限りのスペシャルパフォーマンス。今年も北の大地から世界へと、平和の祈りを込めた奇跡のコラボレーションでした。
【防災訓練バレエコンサート】
Disaster drill Ballet concert
~もしもバレエ公演の最中に大きな揺れが襲ってきたら...
あましんアルカイッホールでバレエレッスンワークショップと、パフォーマンスを開催しました。コンサート中の地震を想定し終演後には避難訓練が行われました。
ウクライナから避難でこちらに1年10ヶ月前に来て一緒に活動している淡路ワールドバレエメンバーも総出演でクラッシックからキャラクターダンスまで披露しました。
年始から様々なことが起こり、能登半島でも自分が何かできる事はないかと考える日々です。
いつもの朝が訪れる事に心より感謝し、何か起こったときの備えもしなくてはと再確認したパフォーマンスでした。
観客の皆様にはトークも交えながらパフォーマンスしました。
初めてバレエを見た方が3分の2以上いらっしゃり、急遽客席で座ったままできる手のポジションなどバレエレクチャーも実施しました。皆様、ポジションが美しくびっくり。あっという間の1時間でした。
様々な経験に感謝し、出来る限りの活動を続けていきたいと思います。
【イタリアフェア 特別公演と交流会】
Awaji world ballet 公演「スプリングバレエフェスタ」〜イタリアの春風にのせて〜
7回公演を行いました。
今回は、イタリアの音楽を中心にヨーロッパの雰囲気を感じていただければと、2つの異なるプログラムを用意し、生演奏と共にお届けしました。
仮面舞踏会!新作の「ニューシネマパラダイス」ビバルディの「四季」から冬など、イタリアにちなんだ曲を中心に、一昨年ウクライナから避難の為日本に来たダンサー、先生方と海外で活躍していた倉智太朗さん、山本はるきさんでお届けしたアットホームな公演でした。
ウクライナダンサーのみんなとは良き仲間となり、淡路島を拠点に彼らの生きがいでもあるバレエを通じた芸術活動を行っています。
まだ触れる機会が少ないバレエですが、子供から大人の方までどなたでも気軽に楽しく学んでいただける機会を作り、芸術文化を身近に感じていただければと言う思いでずっと過ごしています。
公演開催中には、ダンサーとの交流会も開催しました。
子供から大人までたくさんの方が今回は参加してくださり、ウクライナのダンサーたちに質問が殺到しました。このように、直接お話しすることによって、親近感を持ってもらったり、また他の国の事などを知って頂く機会を作っていきたいと思っています。
そして、学びの機会もいろいろ作ってきたいと思っております。今回ワークショップを開催しましたが、日本ではあまり学ぶ機会がないキャラクターダンスなども開催し、私自身もとても勉強になるレッスンでした。
バレエをより多くの方々に知っていただくきっかけを作っていければと思います。
https://www.awajiballet.com/performance
【ダンスワールドカップ】
1983年にドイツで始まったあらゆるジャンルのダンスの大会「ダンスワールドカップ」。
世界中の4歳から25歳までの120,000人を超えるこどもたちが、毎年開催されるワールドファイナルへの出場権をかけて予選に出場し、2023年の世界ファイナルには65ヶ国から7,500人が参加、総動員数は25,000人でした。2024年、ファイナルの開催国はチェコ共和国。バレエ、コンテンポラリー、リリカル、ジャズ、タップ、歌とダンス、ショーダンス、アクロ、ストリート/コマーシャル、ナショナル(民族舞踊)、パラダンス(日韓大会限定)のジャンルで開催されます。(ここまで引用です)
昨年は、ポルトガルでファイナルが開催され、ガラ公演に出演させていただきました。
ファイナルは、毎年、開催国が変わり2024年はチェコのプラハで開催されます。
今年は、世界中で行われている地区予選のアジア予選の審査する機会も頂きました。
バレエ部門は以下に分かれていて、その上ソロ、グループ(アンサンブル)などカテゴリーは細かく分かれています。
●バレエ(創作)
古典バレエスタイルがこのカテゴリーに含まれる伝統的なバレエテクニックを使用するが、より厳密な方法ではなく例えば、ポート・ド・ブラの異なる革新的な使い方、オフバランスの動きやポジションの強い使い方、または、脚はクラシックな使い方をしながらも、上半身はモダンな動きを取り入れたものなど。
●バレエ(レパートリー)
バリエーションとして認知されている曲。
にわかれています。
今回アジア予選を審査してびっくりしたのは、、バレエ部門でもアンサンブル部門の参加者が非常に多かったことです。
日本では、ソロのバリエーションでコンクールに参加することが多いですが、グループとしての参加が多い事は、将来全幕バレエなどを踊る時に、協調性、一緒に作っていく過程の経験など、様々な事にも役立つと思いました。
クラシックバレエ部門は子供達とは思えない表現、逆に子供だから出てくるパッション、想像性に溢れた表現力に圧倒されました。
また、キャラクター部門(民族舞踊)も見ましたが、こちらも独特の踊りや衣装で、非常に興味深く、美しく、素晴らしい演技でした。
文化の違い、それぞれの国の素晴らしい歴史や踊り、踊りにもこれだけの種類があるのかと驚きの連続で学びが多く、これをまた次に活かしていきたいと思います。
ダンスワールドカップ日韓大会は、2024年3月20日(水、祝日)芦屋ルナホール、2025年は9月14日(土)あましんアルカイックで開催が決定しています。
6月27日から7月6日に開催される世界決戦ファイナルの審査もさせていただく予定です。
その様子はまたレポートさせていただきます。
「鶴の恩返し」
日本の文化、歴史を取り入れてずっと残る作品を手掛けたいと思っていました。
今回、新制作「鶴の恩返し」を、演出構成、音楽もオリジナルで世界初演を6月頃に予定しています。
これには、様々な心痛むことが起こる世界や日本の状況にはありますが、助けてくださる方々に、そして無事に今日過ごせることに感謝の気持ちを込める、と言う恩返しもコンセプトに、その思いを込めています。そして平和への願いにつながれば良いなと思っています。
見に来ていただければ光栄です。
これからもできる限りのことを続けていきたいと思います。
インタビュー & コラム
針山 愛美 Emi Hariyama
13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。
1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
◆Emi Hariyama Official Page
『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』
針山愛美/著 Emi Hariyama
体裁:四六版並製、240頁ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)