今回は、ヨーロッパから、そして日本からはウラジーミル・マラーホフさんと共演したパフォーマンスの事などお伝えします。

先ずはヨーロッパから

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『Japan Expo』Pari 2023

今年も25万人以上の人が訪れ、あらゆる分野のパフォーマンスやイベントが開催がされたパリジャパンエクスポで2022年に引き続き2023年も踊らせていただきました。
今回はバイオリン、和太鼓、篠笛との和とのコラボレーションパフォーマンスを、2つの異なるステージで5公演させていただき、毎回内容も少しずつ変えるなど日々チャレンジでした。
これまでの経験から、日本と海外の劇場での観客の反応や雰囲気の違いは感じていましたが、エクスポはまた全く違う空気感で盛り上がっていました。
昨年夏24時間テレビでYOSHIKIさんの「Endless rain」に振付し、ウクライナから来たネリアと一緒に出演させていただいたご縁がありますが、今年はYOSHIKIさんもエクスポでパフォーマンスされました。
その他、太鼓ショー、日本伝統の踊り、刀を使ったパフォーマンスなど、素晴らしいパフォーマーの方々が日本全国からパリに集まり披露され、大変勉強になりました。
このような機会をいただけたこと心からの感謝です。

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7月11日
パリ・オペラ座ガルニエで『マノン』を見ました。
私が初めて『マノン』を生で見たのは、ベルリン国立バレエ団で踊っていた時でした。その当時ベルリンでの初演は
 マノン・ディアナ・ヴシニョーワ
 デ・グリュー:ウラジーミル・マラーホフ
と言うキャストで、私も同じステージ上から見て、鳥肌が立ったことを昨日のように思い出します。それからも、様々なキャストで一緒に舞台に立たせていただきました。
今回パリ・オペラ座では、韓国のバレリーナ、パク・セウンさんの踊りを初めて見ることができました。
少し控えめな演技でしたが、清楚で正確で素晴らしい踊りでした。デ・グリューのポール・マルクさんも今回初めて見ましたが、コントロールが素晴らしく、若々しくエネルギーに溢れ活き活きと踊っていて、今後もとても楽しみなダンサーだと思いました。彼の他の全幕バレエ作品が見たいです。
そしてボリショイ・バレエ団やロイヤル・バレエ団で活躍し、現在はパリ・オペラ座バレエ団でバレエマスターを務めているイレク・ムハメドフさんとロビーで久しぶりにお会いすることができ、懐かしい話をしました。彼が今回の主役キャストをリハーサルされたそうです。
随分前ですが、彼と『オネーギン』を踊らせていただいた経験があり懐かしく思い出しました。
素晴らしいパフォーマンスでした。
<キャスト>
マノン:パク・セウン
デ・グリュー:ポール・マルク

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【ダンスワールドカップ】
Dance World Cup は、1年間にわたり世界各国で予選が行われ、1年に1度ダンスワールドカップファイナルが開催されます。そのファイナルは毎年開催国が変わるのですが、2023年はポルトガルのブラガで開催されました。
55カ国から7,500人の出場者、父兄など関係者を含めると約25,000人の方々が集まり盛大に開催されました。
私は最終日のガラ公演に出演させていただきました。その他審査員、マスタークラスなどを務める機会をいただきました。
100年以上の歴史を持つ素晴らしい劇場で行われたファイナル、ガラ公演では、子供達とは思えないプロ顔負けのテクニックを備えた踊りと、パッションが溢れでた表現力に圧倒されました。
文化の違い、それぞれの国の素晴らしい歴史や踊り、踊りにもこれだけの種類があるのかと驚きの連続で学びが多く、これをまた次に活かしていきたいと思います。

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【人生初めて能楽堂にて】
『水の輪』と言うお能で共演させていただき能舞台で踊る機会をいただきました。
山本能楽堂の舞台を初めて見たときには、生半可ではできないと言う緊張感と歴史を感じました。打ち合わせを重ね、実際に生演奏してくださる演奏家はじめ初顔合わせしたのは、本番の前日夜、
リハーサルで生の音楽と声、舞台で足袋を履いて踊らせていただいた瞬間から、今までにない感情とインスピレーションが湧き出て、身体全身が導かれるように動きだす感覚に包まれました。
今回コラボレーションさせていただいたお能「水の輪」は水の浄化をテーマに環境問題について子ども達とも一緒に考える新しい能の作品で、私は汚れた水をきれいにする水鳥の役柄で踊らせていただきました。
お話をいただいた時、私も以前から自然の大切さや美しさをコンセプトに、それを守っていかなければいけない事をバレエに折り込み、語りかける活動をしていたので心より共感できました。
(野外で踊ったり、コロナの期間は自然を背景にビデオ撮ったりhttps://youtu.be/OVNvgGpfAQ4していました。)
観世流能楽師 山本章弘先生と同じ舞台に立たせていただき、今回は5人のバレエの子供たちにも振り付けをし、一緒に出演しました。
様々な試みにこれからもチャレンジしていきたいと思います。

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【Awaji world ballet1周年バレエ公演〜 Souls For Peace平和を祈る魂の舞】
8月24日(木)〜27日(日)全部で4公演、淡路島の「波乗亭」で開催しました。
今年は世界で活躍中で、元ベルリン国立バレエ団芸術監督を務めたウラジーミル・マラーホフさんをゲストとしてお迎えすることができました。
昨年も同じ日程で『Awaji World Ballet』立ち上げ記念公演を、奇跡の連続で建てられたテントシアターで開催しましたが、今年は1周年記念公演として、またパワーアップしたパフォーマンスをお届けしたいと想いを込めて取り組み、精一杯の想いが伝えられるよう全身全霊で臨みました。
劇場が変わったことによって、新しい演出を考え、そのためにオリジナルの曲も作曲していただき、平和の願いを込めて演出振り付けしました。
ウラジーミル・マラーホフさんは踊りだけではなく、トークショー、抽選大会なども自ら盛り上げてくださりました。
今回は、3つの大きなコンセプトをもとに数々の世界初演となる作品を公演いたしました。
「和のコラボレーション」「平和への想い」「ウクライナの文化」です。

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日本と言う国の素晴らしさをバレエや芸術を通して世界に向けて伝えていきたい想い、日本の歴史や文化なども取り入れ、今だから出来る演出と和とのコラボレーションにこだわりました。
淡路島に来た当初から古事記をバレエ化したいと思い続けていました。
今回の新作、『IZANAI』は、古事記に登場するイザナミ(IZANAMI )イザナギ(IZANAGI)からとったタイトルで、人々を導くと言う語源にもつながっています。上田秀一郎さんが作曲、宝満直也さんの振付、生演奏でマラーホフさんとの共演が実現しました。
限られたリハーサルの中でデュエットの新作をクリエーション、マラーホフさんがイザナギを演じてくださりました。リハーサルごとに、そして本番を重ねるごとに表現と動きから伝えたい言葉、思いが湧き出てきて、毎回変化していった作品です。次回10月14日豊中市立文化芸術センターでもこの作品を踊らせていただく予定です。
その新作『IZANAI』に繋ぐ作品として『炎柱エンバシラ』を振付させていただき、和太鼓グループ鼓淡とウクライナのダンサー達、全国から集まってくれたダンサーたち、最後には、マラ-ホフさんも登場し2部構成で上演しました。
今後もっと膨らませていきたいと思っています。
「さくら」では日本を代表する楽器、お琴の美しい響きと映像のコラボで演出しました。
日本では殆ど見る機会のないウクライナの本場の民族舞踊の全編『ゴパック』も衣装にもこだわり、Awajiオリジナルバージョンとして初演させていただきました。

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昨年から避難のためにウクライナに来ているマルガリータ先生、カテリーナ先生、ネリア、スベトラーナが共同で本番の振り付けをしてくれました。こちらは男性ダンサーたちのテクニックも見もので、観客の皆様もとても盛り上がりました。
平和への思いを込めて、昨年に引き続き今年も取り入れたベートーベンの「第九」。
今年は音楽制作から取り組み、何度も想いを伝え、『和』を「第九」に取り入れた曲を作曲していただくところからスタートしました。
実際に花火を使ったり、自然を背景にしたり、この場所でしかできない演出と振付にチャレンジし、子供たちにも出演してもらい、家族の大切さを思い出してもらえるようなシーンも加えました。
憎しみあうのではなく手を差し伸べ、手をつなぎ進んでいければ...「友人や愛する人のいる人生の素晴らしさ」を... そのような思いを込めました。
こちらもウラジーミル・マラーホフさんに出演いただきました。

またパフォーマンスと同時に『学べるコンクール、ワークショップ』も開催しました。
ウクライナの先生方の本場のレッスン、キャラクターレッスン、マラーホフさんによる特別レッスンなど、盛りだくさんでした。そして、マラーホフさんもコンクールでは審査員を務めてくださりました。コンクールの後には、直接先生方から指導いただく機会と、直筆のメッセージシートをお渡しすることにしています。若い方々には、常に様々な事から学び、感じ、大きくのびのびと成長して欲しいなと心から思います。そして好きなことを諦めずに続けてほしいです。
これからも、芸術文化を通して世界の人々の架け橋となり、明日へのパワー、夢、勇気をお伝えし、平和への力になれるような活動続けていきたい。
また、バレエや芸術の楽しさ、喜び、感動を皆様にお届けしていきたいと思います。
[一期一会]と言う言葉がありますが、人と人との出会い、ご縁を大切に、今日という日は二度と無い、常に感謝の気持ちを持って、精一杯進んでいきたいと思います。
心から感謝を込めて。

次回は、少し前の話になりますが、海外出張のときのパフォーマンスの話や、海外からの様子などをお届けできればと思います。

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インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi Hariyama Official Page

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『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』

針山愛美/著 Emi Hariyama
体裁:四六版並製、240頁ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)

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