今月は「ヌレエフ」初演、ヨーロッパと日本からのレポートをお届けいたします。

スロバキア国立コシシェ州立歌劇場
【ダンスの世界を変えたアーティストの伝記的ストーリー。
犠牲を払ってでも、自由のためには常に戦わなければならないという事実について。
ルドルフ・ヌレエフは、20世紀を代表する舞踊家の一人、彼の一生を描いています。】(バレエ団のウェブサイトから引用)

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2021年9月17日、ウィルスコロナの影響で、何度も延期されていた新作「ヌレエフ」世界初演が行われました。
全2幕・3時間の大作、主演したのは、ウラジーミル・マラーホフです。
冒頭は群舞によるアクロバティックなダンスで幕をあけ、ヌレエフがロシアバレエの名門校、ワガノワ・バレエアカデミーに編入し本格的にバレエを学ぶ場面へと続きます。
その後、ソリストとしてキーロフ・バレエ(現マリインスキー・バレエ)でヌレエフが活躍していた時の回想に移ります。
クラッシックのパ・ド・ドゥ「ラ・バヤデール」の影の王国のアダジオをバレエ団員が踊り、その様子を椅子に座りながら見ているヌレエフ(マラーホフ)、時々昔を思い出すように立ち上がり、見せるポールドブラはエレガントで美しく引き込まれました。

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ウラジーミル・マラーホフ演じる「ヌレエフ」は、1幕ではあまり踊らず主に自分の若い時代のことを回想しているシーンが主体となっていました。
中盤ではバーと絡んだり、バーの上を歩きながら踊るなどユニークな男性3名によるパ・ド・トロワや、椅子を使ったアダジオなど、小道具を使いクラシックではない新しい分野の踊りを披露しました。
2幕は、後に伝説のパートナー・シップとまで言われるようになるマーゴ・フォンテインとの見せ場が多く、ドラマティックなデュエットを感情豊かに踊り、画面上からでも感動が伝わってきました。
振付家の、オンドレイ・シュトの演出は、アイデア豊かで音楽も素晴らしく、あっという間の3時間でした。
バレエ団のダンサー達は、コンテンポラリーからクラシックまで何でもこなし、満ち溢れるエネルギーを放っていました。
マラーホフは、立っているだけで輝くオーラを放っており、その表情からは悲しみ、怒り、喜びなどがひしひしと伝わってきました。
今回はオンラインで拝見しましたが、ぜひ近いうち生の舞台で見たいと思います。

制作スタッフ
演出・音楽:オンドレイ・シュト(Ondrej Šoth)
振付:オンドレイ・シュト、ウラジーミル・マラーホフ、マレク・シャリシスキー、シモン・スタリニャーク、ヤマダ ショウコ
脚本:ズザナ・ミスティコバ(Zuzana Mistríková)オンドレイ・シュト(Ondrej Šoth)
セットとコスチューム:パヴォル・ユラス
映画:セルゲイ・イーゴロフ

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上記でお伝えしたマラーホフさんが近々来日する予定になっております。
延期になったパフォーマンスが叶うよう祈ります。

「With Love From Malakhov」
日時:2022年1月19日(水)
開演18:30(開場18:00)
会場:豊中市立文化芸術センター大ホール
出演:ウラジミール・マラーホフ、
針山愛美、
オーディション選抜メンバー 他

プログラム:
「白鳥の湖」よりハイライト
マラーホフ新作(世界初演)
「パキータ」 その他

詳細は
http://www.toyonaka-hall.jp/event/event-26557/

その他、12月16日 豊中市立文化芸術センター大ホール、12月26日 伊東市観光会館 で、パフォーマンスを予定しております。
マラーホフさんもご一緒していただける予定です。
また12月12日、14日、15日、2022年1月4日にはマラーホフさんのワークショップなども予定しております。
(この日程の、1日か、2日のみになることもあります)

こちら詳細また決まり次第随時サイトにアップしていきます。お楽しみに!
www.eiarts.art

クロアチア国立歌劇場からレポートです。
新しいシーズンが始まり、9月9日、23日に劇場前の広場の野外舞台で公演を行いました。
ガラ公演で、モダンやクラシックの短い作品を披露しました。
10月1日からは、「プライドと偏見」という作品の公演を野外ではなく劇場内で行っています。
客席はまだ人数制限を行う予定です。
ダンサーはマスクなしで踊りますが、ワクチンを受けていないダンサーは本番前にPCRテストをしなければいけません。
その他、振付家オハッド・ナハリンの作品「Decadance」のリハーサルが開始しました。現在アシスタントの方が来てリハーサルをしています。
キャストに入っているダンサーのみ参加の朝のクラスは10時から始まり、リハーサルは11時半から17時まで行っています。
2日に1回、朝のクラスも"GAGA CLASS"という即興メインのクラスをしています。
ヨーロッパでも徐々に元に戻ってきているようです。

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「小督局」

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「小督局」

日本でも興味深いコラボレーションのパフォーマンスを経験させていただきました。
まずは、虚空蔵法輪寺での舞台をお伝えします。『小督局』『白鳥』『バッハ無伴奏』を踊らせていただきました。
嵐山を舞台に、高倉天皇の寵愛を受けた和の女性"小督局"の心情を、お琴とフルートとチェロの生演奏と共に演じ、舞いました。
今回、振付・演出は自分自身で行い、嵐山の背景と法輪寺本堂をどのように演出するか試行錯誤しました。
演出に当日加わったのは雨でした。
雨が光も演出し、その時限りのパフォーマンスになりました。
現在は、コロナ禍の影響で主に日本で公演活動していますが、日本の美しさ、歴史、文化などもこの様な舞台活動やオンライン配信などを駆使し世界につなげて行けたら、と再確認したパフォーマンスでした。

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「白鳥」

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もう一つは、法輪寺とは全く異なるパフォーマンス。
「銀河鉄道トワイライトコンサート2021」は、京都鉄道博物館の扇形車庫エリア、野外で開催されました。
私は、京都フィルハーモニー室内合奏団の演奏で「月の光」「ダッタン人の踊り」を踊りました。
まず冒頭から、蒸気機関車C62の汽笛が響き、京都フィルハーモニーが奏でる銀河鉄道999の演奏で、タケカワユキヒデさんが歌い、C62の蒸気の音と共に機関車が動き出すと言う壮大なオープニング。
私は湧いてくるインスピレーションと壮大な空間のを感じるままに即興で踊らせていただきました。

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タチカワユキヒデさんと

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「月の光」

「月の光」前半はかぐや姫のイメージで着物風のコスチューム着て、後半は本来あるドビュッシーの曲のイメージ舞いました。
踊りの舞台を見たことがない方々へ幅広く伝えていく活動や、海外へ日本の素晴らしさを伝えていく活動も続けていきたいです。
「ダッタン人の踊り」は初挑戦でしたが、今後も新しい分野へのチャレンジを続けていきたいと思います。

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「ダッタン人の踊り」

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次にお届けする頃には、ウラジーミル・マラーホフさんの来日が実現できていることを心から心より願います。

その様子をレポートできますように!

インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi Hariyama Official Page

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『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』

針山愛美/著 Emi Hariyama
体裁:四六版並製、240頁ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)

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