コロナ禍から1年以上が過ぎました。

ワクチン接種が始まりましたが、芸術界でも世界各地まだまだ厳しい状況が続きます。
現在海外で活動している方々に世界各地からレポートしていただき、引用させてもらってまとめました。
ベルリンからウラジーミル・マラーホフ氏を招き、9月12日に「With Love from Malakhov 」を開催予定でそちらも準備を進めています。

クロアチア(ザグレブ)
クロアチア国立バレエ団では現在(2021年4月上旬)クラスは15から20人程度のグループに分けて行っています。
クラスのグループが変わったり、リハーサルが始まる前にはダンサー全員がコロナの検査をします。検査は月曜日に行われています。
公演の予定ははっきり出てませんがクラスは毎日行っている状況だそうです。

3月中旬まではJose Martinez (ホセ・マルティネス)が来て3週間ほど「ジゼル」のリハーサルを行いました。主にプリンシパルキャストのリハーサルでした。
「ジゼル」初演は現在6月末の予定ですが、来年の2月に延期されるかもしれません。
4月中旬から、再びホセ・マルティネス氏とのリハーサルが再開しコールドバレエの振り付けに入る予定です。
4月中旬は、「ベニスに死す」のリハーサルも行います。
現在コロナの影響で、少人数の作品は上演できるので、20人程が出演する「ベニスに死す」は5月頃に公演予定です。

アメリカ(サンフランシスコ)
サンフランシスコのトレーニー(研修生)の1日は、朝はクラス、その後リハーサルでした。
バレエ団では観客を入れての舞台は殆ど無く、映像撮影することが多いです。
本来、研修生はバレエ団とのリハーサルする機会が多いのですが、コロナ禍で規制が厳しくバレエ団と共にリハーサルすることは殆ど出来なかったそうです。
学校はバレエ団と同様、週に3回PCR検査があり、男女が同じスタジオで行うパ・ド・ドゥクラスも授業があります。
下級生は、バレエクラスはスタジオで行っていますが、クラッシックとコンテンポラリー以外のヨガ、体操、コンディショニング、音楽のクラスなどはZoomで行われています。
毎日2度の体温チェックがあったり、基本的に自分のクラス以外の生徒とも触れ合うのは禁止で、たくさんの規制に縛られてるものの、安心して授業を受けています。

スロヴァキア(コシシェ)
コシシェ州立劇場のバレエ団は4月現在少人数制でレッスンのみ行っています。
リハーサルや公演は行うことができません。
国としては、20時以降の外出禁止や決められた立体マスクの着用義務、出勤には陰性証明書が必要だったりと様々な規制をしています。
状況は良くなっているようですが、まだ再開のめどは立っていないとの事です。

ロシア(ウラジオストック)
マリインスキー劇場の支部、プリモルスキー劇場の様子です。
公演のない日は、朝11時から男女分かれてクラスレッスンがあります。
レッスンでは床の感覚を掴む為に靴下を履いたり、足に錘をつけたりするなど、それぞれ自分の課題に合わせて工夫を取り入れています。
また、週に一度バーレッスンをした後にポワントクラスをしています。
クラスレッスンの後は、その週にある公演のリハーサルをします。
基本的にコールドバレエは大きいスタジオで、ソリストやプリンシパルは小さなスタジオで、ディレクターとリハーサルをしています。
リハーサルの進め方は先生によって異なりますが、先生だけでなく団員の皆で意見を出し合ったり、経験者に教えてもらいながら進めています。
公演の前日は、クラスレッスンの後舞台上でオーケストラリハーサルをする事が多く、この時に音の速さや場当たりを細かく確認します。
初めて着用する衣装で本番に臨むときは、オーケストラリハーサルの時に衣装を着てリハーサルします。
公演は、1回公演の日と2回公演の日があります。
本番の日は、午後からクラスレッスンが始まりその後舞台上でリハーサルをして本番です。
メイクは基本的には自分達でしますが、特殊な役の場合にはメイクの方にしていただいています。
劇場には身体のメンテナンスをして下さるトレーナーがいらっしゃるので、脚の調子がよくない時はリハーサルの合間にマッサージや必要に応じてテーピングをしていただいています。
体調が悪い時にも診て下さるお医者様もいらっしゃるので安心です。

ウラジオストックでは公演は毎日のように行われています。
ヨーロッパ各地などでは公演自粛が続く中ロシア国内モスクワや、サンクトペテルブルグでも公演がほぼ毎日行われています。
国によって、対応が異なるようでこの先もどうなるかまたレポートしていきたいと思います。

ドイツ(ベルリン)
ベルリン国立バレエ団の状況は以前と変わらず、クラスは少人数で行われています。
受講するかしないかは、自由です。
ロックダウンが長引いているので、いつ公演が再開出来るかは決まっていません。
街の様子は、スーパーやドラッグストアなど生活必需品を販売しているお店はマスクを着用して入れます。
美容室やショッピングモールなどは、事前にCOVID-19 のテストを受け、陰性の方のみ入れます。まだまだ厳しい状況が続いているようです。

各地からのレポートありがとうございました。

3月13日
豊中市立文化芸術センターが創立される前から温め育ててきた「ダンス プロジェクト」も第4回を迎えました。
昨年は、コロナ禍の影響で叶わなかった舞台。

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今回は4歳から大人の方までが10つのグループに分かれてワークショップを重ね、パフォーマンスを開催出来たことに感無量でした。
今回もジャンル、年齢、所属を問わないダンス経験者、未経験者の方々と毎回笑顔溢れる時間を過ごしました。
「ダンス プロジェクト」では様々な経験をして欲しく、ワークショップでは完璧を目指す舞台作りではなく、想像できない様なことにもチャレンジしてきました。
子どもたちは絵を描きながら、楽器を演奏しながら踊ったり、自ら振付にも挑戦しました。
そして短い時間で信じられない想像力を示してくれました。
この様々な経験が、夢を持ち、生きるちからになる事を願います。
私は常に「1人でも多くの方に笑顔、パワーを届け、楽しんでいただきたい」と思っています。
昨年からのコロナ禍の中、世界中の人々が様々なことを感じ考え過ごしてきたことと思います。
私自身も「本当の幸せとは?」と考える時間を持て、今後において大切な事が明確になりました。
夢、諦めないで下さい。
今後も、気軽に楽しんでいただけるダンス、アートのプロジェクトを実施し、人々が自然に集まって来るようなプラットフォームを作りつつ、本場の芸術の素晴らしさも伝えていきたいと思います。

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4月、5月は「眠れる森の美女」ダイジェスト公演を上演中です。
淡路島、波乗亭にて4月10日、17日、24日、5月8日、15日、22日、29日 17時半開演です。
初めて見る方々にもわかりやすくお伝えするコンセプトの「白鳥の湖」に引き続き、第二弾です。
演出、構成、振付を担当しました。
今回は、生演奏とコラボレーション、映像も使い語りも少し加えています。
「バレエ」の伝統と形を残しつつ、初めて見る方にも身近に感じていただけるようなコンセプト作りも引き続き続けていきたいと思います。
https://spice.eplus.jp/articles/284221/

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9月12日(日曜日)には、2年越しになってしまった「With Love From Malakhov」を開催予定です。
こちらはマラーホフ氏からのメッセージです。

伝え切れない想いが詰まっています。
5年以上前の事、ふとマラーホフ氏が「この曲で作品を作りたい構想がある」と聞かせてくださったのが最初のきっかけです。
ベルリン国立バレエ団で10年間芸術監督として、かつトップダンサーとして舞台上で輝くオーラはそこにいるだけでも感じるものがありました。
かけがえない沢山の事を教えてくださりました。
そんなマラーホフ氏と、未来のバレリーナの方々が同じ空間でリハーサルし、パフォーマンスで共演しその全てを感じとってほしいと言う思いが募っていきました。
そして、日本で振り付けしていただこうと決心しました。

今回、マラーホフさんが、世界初演の作品をオーディションで選ばれた方々の為に振付して下さいます。
衣装も背景も全て彼が託した世界トップデザイナーの物を実現化したいと進めています。
ここだけのオリジナル作品、どのような作品になるか今から楽しみです。

世界初演に加え、「白鳥の湖」を短くまとめたハイライトを上演することになり、マラーホフ氏も出演する予定です。
ジュニア、プロフェッショナルダンサーの方々と共演してくださる予定です。
2年前に、マラーホフ版をウクライナで世界初演をした際、振付演出アシスタントとしてご一緒させて頂いた「パキータ」。
こちらも華やかに上演します。
そして、もう一つサプライズの作品も上演予定です。こちらお楽しみに!

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今回、5月16日に12歳から16歳までのジュニアと、高校生以上のシニアに分けてオーディションを行います。
ソリスト候補は、マラーホフ氏が自らご覧になりたいということで、「パキータ」からソロを課題曲としてご指定されました。ソリストで応募される方は、返信メールとともに映像参考映像と音楽が届きます。
オーディション当日はライブで踊っていただくことになり、マラーホフ氏が自らリモートで拝見される予定です。
ぜひ皆さまご一緒していただければと思います。

「With Love From Malakhov」のオーディション、公演の詳細はこちらをご覧ください。
https://www.chacott-jp.com/news/stage/workshop/detail021215.html

海外との行き来はまだ不自由ですが、一刻も早く全ての方々が安心し、笑顔で過ごせる日が来ることを心から願います。

インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi Hariyama Official Page

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『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』

針山愛美/著 Emi Hariyama
体裁:四六版並製、240頁ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)

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