今月は、ヨーロッパからの状況、日本での活動についてお伝えいたします。

まずはベルリン国立バレエ団の状況を少しお伝えします。
現在(10月1週目)、公演も始まり以前とは少し違う形でクラスやリハーサルをしています。クラスは基本的にはコンテンポラリーのグループも含め、5グループに分かれてレッスンしています。ダンサー達はレッスン中やリハーサル中は、マスクは外して踊っています。しかしバレエマスターの先生方はマスクをして指導されています。
ダンサーは、踊っている時はマスクなしを許可されていますが、廊下や劇場内を移動する時はマスク着用の義務があります。
現在「ジゼル」の公演に向けてリハーサルを行っており、全体的に人数を3分の2や半分程に減らしてリハーサルをしています。
また手を繋いだり、腰に触れたりなどの身体への接触がある振り付けや、密の空間になる振り付けなどは、接触がないよう、空間を広く使える様に振りを少し変更をしています。またパ・ド・ドゥやペアで踊るダンサーはPCR検査をしなければなりません。
シーズン開幕後に開催されたガラ公演では、ヘアメイクの時間や担当する方が決まっていました。ヘアメイクで使ったヘアピンは元に戻さず、自分の手元にキープする事になっていました。
また、メイクセットもダンサー1人1人に準備されました。
しかし、またベルリンは規制がかかっています。国外からの入国など、再度規制がかかり今後も劇場等にも影響がありそうです。


続いてスロバキア、コシシェ州立バレエ団近況です。
2020年から2021年のシーズンは無事始まり、9月には様々なパフォーマンスも上演されたということです。

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9月3日(火)「アンネ・フランク」(小劇場にて)上演。
9月4日(水)ガラコンサート」(野外ステージにて)
このガラコンサートには、オペラ、演劇、バレエの全てが参加しました。天気も良く、昼間のリハーサルから街中が賑やに盛り上がり大成功を収めたそうです。
9月16日(水)「Rodná zem(民族の大地)」。
この公演はスロバキア民族舞踊を踊るため、いつも多くのお客様が観にいらっしゃり、とても盛り上がります。コロナの影響により、約6ヵ月振りの大きな劇場での公演となりましたが、いつもと変わらず多くのお客様が足を運び大盛況となったそうです。
しかし、ウラジーミル・マラーホフ主演予定の「ヌレエフ」世界初演のリハーサルを行っている中、9月末から10月1週目まで、自粛を余儀なくされたそうです。
10月末に予定されていた「ヌレエフ」初演は、11月29日に延期されたということです。
10月1日に予定されていたマラーホフ版の「白鳥の湖」も含め上演が不可能になったそうですが、10月21日にはガラ公演が開催されるそうです。


クロアチア国立歌劇場バレエ団の近況。
無事今シーズンがスタートしたそうです。
10時〜11時15分までのクラス、その後毎日15時までリハーサルをしているそうです。
入り口で簡単な体温検査のみ行い、リハーサル中などはマスクを着用せずいつも通りに活動していると言うことです。
9月には劇場前に野外舞台を設置し、プリンシパルのダンサー達が小作品を踊るパフォーマンスが行われたそうです。
(プログラム内容以下の通り)
1.CONDITIONING EXERCISES
Performers: Nika Kristina Crnić, Lucija Radić, Mutsumi Matsuhisa, Mario Diligente, Adam Harris, Matheo Bourreau

2. LOVE suffering
Piano arrangement: Sergei Rachmaninoff
Choreographer: Lorenzo Missouri
Performed by: Rieka Suzuki and Takuya Sumitomo

3. LET ME GO
Music author: Georg Friedrich Händel
Choreographer: Valentina Turcu
Performers: Iva Vitić Gameiro and Guilherme Gameiro Alves

4. WHITE NIGHTS
Music: Frédéric Chopin
Choreographer: Lorenzo Missouri
Performed by: Atina Tanović and Kornel Palinko

5. VIII. MARS
Music: Elliott Carter
Choreographer: Leonard Jakovina
Performed by: Takuya Sumitomo


野外舞台パフォーマンスは昼・夜合わせて計3回公演が行われたそうです。

その後、10月には「ベニスに死す」を上演予定。
11月には、Leo Mujic 振り付け、「プライドと偏見」という作品の初演が控えています。
無事上演される事願います。


私自身も、海外に未だ戻れずにいますが、有難いことに様々なパフォーマンスを経験させていただく機会がありました。

まずは映像プロジェクトから。
8Kやドローンで撮影し、壮大な大自然をバックにバレエを踊る、プロジェクト、「伊豆の大地に舞う」映像第一弾完成しました。世界の方々に日本、伊豆の大自然の美しさを見て頂きたいです。

お時間ありましたらこちらから。
https://youtu.be/JS3QljzMdso

急遽主催でチャレンジすると決めた舞台...
「Be on the Stage」
あなたの踊りを大舞台で!

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「Be on the Stage」© ステージグラフィカ(すべて)

10月10日(土曜日)当初予定していた「With Love From Malakhov」の公演のオーディションを新型コロナで延期せざるをえなくなりました。
代わりに、大きな舞台で踊る機会があまりない中、ステージを自由に使っていただきたいという想いから準備期間1ヵ月足らずで急遽企画した「Be on the Stage」。
ジャンルを問わず、衣装ありでもなしでも、メイクの有無もグループとしての参加も自由、どなたでも参加できる会場で踊れる機会をつくりました。
そして、舞台上でワークショップも開催しました。
全てが初めてのこと、台風で開催できるか直前まで決断を迫られ、参加して下さった方々とも初めて会場でお会いする中、どうなるか少し心配でしたが、出来る限り準備はしました。
「舞台を作る」と言う事は簡単なことではありません。沢山の方々の協力、サポートがあって成り立ちます。
今回は、至らない私を支えて下さり数え切れない方々が助けて下さりました。

舞台では冒頭で「星に願いを」の生演奏に合わせて即興で少し踊りました。
踊りや、演奏は、テクニックだけで感動や気持ちを伝えることができないと思います。
この舞台には以前から取り組んでいる自然への想い、家族やご縁の大切さ、そして自分が今できる事、人のためにできる事を.....
沢山のメッセージが詰まっていました。

舞台上でのワークショップでは、主に空間をどのように使うか、ステージプレゼンテーション、等普段とは少し違う事をお伝えしました。参加してくださった方の輝いた瞳、そしてレッスンの姿に逆にエネルギーをいただきました。
また、舞台で発表してくださった方々は、クラシック、コンテンポラリー、創作ダンス、グループダンスなど凡ゆるジャンルの作品を活き活きと踊ってくださりました。
一番心配していたオンライン配信は、マラーホフさんと無事にリモートでつながり、舞台上のスクリーンにプロジェクターで映し出す事が出来ました。
心温まるお話を参加者の方々にしてくださりました。
そして、当初の予定では10月10日(土曜日)予定していた「With Love From Malakhov」の公演で上演予定だった「パキータ」をジャパンインターナショナルバレエカンパニーのダンサーにリモートで指導してくださいました。

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マラーホフさんは「With Love From Malakhov」の公演は2021年9月12日に延期になりましたが、来日を心より楽しみにしていると最後に締めくくってくださいました。

このような状況の中、無事に開催できたこと、そして幕を閉じることができたことに心から感謝いたします。
映像は、また編集してアップしていきたいと思います。
この日を共有してくださった方々、この日のためにサポートしてくださった方には心から心からの感謝申し上げます。ありがとうございました。

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「Be on the Stage」© ステージグラフィカ(すべて)

11月8日から開始予定
「バレエを身近に!楽しもう!」〜世界と静岡をつなぐプロジェクト〜
世界中から配信されるワークショップフェスティバル!
With Zoom online(海外のバレエ名教師と日本のバレエをつなぐ)

コロナの影響で、留学を目指していた方、海外のカンパニー就職を希望していた方々の夢が現実になるのは今年は例年より難しい状況にあります。
そんな中、世界で活躍するダンサー、国立バレエ団の芸術監督、国立バレエ学校の名教師の方々にレッスンしていただき、普段経験出来ない空間を共有出来ればと言う想いです。
レッスン後には、バレエに対して、そして今大切なことなどを先生方の視点から話していただく時間を設けます。
日本語の通訳が付きますので、先生方の言葉が少しでも皆様の心に残り、今後の役に立つ事を願います。
<詳細>
https://www.eiarts.art/world-ballet-shizuoka

12月は、また様々な角度からレポートだと思います。楽しみにしていてくださいね!

インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi Hariyama Official Page

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『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』

針山愛美/著 Emi Hariyama
体裁:四六版並製、240頁ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)

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