チャコット公式Webサイトの表示不具合に関して<9/21現在>

日本全国、そして世界中がコロナ感染症の影響を受けています。

今回、海外から来日予定だった団体も公演の延期もしくはキャンセルが決定されています。
またミラノ・スカラ座も劇場を閉鎖しパフォーマンスをキャンセルするなど今までになかったような状況が続いています。
私自身も、3月に予定していた公演、携わっていたパフォーマンスやイベントは全てキャンセル、もしくは延期になりました。

今回は、今までに私が実際にヨーロッパ、アメリカ、ロシアなど経験した公演キャンセルにまつわるエピソードをお伝え致します。

ドイツを始めヨーロッパでは、アーティストの組合がしっかりしています。
特に、オーケストラ、オペラ歌手のコーラスは、アーティストの権利や権限を守るために組合が様々なことを交渉したり様々な働きをしてくれます。
私が、ベルリン国立バレエ団で踊っていた時代、何度もオーケストラのストライキがありました。賃金交渉や仕事の条件の改善等をめぐって音楽家が団結し、ストライキを普通に何度も行える状況でした。
オーケストラがキャンセルをしたパフォーマンスを、バレエ団専属ピアニストのピアノ演奏をマイクで客席に通して公演を行ったこともありました。日本では信じがたいことです。
ダンサーたちは、当時あまり自らの要望や意思を発言せず、バレエ団から出されるスケジュールと条件で踊っていました。
私は踊る事が好きですし、条件などは全く気になりませんでした。
2014年にベルリン国立バレエ団の芸術監督が変わることになり、その時に諸々起こった出来事にダンサーが不安を感じ始めました。
そしてダンサーが団結し組合に入り、契約交渉等の為パフォーマンスをキャンセルしストライキを行ったことがありました。
その日しか機会が無い方々、初めてバレエを見に来てくださった方もいらっしゃるだろう等考えると、私はパフォーマンスをキャンセルするなど考えられません。
しかし2014年から15年の頃は、契約交渉の為何度もストライキが行われました。

5534CF82-88BB-4BF5-85E7-D0C22AA6868C.jpg

E8636A06-2F67-4867-AB27-D73C9E5D7668.jpg

日本ではアーティストの立場が全然違います。踊るのが好きで、舞台があれば喜び、踊りたい、と言う方々が沢山います。ですが舞台の数が海外と比較すると本当に少ないのです。
私は海外で踊っていた頃、年間100回位のパフォーマンスをこなしていました。バレエが仕事として成り立っているので安定した環境で踊りに集中する事が可能でした。
日本でもダンサー、アーティストが踊る事を仕事として集中出来る環境になる事を願います。

その他、アメリカのボストン・バレエ団で踊っていた頃の組合は、規則がもっとしっかりしていました。契約書に、例えば踊る場所の気温が何度以上、何度以下でなければいけないなどとも書かれており、それより暑かったり寒かったりするとパフォーマンスをキャンセルできるのです。

EA618FB3-BEAC-48A1-9EC8-6A92438DEBC8.jpg

ロシアで「白鳥の湖」

ロシアでは、昔は契約書があっても、それが功を示さないような時代がありました。
サンクトペテルブルグのあるバレエ団にゲストとして呼ばれ、ドイツ国内のツアーを回るというお話を頂きました。「白鳥の湖」全幕出演を踊る日程まで決まっていました。
ところが、ツアーが始まって2日目、急にすべてのパフォーマンスがキャンセルになったと言う連絡が入りました。
私は自分が出演する日の前に現地入りする予定で、他のダンサーより後から向かう予定だったので、その当時まだアメリカにいました。まさにアメリカからドイツに向かうと言う前日の電話でした。
しかし、航空券は既にとっていたので、私はそのままドイツに向かうことにしました。ツアー自体がキャンセルになり私自身も泊まる所が無く、急遽現地で自力で探したウィークリーマンションを借りて2週間ほどドイツで過ごしたことを覚えています。
その事があった直後、2004年8月からベルリン国立バレエ団に入団する予定でした。
ツアーは5月だったので、自分のアパートを探す期間にしようとマインドを切り替えました。しかし、ロシアのカンパニーからは、もちろん何の保証もサポートもありませんでした。
その時は仕方がないと思い、あっさり終わりましたが、本当に様々なことがありました。

IMG_0002.jpg

ベルリン国立バレエ団ガラ

F39374BA-A12E-4746-A60E-6528CA2BA0B8.jpg

ここまではちょっとしたエピソードでした。
しかし、今回はウィルスと言う見えない敵との戦いです。
世界中が今後どうなっていくかまだ不透明でわからない状況ですが、人は助け合い、共に生きて行かなければ1人では生きていけないと強く感じます。
芸術などに携わる私たちは、1人ではパフォーマンスできません。
踊る人、作る人、それに携わる人々、観客、数え切れない人の力で成り立っています。そしてパフォーマンス出来る空間があってこそ成り立ちます。
早くこの状況が落ち着き、安心している世界に戻ってほしいと心から思います。

インタビュー & コラム

hariyama.jpg

針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi Hariyama Official Page

2018emi_book.jpg

『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』

針山愛美/著 Emi Hariyama
体裁:四六版並製、240頁ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)

ページの先頭へ戻る