今回は、ロシア、サンクトペテルブルクとペルミからお届けいたします。

今回は、ロシア、サンクトペテルブルクとペルミからお届けいたします。

ボリス・エイフマンは、力強くダイナミックな独自のスタイルを用いた作品を手掛けるロシアのバレエ振付家です。1977年、サンクトペテルブルクに自身の国立バレエ団、ボリス・エイフマン・バレエを設立しました。ロシア以外の海外公演にもよく行っており、今年2019年には日本にも来日し大成功を収めました。
そのエイフマンが数年前に設立したバレエ学校を見学してきました。
前回バレエ学校を訪れたのは2年以上前になりますが、その間に大きな進歩を遂げていました。
今のところ、ロシアと旧ロシア圏以外の外国からの生徒は受け入れていないそうです。地方から出て来た生徒のための寮の設備は充実しており、生徒たちは食事も無料で食べることができます。

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エイフマンバレエ学校

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新しくできたスタジオ

今回、見学したクラスの中で特に印象に残ったのは、インプロビゼーション(即興ダンス)の授業でした。
先生が、例えば「写真撮影」「噴水」等の何かお題を出すと、子どもたちが自由にその言葉から思いついたポーズを考えます。思いついた子供から1人、また1人、それを見てまた1人と1つの大きな形を作り上げていきます。先生は特に生徒を指名せず、アイデアを思いついた生徒が次々とポーズを重ねていき、20秒位の1枚の絵のようになっていきます。本当に面白い光景でした。
その他クラシックバレエなどの授業のほかに、ジャズダンスの授業があるのも印象的でした。
今年初めての卒業生を出すので、スタッフの方々は生徒たちがどこに就職するか楽しみだとおっしゃっていました。もしかすると、ブロードウェイのミュージカルに就職したりする子どもたちも出てくるかもとおっしゃっていましたが、まさにクラシックから現代の様々なパフォーミングアートに対応できる学校だと思いました。
施設も素晴らしく、この先、純クラシックでワガノワバレエ学校、また少し異なる路線でエイフマン バレエ学校は大きく発展して行くと思います。
近年中には、バレエ学校専属劇場もオープンする予定でますます楽しみです。

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エイフマンバレエ学校ジャズクラス

ロシア国立ペルミバレエ学校 を訪れました。
ペルミバレエ学校には1994年に初めて訪れました。その頃は、今のような寮は無く、ベッドとは思えないようなマットで寝たことを覚えています。
その後、2010年ごろにペルミバレエ学校ドイツ国内ツアーの際に「くるみ割り人形」のパフォーマンスを見ました。

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食堂

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新しくできた空港

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現在もペルミバレエ学校の芸術監督であるウラジーミル・トルストーヒン氏にはその時にお会いし、今でもお世話になっています。芸術監督自らセットなども組み立てていらしたのがとても印象に残っています。気取らない方で、常に生徒の事を考えておられます。
数年前に校長に就任したサスニナ・ダリアさんは、お若くまた現役ダンサーとしても充分活躍できると思います。
学校の今後のビジョンや考え方もしっかりお持ちで、様々なことに共感を持つ事が出来ました。

そのダリア校長のクラスを見学させていただきました。先生の指導は絶対に妥協を許さない、力強くエネルギッシュなクラスで、この様なレッスンを受けていたら本当に強くなるだろうと思いました。生徒は一言たりとも聞き逃すまいと真剣な瞳で、先生に必死について行く姿に感動しました。
バレエ学校のレッスンは、どのクラスもワガノワメソッドに基づいています。

その他にも、学校内にある劇場で歴史風俗ダンスなども見学させていただきました。卒業生のクラスでしたが、日本人の留学生も頑張っていました。

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ペルミバレエ学校

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ペルミバレエ学校

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ペルミバレエ学校内の劇場

また、ペルミバレエ団ではレッスンを受けさせていただきましたが、バレエ団のレッスンと学校のレッスンの違いを見比べることが出来、再確認する事がたくさんありました。
学校時代は先生方がしっかり指導してくださり注意もしてくださるのですが、バレエ団に入ると、クラスはリハーサルや本番のためのウォームアップになりがちです。しっかり自分で意識してレッスンしなければいけません。その辺の意識の持ち方が本当に大切だと思いました。

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ペルミオペラ劇場

その後「ラ・バヤデール」のステージリハーサルも見学しました。
劇場は大きすぎず、全てがよく見える造りで、会場は温かい雰囲気を備えています。この劇場では2年に1度アラベスク国際バレエコンクールも行われています。
「ラ・バヤデール」は2つのキャストが交代でリハーサルを行いました。
ニキヤ役の第一キャストは、ポリーナ・ブルガコーワでした。彼女はレッスンの時から抜きん出ていましたが、ステージでも人を惹きつけるオーラがありバレエ団の看板バレリーナです。
第2キャストは、入団2年目の新人ブルガン・レンツェンドロシュが抜擢されました。モンゴル出身のバレリーナです。彼女は、すでに「白鳥の湖」で主役デビューをしているそうです。今回ニキヤを踊るのは初めてだそうですが、テクニックも強く容姿端麗で今後が楽しみです。カンパニーも大きな期待を寄せているようでした。
コールドバレエは、よくリハーサルされており、そろっていて素晴らしかったです。ロシア国内でも中でもレベルの高いとても良いバレエ団でした。

来月はヨーロッパからお伝えします。

インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi Hariyama Official Page

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『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』

針山愛美/著 Emi Hariyama
体裁:四六版並製、240頁ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)

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