令和元年台風 19 号により、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げますとともに、
被災地の一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

今回はロシアの話題をお届けいたします。

海外では9月に新学期が始まる国が多くありヨーロッパやロシアでも新シーズンが始まりました。

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ワガノワバレエ学校

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ワガノワバレエ学校

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ワガノワ一年生

まずワガノワバレエ学校について触れたいと思います。
ワガノワバレエ学校に初めて訪れたのは1991年3月のこと、その時の感動は今でもはっきり覚えています。250年以上続く伝統を今も受け継ぎ、ワガノワメソッドを指導しています。

今回はまず新入学生のクラスを見学しました。入学してから1週間と言う可愛い10歳位のバレリーナたちは真剣そのもの、必死で付いて行く眼差しから彼女達のバレリーナへの意思が見えました。
先生の指導は緊張する生徒達を上手に導き、厳しく、時には褒めながらレッスンが進んでいきました。
バーレッスンの前に、床を使って体の使い方、関節の開き方など筋力トレーニングをたくさん行っていました。その日のレッスンは、ほぼ床運動と筋力トレーニングで終わりましたが、身体のプレースメントを理解するにあたり非常に大切な事だと思いました。

バーレッスンは30分で、プリエ、タンジュ位で終わりましたが、プリエがどれだけ重要かと言うことを、再確認しました。
その他、リュドミラ・コワリョーワ先生の卒業生クラスを見学させていただきました。コワリョーワ先生の指導が素晴らしいのはもちろんですが、印象に残ったのは、生徒達と先生の間で色々と意見が交わされていたことです。先生が一方的に「こうしなさい、×××しなさい」と指導するケースが多いですが、コワリョーワ先生に生徒がハキハキ自分たちの意見を言えるほど、先生との信頼関係があるのだなと感じました。
レッスンの内容は、シーズンが始まったところの今はほぼ例年と変わらない内容でしたが、卒業試験が間近になってくる春にはクラスのアンシェヌマンが、1つの舞台作品のようになっていきます。今年の卒業生がどのように育っていくかとても楽しみです。

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コワリョーワ先生クラス

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シローチン先生キャラクタークラス

キャラクターの5年生のクラス(14歳〜15歳のクラス)を見ました。顔の使い方、ポールドブラの使い方などを丁寧にゆっくり練習していました。指導していたのは、夏日本にも来てくださったワジム・シローチン先生。見本を見るだけでも勉強になりました。
学校は、この数年で本当に綺麗に改装されましたが、昔からの雰囲気は変わっていません。毎回訪れるたびに、身が引き締まる緊張感が漂っています。またどのようなスターが誕生するか楽しみです。

9月9日
マリインスキー劇場のシーズンオープンの公演を見ました。
作品は「白鳥の湖」。
リハーサル、ゲネプロも見せていただきました。2019 - 2020のシーズンが始まったばかりと言うことで、短い期間のリハーサル(2日間のリハーサル時間しか無いとおっしゃっていました)でしたが、さすが毎回上演している演目だけあってしっかりまとまっていました。

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ゲネプロキャスト
オデット/オディール:エカテリーナ・コンダウーロワ
プリンス ジークフリード:ティムール・アスケロフ

エカテリーナ・コンダウーロワは、容姿、踊り、全てが美しく、ポールドブラのひとつひとつがまさに白鳥そのものでした。黒鳥の役作りも白鳥とはガラッと変化し、妖艶かつエレガントで、リハーサルでも本当に魅了されました。ウリアナ・ラパトキナが先日引退しましたが、コンダウーロワがその後しっかり引き継ぎ、ゆるぎないクラシックバレエの真髄を伝えていました。

そしてゲネプロ後の本番
オープニングパフォーマンスキャスト
オデット/オディール:エカテリーナ・チェブキナ
プリンス ジークフリード:ティムール・アスケロフ

予定されていたジークフリードのキャストが変更になり、昼にゲネプロを終えたティムール・アスケロフが夜の本番も踊ることになりました。
キエフのバレエ学校を卒業し、マリインスキーで花開いたチェブキナは、小柄ながらバランスのとれた美しいラインを活かし、安定した踊りで魅了しました。まだ若く、今後楽しみなダンサーです。
プリンスのティムールとは、所々お互い様子を伺いながらパートナーシップをとっている箇所もありましたが、それでもやはりプロ。最後まで熱演で堂々と踊りきりました。
2年前にマリインスキー劇場に入団した日本人バレリーナ、安齋織音さんは大きな4羽の白鳥で出演されており、ロシア人と並んでもひけを取らない恵まれた容姿を生かし、丁寧に踊っていました。今後が楽しみです。
数年前、当時ワガノワ生徒だった方々も道化役などに抜擢され、若手が活躍していく様子を見るのも楽しみです。

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9月10日
ミハイロフスキー劇場の「眠れる森の美女」をみました。
ベルリン国立バレエ団でも上演していた ナチョ・ドゥアト版です。
ナチョ・ドゥアトはウラジミール・マラーホフの後2014年からベルリン国立バレエ団の芸術監督を務めましたが、今はミハイロフスキー劇場の常任振付家に復帰しています。

キャスト
オーロラ姫:アナスタシア・ソボレワ
プリンス デジレ:ビクター・レベデフ
リラの精:アンドレア・ラサコワ
カラボス:マラット・シェミイノフ
指揮:Pavel Sorokin

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ベルリン国立バレエ団や、ミハイロフスキー劇場でもこの作品を何度も見ましたが、今回のパフォーマンスが一番素晴らしかったように思いました。
ダンサーの良さが新演出のこの作品により一層発揮されていました。
ネオ・クラシックのパをラインが彫刻のように美しい長身ロシア人ダンサー達が踊ると、より一層ダイナミックに見えました。ダンサーたちも、初演から何回も踊りこなしているので、動きが自分たちのものになりのびのびと踊っていました。
主演の2人は、11月に日本公演に来るときに踊る予定のアナスタシア・ソボレワ&ビクター・レベデフでした。ソボレワは可憐で美しいながらも力強い踊り、そして安定したテクニックで難しいパも難なく踊りこなしていました。レベデフは、強靭なテクニックの持ち主、3幕のバリエーションは本当に難しいのですが、完璧に踊りきっていました。2人のパートナーシップは、長年蓄積された経験と信頼関係から自信に満ち溢れた素晴らしいものでした。
日本人で活躍する田中美波さんも、第3幕のダイヤモンドの精で出演されていました。田中さんも手足が長く足も美しく、しっかりカンパニーに馴染んで堂々と踊っていらっしゃいました。今後の活躍が楽しみです。

ロシアバレエの伝統は、ロシア国内どこのバレエ学校、バレエ団を見に行ってもしっかり引き継がれています。しかし、バレエ団は近年芸術監督の趣旨や世界のダンス界の流れを取り入れ、オリジナリティーある個性的な作品を上演する劇場が多くなってきました。見に行くお客様にとっても、行く劇場によりオリジナル作品、初めて見る作品が多くなり、より一層魅力的な芸術の街になっている事は確かだと感じました。

来月もまた、ロシアやヨーロッパの話題をお送りいたします。

インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

www.eiarts.com
www.japanballet.net

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi Hariyama Official Page

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『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』

針山愛美/著 Emi Hariyama
体裁:四六版並製、240頁ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)

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