今月はベルリンの様子をお伝えいたします。

5月29日
ベルリン国立バレエ学校の卒業試験を見学しました。
午前10時から、女の子達のクラシックレッスンのテストが1時間15分にわたり行われました。
卒業クラスの教師は、ビアラ・ナチェワでした。
私がベルリン国立バレエ団で踊っていた2004年から2014年までの間の数年間、一緒に踊っていました。数年前に退団した後、フリーとして活躍し、2年前にベルリン国立バレエ学校の教師として活動を始めました。
バーレッスンからセンター、トゥシューズまで、まるで1つの作品のように続くパは素晴らしかったです。
アダージオなどは、流れるような振り付けで美しく、ジャンプや回転などはメリハリのついたテクニックをテンポよく見せて行き、見所満載の卒業テストでした。

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その後、男の子のクラスの卒業式が行われました。
教師は、クリストフ・ベーム先生、ライプチヒバレエ団などで踊っていた先生です。今年卒業するのは2人でしたが、他の学年の男の子たちも混じってテストを受けました。こちらも、惜しみないテクニックを披露しダイナミックな踊りを見せてくれました。

クラッシックのレッスンの後は、レパートリークラスのテストで、それぞれがバリエーションなどを披露しました。
レパートリーに引き続き、コンテンポラリーとインプロビゼーションのテストもありました。
コンテンポラリーはレベルが高く、プロ顔負けの踊りでした。10時に始まり17時までぶっ続けで踊り続けた卒業生達、最後は映像とともに涙で終了しました。

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今年、第6回を迎える、ベルリンインターナショナルワークショップに参加した将来のバレリーナたちは、卒業試験を見学することができ、すばらしい勉強することができました。
今年は、5年前に留学をお世話した方、3年前に留学をお世話した2名の方々が卒業しました。その場に立ち会えて本当に嬉しかったです。今後の活躍を期待しています。

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5月31日
ベルリン国立バレエ団の「ラ・シルフィード」を見ました。
パフォーマンスを見る前に、ベルリン国立バレエ団にてバランシン メソードのレッスンを受ける機会を設けました。
なかなか日本では受けることのできないレッスンですが、バランシンの作品を踊るときには、なるほどと納得できるバーレッスンやセンターレッスンの流れでとても興味深いものでした。レッスンの最後には、シルフィードの1部分のパントマイムを学ぶことができ、参加した生徒たちは一石二鳥でした。
シルフィードのパフォーマンスで特に印象に残ったのは、2幕でした。セットが美しく、美しい背景がシルフィードにマッチして幻想的な空間を作り出していました。
この数年で、カンパニーメンバーはかなり変わり、指折り数えられる位しか顔がわかるダンサーがいない程でした。
ジェームス役のマリアン・ワルターは以前と変わらない安定したテクニックで、ポジションも美しく、素晴らしかったです。
シルフィード役のルシアナ・ボルトリーニは今回初めて見たダンサーでしたが、足さばきがクリーンでジャンプも軽やか、美しいダンサーでした。
魔女役のオーロラは、女性とは思えない迫力の演技でプリンシパルの貫禄を出していました。

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振付: August Bournonville
演出: Eva Kloborg | Anne Marie Vessel Schlüter | Frank Andersen
ステージ、衣装: Marie i Dali
照明: Ellen Ruge
音楽: Henrik Vagn Christensen
<キャスト>
ラ・シルフィード: Luciana Voltolini
ジェームス: Marian Walter
魔女: Aurora Dickie

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6月1日、2日
2日間にわたり、ベルリンインターナショナルアカデミーにて、ウラジーミル・マラーホフはじめ、様々な先生方のワークショップが行われました。

マラーホフ特別レッスンでは、センターのアンシェヌマンは一捻り入った新鮮なパで、子供達は頭をフル回転させ必死に食らいついていっていました。
マラーホフさんのバリエーションの個人指導は、勉強させられることばかりでした。
一人一人、年齢と個性に合わせての指導は、何度も何度も根気強く、わかるまで噛み砕いて説明してくださり、自らお手本を見せて説明してくださりました。ときには、パートナリングをしながらサポートをしながらどこに立つか、どこに手を持っていくなど丁寧に教えてくださりました。厳しく、しかしユーモア交えながらの指導で子供たちも緊張しながらも、笑顔がこぼれる充実したレッスンでした。
マラーホフさんのクラス以外にも、コンテンポラリーのレッスンや、キャラクターレッスンも並行して行いました。あらゆることを吸収して勉強してほしいという願いから企画しましたが、若いうちに様々なことを経験することが、将来様々な時に役に立ってくれることを願っています。

ベルリンインターナショナルワークショップの最終日には、ベルリン国立バレエ学校の生徒たちと一緒にレッスンを受けました。
そして、参加した全員がバリエーションを披露する発表会が行われました。
踊りになるとみんな輝いていました。レッスンの基礎は本当に大切です。日ごろから基礎をおろそかにせず、ポジションなどきっちり丁寧に踊ることと、舞台で輝ける要素、芸術的な要素も両方持ち合わせることができるとすばらしいと思います。
本当に素晴らしい才能持った方々と時間を共にすることができ、自分が学ぶことがたくさんありました。ありがとうございました。

来月は、カザフスタンの様子などをお伝えしたいと思います。

インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi Hariyama Official Page

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『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』

針山愛美/著 Emi Hariyama
体裁:四六版並製、240頁ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)

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