今回は、ベルリンと、ウクライナからお届けいたします。

今年で第5回目を迎えるキエフグランプリ。
2019年は、3月11日から13日の3日間にわたり行われました。
第1回目から見ていますが、今年も世界各国16カ国から魅力的なのダンサー達が集まりました。

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このコンクールは、まずレッスン審査から始まります。
そして、レッスン審査を通過したダンサー達は、バリエーション審査に進みます。
まずはクラッシックのソロ、そしてコンテンポラリーのフリー作品の2曲を、キエフ国立歌劇場のステージで踊ります。
クラッシックのバリエーション部門では、出来上がったテクニックを見せつけるのではなく、将来的な才能や、今の年齢に合ったできることを丁寧に見せるダンサーが多く好感を持てました。
コンテンポラリー部門は、5年前に初めて見た時から比べて参加者、作品のレベル格段に上がりました。
ウラジーミル・マラーホフ氏は今回特に男性部門が興味深かったとおっしゃっていました。
男性部門では、日本、トルコ、イタリアから出場した方々のコンテンポラリー作品が特に興味深く、印象に残る作品が多数ありました。

今回、グランプリを受賞したのは、キエフ国立バレエ学校6年生の生徒Hryhorieva Oleksandraでした。
発表された時、彼女は信じられないと言う表情で両手で顔を覆い、半分呆然としていましたが、徐々に実感が湧いてきたようでした。
審査委員長のウラジーミル・マラーホフは、彼女のコンテンポラリーの作品がとても良かったとおっしゃっていました。将来がとても楽しみなダンサーです。
第1位はElina Bidna、若林侑季さん、清田ともみさんの3名に授与されました。
Elina Bidnaはキエフ国立バレエ学校の生徒で、基礎がしっかり出来ていて基本に忠実な正確なバリエーションを見せてくれました。
若林さんと清田さんは、素晴らしいテクニックの持ち主で安定した踊りを披露してくれました。2人とも現在シュツットガルトバレエ学校の最高学年で、今年卒業した後ハンガリー国立バレエ団に入団するとの事です。

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コンクール授賞式の後、ガラパフォーマンスが行われました。
まずキエフ国立バレエ学校のためにKsenia Zverevaが振付したコンテンポラリー作品(世界初演)で幕を開けました。
リハーサル風景も見せて頂きましたが、今回初めてコンテンポラリーに取り組んだとは思えない身体表現をしていました。生徒達が和気あいあいと楽しそうに取組んでいたのが印象に残りました。
本番は皆の気持ちが1つになったのが伝わって来ました。
幻想的で力強く迫力溢れる空間を作り上げていました。
照明の使い方も本当に素敵であっという間の8分間、また是非見たい作品です。
その後、エキジビションがあり、受賞者の中から審査員に選ばれた方々がバリエーション、コンテンポラリーソロを披露しました。

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ガラの最後には、ウラジーミル・マラーホフ氏がウィーン国立バレエ団で初演し、ベルリン国立バレエ団でも上演していた作品「仮面舞踏会」の中から「四季」の部分が上演されました。
仮面舞踏会は、5年前にウラジミール・マラーホフ氏と私がキエフ国立バレエ学校を訪れて振り写し、指導させて頂いた思い出ある作品です。
衣装は、ベルリン国立バレエ団で使っていたものを当時、マラーホフファンデーションがバレエ学校に寄付しました。
今回は、学校の生徒達に加え、キエフ国立バレエ団のダンサー達がソリスト役で踊り華を添え、コンクールのガラパフォーマンスの幕を閉じました。

受賞者(ローマ字読みで)
・Grand Prix、グランプリ
Hryhorieva Oleksandra
・1位
Tomomi Kiyota
Elina Bidna
Yuki Wakabayashi
・2位
Anna Ksenyk
Can Alçiçek
Ren Ishiyama
・3位
Kateryna Myklukha
Giuseppe Scaramuzzi
Francesco Mazza

代表
Nobuhiro Terada
審査委員長
Vladimir Malakhov
審査員
Toshihiko Takahashi
Tamas Solymosi, Artistic Director Of Hungarian Nationa Opera ハンガリー国立バレエ団芸術監督
Yaroslav Ivanenko, artistic director of state theater in Kiel, Germany キールバレエシアター
Leonid Sarafanov, Principal Dancer of La Scala ミラノスカラ座ダンサー
Xu Ding Zhong, Expert of the Beijing Academy of Dance 北京ダンスアカデミー
Jae Keun Park, President of Korea IBC 韓国国際バレエコンクール主催
Elena Filipieva, people's artist of Ukraine, teacher at National Opera Of Ukraine キエフ国立バレエ団プリンシパル、教師
Michiko Terada, headmaster of ballet school "Terada", Kyoto, Japan 寺田バレエスクール校長
Masahiko Yamamoto, president of the company 'Koransha' 光藍社代表取締役社長
Dmytro Magitov, teacher in Ballet School Stuttgart by J. Cranko ジョンクランコバレエスクール教師
Anna Svetlichenko, repetiteur at Berlin Ballet School ベルリン国立バレエ学校教師
Serge Bondur, people's artist of Ukraine, teacher at National Opera Of Ukraine キエフ国立バレエ学校教師
Siri Aarset Johansen, Den Norske バレエスクール代表
Aram Manukyan, senior teacher in Alberta Ballet School アルバータバレエスクール教師
Sergii Lahtionov, methodologist of the department of professional disciplines in Kiev State Ballet School キエフ国立バレエ学校教師
(名前は、ローマ字読みで統一しています)


そして、もう一つベルリン国立バレエ学校のパフォーマンスの話題もお伝えいたします。

3月14日、ベルリン国立歌劇場で行われた、ベルリン国立バレエ学校による「海賊」全幕を見ました。
この作品は、何度か違うキャストで見ていますが、今回はプロも顔負けのテクニシャン達が舞台で輝きました。
日本人の留学生達が大活躍でした。低学年の生徒たちの出番も多く、一人一人が本当にしっかりと踊っていました。
キエフからベルリンに来て、連日生徒たちの舞台を見ましたが、国や学校により特色があり、そこが良いと思いました。
ベルリン国立バレエ学校は、クラッシックだけではなくコンテンポラリーのレベルもとても高いのですが、今回はクラッシックの作品としても世界レベルのパフォーマンスを見せてくれました。

来月も、またヨーロッパなどからお届けしたいと思います。

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ベルリン国立バレエ学校

インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi Hariyama Official Page

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『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』

針山愛美/著 Emi Hariyama
体裁:四六版並製、240頁ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)

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