今回はヨーロッパ、ドイツからお届けします。

2004年以来私の年越し恒例行事の1つは「ベルリン・フィルハーモニー・ジルベスターコンサート」と、ベートーベンの「第九」を聞く事で、毎年可能な限り続けています。

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今年は12月31日大晦日に「ベルリン・フィルハーモニー・ジルベスターコンサート」を聴くことができました。
今回は、なんとダニエル・バレンボイムが指揮とピアノを兼任しました。
プログラムは、モーツァルトからバレエでもお馴染みのラベルの「ボレロ」まで、ジルベスターコンサートにふさわしいものでした。
日本でも、ベートーベンの「第九」や「ボレロ」はよくカウントダウンにも使われていますが、ベルリンでボレロを聴くのは初めてでした。
弦楽器はもちろんのこと、金管楽器や木管楽器も世界一流のソリストが揃うベルリン・フィルハーモニー。そのソリストとベルリンフィルのメンバーが奏でる「ボレロ」の演奏は、今まで聞いたことがある「ボレロ」の中で1番感動しました。ソロが各パートを澄み渡る音で演奏し、1つ1つの音色が絡み合い、だんだん楽器がが増えていき、最後には盛り上がりは絶頂になり、まるで音が大舞台で踊っているような演奏でした。
このコンサートは、ヨーロッパ各地でもテレビで放送されました。
アンコールでは「カルメン」から抜粋で4曲も演奏する大サービス。3回目のアンコールの後、バレンボイムに係りの方が花束を持って来たのでこれで終わりかと思ったその時、突然バレンボイムが花束の中から指揮棒を抜き出してカルメンのオーバーチュアの演奏が始まり観客は大喝采、最高に盛り上がりました。

大晦日のこの日だけ、ベルリンでは24時を回ると誰でも花火を上げることが許されています。花火を見て、今年も新年を迎えたと言う気分になりました。
日本のように、厳かに新年を迎える国々や、花火を上げて華々しく迎える国など、世界にはいろいろあります。各国で文化の違いを感じる一瞬でした。

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1月3日
東ベルリンの中心地に古くから存在する劇場、フリードリヒシュタットパラストにエンターテイメントショーを見に行きました。
ショーのタイトルは、「VIVID」

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フリードリヒシュタットパラストのショーは、最近とても人気で当日チケットを確保するのも大変でした。
サーカス、バレエ、ダンス、空中芸、歌などあらゆるエンターテイメント満載で、次々と場面や音楽が転換していき、飽きる暇なくあっという間に時間が過ぎていきました。
衣装もとてもユニークで、華やかでした。
女性20人程のラインダンスは、スタイル抜群の美しい脚線美が完璧に揃った振り付けに、観客の目は釘付けになりました。
トゥシューズを履いた数人のバレリーナがお花をモチーフにしたチュチュを着て踊るシーンもありました。
空中芸は、命綱を付けずに、それはもうハラハラドキドキのアクロバットを見せてくれ拍手喝采でした。
ベルリンには、クラッシックの真髄を聞けるフィルハーモニーや、オペラ、クラッシックバレエなどの芸術、コンテンポラリーアート、ミュージカルやエンターテイメントショーまで様々なジャンルのステージを見る事が出来、正に今1番ホットな街の1つと言えると思います。

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年末からコンクール審査員をさせていただく機会がありました。
コンクールについては、以前にも触れたことがありますが、最近感じることで何点か書きたいと思います。
私が自分で初めてコンクールに出場してみようかと思ったのは、いちど挫折しかけてバレエから離れなければいけなくなった17歳の時に、もう一度ステージで1人で踊りたいと思いたったからでした。
その当時、ボリショイバレエ学校から日本に一時帰国している時で、その時期日本ではバレエスクールに所属していませんでした。ですから、公民館の空いている部屋を借りて1人で練習しました。いろいろな思いで公民館にひとりでいた日を昨日の様に覚えています。

ボリショイバレエ学校では、日本のように発表会で1人で踊らせていただく機会などなかなかいただく事はできませんでした。
その後、ボリショイバレエ学校を卒業しプロになり、ロシアのモスクワ音楽劇場バレエ団に入団しました。
入団してからすぐソロを踊らせていただけるわけでは無い事はわかっていたのですが、もう1度舞台で1人で踊りたいと言う思いと、1つの目標に向けて時間の許す限りできる限りのことをしたいと言う強い気持ちがありました。
コンクールであれば、書類審査さえ通れば、自分で一生懸命に練習してきたものを踊れる機会があります。
周りの方々を見て勉強することで成長できるかもしれない、そして新しい経験ができるのではないか、そのような思いで初めて国際コンクールに出場することに決めました。

決勝まで行くとか、賞を取るとか、人と競うなど全く考えていませんでした。自分自身と向き合い、ただ、踊りたい、一生懸命練習をして、それを大好きな舞台で踊りたい。その一心でした。
目標に向かって進む時間は、何度も何度も同じことを繰り返し練習する大切さ、そして一つ一つ自分のものに出来ていく過程を楽しむこと、忍耐力、努力を続けることの大切さ、など様々なことを学びました。
テクニックが重要な事はもちろんですが、しかしやはりバレエは芸術であることを忘れてはいけないと思います。
無理に踊りを作り込むのではなくて、自分の踊る役にしっかりあった表現を自分自身から表現することができれば良いと思います。
コンクールですが、踊る喜びと言うことを忘れてほしくないなぁと思います。

海外のコンクールの審査員を務める機会もありますが、皆自由な表現でいきいきのびのび踊っているのが印象に残ります。
踊り、それは人に力、エネルギー、喜び等を与えることができるものだと思います。
コンクールであっても、いつもの練習の成果も発揮でき、萎縮せずのびのび自分の表現ができると素晴らしいと思います。
自分が努力し、時間をかけ、練習したものは必ず何かの形で自分に返ってくるはずです。
その気持ちを忘れず、日々過ごしたいと思っています。

踊りにはいろいろなジャンルがあります。バレエはポジションなどを守って踊ることも大切です。コンテンポラリーやインプロビゼーションなどは自分の個性を発揮できる踊りです。
どんな場面であっても、ステージに上がった時はお客様に自分のメッセージを伝えることができる踊り、感動していただける踊りができると良いなと、コンクールの審査員をしていて改めて感じましした。

今年はこれまで以上にも、ヨーロッパ、ロシアに多く関わる1年になりそうです。
また本年もどうぞよろしくお願いいたします!

インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi Hariyama Official Page

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『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』

針山愛美/著 Emi Hariyama
体裁:四六版並製、240頁ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)

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