11月、ウクライナ各地で「ウラジーミル・マラーホフと世界のスターたち」と題するガラパフォーマンスが開催されました。

まず11月22日は黒海の近くにあるオデッサ国立劇場でパフォーマンス、そして、11月24日はキエフ国立歌劇場でのパフォーマンスでした。

パリ・オペラ座、クロアチア国立歌劇場バレエ団、ベルリン国立バレエ団、キエフ国立歌劇場バレエ団、島﨑 徹セレクトメンバー【Dance Barbizon】など、世界中からすばらしいダンサー達が集まり、ネオクラッシックからコンテンポラリーまでオリジナリティー溢れた作品の数々を披露しました。
私は、本来2作品を踊る予定でしたが、足を負傷するアクシデントに見舞われ、キエフのパフォーマンスで1作品だけ踊ることができました。

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オデッサの駅

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オデッサ国立歌劇場

まずウクライナに入国、首都のキエフに到着してからは、列車で7時間かけオデッサに向かいました。
深夜にオデッサに到着し、翌朝劇場に到着してからは、マラーホフ氏のレッスンで始動開始。順番に照明合わせ、音響確認、場当たりなど臨場感溢れるリハーサルが進んで行きました。
劇場が開場するギリギリ、できる限りまでリハーサルが行われ、スタッフ、ダンサー、全ての方々が協力しあい、一丸となって作り上げるパフォーマンスになり、ステージ上では1つになっていました。
オデッサの観客は反応も良く、一つ一つの作品に対して大きな拍手と歓声が沸き起こりました。
劇場は古い歴史のある建物で、中に入るだけでも別世界にいるようでした。
まずは1日目が無事に終わり、早朝から列車でキエフに7時間かけて移動しました。

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キエフ国立歌劇場

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キエフの会場にて

11月24日、キエフ国立劇場でのパフォーマンスはソールドアウト。たくさんのお客様が迎えてくださりました。
私自身は足の負傷で普通に歩く事も出来ず、踊ることなど出来るかという精一杯の状態でしたが、それでも皆様と同じ舞台空間にたてることができて幸せでした。普通の状態の舞台では感じることのできない、特別な気持ちで舞台を迎えました。
そして与えられた状況の中でどうお客様に、言葉ではなく踊りで心の中の声を伝えられるかといろいろ考えましたが、音楽がなると自然に体が反応し、自分自身もその世界に入っていきました。芸術の力は本当に人間にとって素晴らしい力を与えてくれるものだと再確認した瞬間でした。
ウクライナ出身のマラーホフ氏は現地でもファンは多く、この日は彼のお母様もいらっしゃり会場全体が1つになっているような空気が流れていました。

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今回の公演は、クラッシックの作品は1演目のみ、あとは一つ一つの作品がとても個性的で、印象に残るものばかりでした。
ベルリンから参加の、Ksenia OvsyanickとDinu Tamazlacaruは「くるみ割り人形」からパ・ド・ドゥをオーソドックスにまとめ安定したテクニックを披露。2作品目はKsenia Ovsyanick本人が振付したネオクラッシックのパ・ド・ドゥ「Lightness of being」をミステリアスな雰囲気で美しさも醸し出し観客を魅了。
パリ・オペラ座から参加のLaetitia PujolとAlessio Carboneは、「ル・パルク」からパ・ド・ドゥと、ベンジャミン・ペッシュ振付のネオクラッシック作品「Stabat mater」の其々のパ・ド・ドゥをヨーロッパの雰囲気溢れる息の合った貫禄の踊りを披露。
クロアチア国立バレエ団のIva Vitic GameiroとGuilherme Vitic Gameiro Alvesは、「Near this」「Leave me」の2つのパ・ド・ドゥをポワントを履いて美しいラインを見せながら、アクロバティックなリフトなども軽々こなし、感情的にもしっとりと見せてくれました。
地元キエフ国立バレエ団から、Elena FilipyevaとNikita Sukhorukovは、タンゴのパ・ド・ドゥを熱く熱演し2人の又違った一面を見せてくれました。
Dance Barbizonは、島﨑徹振付「For James」全編と「South」から抜粋を、12人一糸乱れないスパークリングでエネルギー溢れる踊りを披露。
ウラジーミル・マラーホフは、「Absence of story」と、「白鳥」を踊り、別格のステージオーラで舞台に立つだけで既に輝いていました。天性のアーティストとしての存在感、踊りで、観客は総立ちになりいつまでも温かい拍手を送りました。
私、針山愛美は、マスクを使った作品、自ら振付した「Dream」を踊りました。
終演後、キエフのお客様はスタンディングオベーションで暖かく迎えてくださり、公演は大成功のうちに幕を閉じました。

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出演者
Vladimir Malakhov
Ksenia Ovsyanick
Dinu Tamazlacaru
Elena Filipyeva
Nikita Sukhorukov
Iva Vitic Gameiro
Guilherme Vitic Gameiro Alves
Laetitia Pujol
Alessio Carbone
Dance Barbizon
Emi Hariyama

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11月25日、キエフ国立バレエ学校の「コッペリア」を見ました。ウラジーミル・マラーホフが2018年春に演出・振付した作品です。
今回は豪華にオーケストラ付き、キエフ国立歌劇場でのパフォーマンスでした。このパフォーマンスでは、急遽マラーホフ氏がコッペリウスの役を踊ることになりました。
小さい生徒から卒業生までが活き活きと踊り、バレエ学校にぴったりの演出、振付でした。キャラクターダンスや、バリエーションも沢山あり見所満載、みんな丁寧に、そしてのびのび踊っていました。
マラーホフ氏のコッペリウスは、舞台上どこにいても細かな演技でオーラを放ち、目を離せませんでした。茶目っ気たっぷり、かつエレガントな動きで観客を魅了しました。

今年も、後数週間を残すのみになりました。
色々な事が世界中で起こり、明日何があるかわからない中でも、感動できる心をなくしたくないなと思う日々です。
今年も本当に数々の方々のお力を借りて、助けていただきながらここまで来ることが出来ました。
この場をお借りして感謝申し上げます。
来年もまたどうぞよろしくお願い申し上げます。来年もまた世界各地からお届けいたします。

インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi Hariyama Official Page

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『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』

針山愛美/著 Emi Hariyama
体裁:四六版並製、240頁ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)

 

 

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