今回は、国内外コンクールについて浅く広く触れてみます。

6月、アメリカで4年に1度行われるジャクソン国際バレエコンクールが開催され、日本人の活躍も素晴らしいものがありました。

最近では、日本、世界各地でバレエコンクールが毎週の様に行われています。
ジャクソンは、4年に1回行われると言うことでオリンピックのようなコンクールです。
私は1998年と2002年の2回出場しました。その時の出会いや経験は今の自分につながっています。
コンクールは結果がついてくるものですが、結果が全てでは有りません。そこに向かう過程や、一つの事に一生懸命向き合う努力で得たものは自分の財産になります。
私にとって、コンクールで出会った方々や、そこから広がったバレエの輪は、世界を広げてくれました。
ジャクソンと並んで4年に1回行われるもう一つのコンクールに、モスクワ国際バレエコンクールがあります。
私が出場した1997年は国内テレビでは放送されていましたが、昨年行われたモスクワ国際バレエコンクールは、ライブで映像も発信され、世界中の人々が見られるようになりました。
モスクワはとてもレベルの高いコンクールで、クラシック審査をきっちり踊らなければ先に進むことが難しいコンクールです。
ジャクソンもレベルが高く、こちらはコンテンポラリー審査がかなり重要になってきます。

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ペルミ国際バレエコンクールの客席

モスクワと同じロシアで、2年に1度行われる

ぺルミ国際バレエコンクール(ユネスコ記念、アラベスクコンクール)は同じくクラシックが重視されたレベルの高いコンクールです。
非常にゆっくりとしたペースで和やかに進むので、コンクールと言うよりは、毎回の審査はバレエフェスティバルを見ているような気分にもなります。
ここ数年では、創作部門も創設され、ロシア人振付家によるオリジナル作品を見る機会もできました。
しかし、ジャクソン国際バレエコンクールなどアメリカのコンクールや、ヨーロッパのコンクールなどに比べると、まだコンテンポラリー部門にも、クラシック要素を多く含んだネオクラシック的な作品が多く見られます。

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ぺルミ国際バレエコンクール 2014年 創作部門から

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ぺルミ国際バレエコンクール 2014年 ゴールドメダルはキム・キミン

同じロシアで開催されるワガノワ・コンクールの第1次審査のレッスン審査ではその名の通り、ワガノワ・メソッドの真髄を見ました。レッスン審査では、世界一難しいと思う程で、卒業試験を見ているようでした。私自身、見るだけでも勉強になりました。

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ワガノワ・コンクール 開会式

日本、世界でもあまり知られてないのですがグランプリ・ウラジーミル マラーホフはキューバのオルギンと言う街で開催されています。

その名の通り、ウラジミール・マラーホフ氏が主催していますが、残念ながらキューバ国内コンクールでキューバ以外の海外からの参加は不可能になっています。
創作作品のレベルが非常に高く、オリジナリティーに溢れたものが多いのでいつも驚かされます。コンテンポラリーダンス、いや、コンテンポラリーを超えた言葉では表すことのできない魂のダンスをキューバ人ダンサーたちが見せてくれます。
想像を絶する体力とエネルギーを発散し、ステージという場所を自分たちのものにして、一瞬たりとも目を離したくないと言う魔力にとりつかれてしまうほどです。

ラトビア等のコンクールの審査員を務めたり、ドイツやイタリアなどヨーロッパのコンクールを見てきましたが、コンクールの中には競い合うと言う雰囲気ではなく、お祭りのような雰囲気で開催されている所も多くあります。
ラトビアやベルリン等は、ここまで優しいルールで良いのかと思うほど、クラシックであってもどの作品のどの部分を踊っても良いなど、参加者が楽しんで踊っているのが伝わります。
バレエは芸術です。競いあってピリピリするような雰囲気ではなく、ともに学び合い、刺激を受け、成長できる機会があることはすばらしいと思います。

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ラトビアコンクールでワークショップ

今は、開催されていないコンクールですが、私が最初に出場した国際コンクールはパリ国際バレエコンクールでした。

1996年開催の年に出場し、20年以上前の事ですが、今でも昨日のように覚えています。ヨーロッパに行ったのはその時が初めての事でした。
全てが新鮮に見え、今ではウィーン国立バレエ団の芸術監督のマニュエル・ルグリなども当時はパリ・オペラ座の現役ダンサーで見に来ていました。
このコンクールの経験は私の世界観を変えてくれました。

ニューヨーク国際バレエコンクールはとてもユニークなルールで開催されていました。
こちらも今はもう無くなってしまったコンクールです。カップルでの出場のみで、書類選考を通った25組のカップルが2週間、一流の教師や現役ダンサーの指導を受けられます。そして同じ作品を、同じ期間リハーサルします。
個人指導を受けられ、ニューヨークに滞在でき、メトロポリタン劇場やブロードウェイで公演を見るなど素晴らしい経験ができます。
そして2週間リハーサルした後、3週目にコンクールが始まり、全員が同じ作品を踊り審査されます。
クラシック、バランシン、コンテンポラリーの作品とバランスのとれたプログラムを教えていただくことができ、同じ年代のダンサー達と生活を共にする事が出来、これ以上ない経験となりました。

今、日本でも様々なコンクールがあります。
コンクールであっても、その数分は各々にとってかけがえない舞台です。自分の個性、踊りの表現力なども見せることができる機会です。
技術は大切ですが、技術だけにとらわれずのびのび踊ることができたら素晴らしいと思います。
そして、その場を学びと発見、成長の場として、次の目標に繋ぐ機会になればと思います。
コンクールであったとしても、舞台で踊る喜びを忘れないでほしいと思います。

バレエの事、激動の世界の事、芸術の素晴らしさを、私の半生を通して本にしていただくことができました。
私が、ここまで無事に生きてくる事ができ、今の自分があるのは全ての方々との出会いがあってこそです。
以前にも触れましたが、今日までに出会えた方々の支えと助けがなければ今の自分はありません。
後を考えず、がむしゃらに進んできたことも多く、周りにいる方々を振り回すことも多くありました。そんな時も、皆様温かく支えて下さりました。
この本を通して、少しでも、元気と勇気をお分けする事が出来れば嬉しいです。
ここに今日まで支えてくださった多くの方々に改めて感謝申し上げます。またお時間ごさいましたらぜひ読んで頂ければ幸に存じます。
そして、今自分に与えられたこと、出来ること、これからも続けて行きたいと思います。

 

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『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』

針山愛美/著 Emi Hariyama
論創社 2018年6月刊行
体裁:四六版並製、240頁(本体:2,000円+税)
ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)

 

インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi International Arts
針山愛美のバレエワールド

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