ベルリンに冬到来です。

ソチのオリンピックと共に、ベルリナーレも開幕し、賑やかで華やかな街となっています。

1月21、23、24、25、27日

「マラーホフとフレンド」の公演
<プログラム>
「ショピニアーナ」よりアダジオ
吉岡美香、ウラジーミル・マラーホフ
ガラの幕開け、14人のコールドと共に。白のクラシックが似合う二人のデュエット、綺麗でした。

「SPRING WATERS」
振付:Assaf Messerer
イリーナ・ペレン、マラット・セミョーノフ
プライベートでもカップルの二人なだけあり、息はピッタリ、リフトが本当にダイナミックで大拍手。

「A SWEET SPELL OF OBLIVION」
振付:David Dawson
エリザ・カブレラ、ミハイル・カニンスキー
照明は「カラバッジョ」を思い出させる、雰囲気あふれる色使い、シルエットが美しく見え、しっとり大人の雰囲気の素敵なパ・ド・ドゥでした。

「白鳥の湖」よりアダジオ
上野水香、マシュー・ゴールディング
二人の雰囲気あふれるしっとり美しいアダジオ。ラインが美しい二人、素敵でした。

「LEAVES ARE FADING」
振付:Antony Tudor
ジュリー・ケント、サーシャ・ラデツキー
ジュリーは、繊細でエレガントで本当に美しいバレリーナ。サーシャと踊るのを見たのは初めてでしたが美しく素敵でした。

「レダと白鳥」
振付:ローラン・プティ
ナディア・サイダコーワ、ウラジーミル・マラーホフ
プティの作品でとても美しいアダジオ。ナディアとマラーホフのパートナーシップが今まで一緒に踊ってきた歴史を語るもので、リハーサルも何回か見ましたが、お互い意見しあい、日に日に素晴らしいものになっていました。白鳥のマラーホフ監督素敵でした。

「プルスト」
振付:ローラン・プティ
ライナー・クレンシュテッター、マリアン・ワルター
音楽共に、緊張感溢れる美しい作品。男性二人のデュエット、力強さ、美しさ、本当に素晴らしい作品です。

「椿姫」
振付:ジョン・ノイマイヤー
ルシア・ラッカラ、マルロン・ディノ
椿姫から後半のパ・ド・ドゥ。ルシアの全幕が見たくなりました。10分足らずからドラマが見えてくる、感情豊かなパ・ド・ドゥでした。

Photo : Emi Hariyama

Photo : Emi Hariyama

「ドン・キホーテ」
ヤナ・サレンコ、ディヌ・タマズラカウ
お馴染みのヤナ、ディヌの「ドン・キホーテ」。テクニック競争?ヤナはいつも通り気まぐれに三回転を入れるフェッテで、ディヌも回転、ジャンプ共に盛り上げていました。

「DELIBES SUITE」
振付:ホセ・マルティネス
上野水香、 マシュー・ゴールディング
世界バレエフェスでも踊った二人、息もピッタリで、テクニックも安定し、日に日により増して素晴らしかったです。テクニック的にも難しい作品なのに、いとも簡単に二人とも踊りきっていて凄い!の一言。

Photo : Emi Hariyama

Photo : Emi Hariyama

Photo : Emi Hariyama

Photo : Emi Hariyama

2部
「ICARUS」
振付:Sidi Larbi Cherkaoui
ウラジーミル・マラーホフ
世界初演。この為に新しく振り付けをしたマラーホフ監督の新作です。
新鮮で面白い手の動きに、魅力的なライト、上からのプロジェクションで作品を神秘的で美しい絵に。ネオクラッシックの固定クラッシックから解放された自由なマラーホフ監督の動き、シルエットが美しい作品です。
衣装が真っ黒で、あまりはっきり見えないのが少し残念と自分の感想ですが、それが逆に神秘感、美しさを出していたのかもしれません。

「メロディー」
吉岡美香、ビスラウ・デュディック
ロマンティックな美しいアダジオ、シフォンの布を使うのですがそれがまた美しくしっとり優しく、美香さんは本当に宙に浮き飛んでいるようでした。

「101」
ウラジスラウ・マリノフ
今シーズンの開幕ガラでも披露した作品ですが、今回も大受けでした。
101のポーズを見せて行くというユーモア溢れるこの作品に、ウラジスラウのセンス良いコンテの動きが光り作品をより面白い物にしていました。観客は爆笑の渦に。

「DUETTO INOFFENSIVO」
振付:Mauro Bigonzetti
ナディア・サイダコーワ、エリザ・カブレラ
女性二人のデュエット。エリザがナディアを軽々とリフトしたり、床を使う重い動きで見せたりと力強いデュエット。

「LIGHT RAIN」
振付: Gerald Arpino
ルシア・ラッカラ、マルロン・ディノ
前回のマラーホフとフレンドでも披露してくれたこの作品。もう何と言うか、ルシアの柔軟性とラインの美しさを見せつける為にある様な作品で人間とは思えない、ため息が出ました。

「SINATRA SUITE」
振付:Twyla Tharp
ジュリー・ケント、サーシャ・ラデツキー
トワイラ・サープの作品で、ジュリーがヒールで黒のドレス、サーシャはタキシードという、一部とはまた全く異なった踊りを披露し観客を魅惑。

「スパルタック」
イリーナ・ペレン、マラット・セミョーノフ
リフトが凄い!の一言でもうびっくりしました。ダイナミックで複雑なリフトをいとも簡単に見せてくれ、妖艶かつ美しいイリーナとマラットのペアに拍手喝采でした。

Photo : Emi Hariyama

Photo : Emi Hariyama

「THE OLD MAN AND ME」
振付:Hans van Manen
ベアトリス・クノップ、ウラジーミル・マラーホフ
17分に及ぶこの作品。しかしそれを感じさせないあっという間の17分でした。3部構成で、音楽も次々変わって行き、最後はモーツアルトのピアノコンチェルト。マラーホフ監督の18番でもあるボヤージュの音楽でもあり、又しんみりと美しいデュエットの最後でした。

公演は、5公演ほぼ完売で毎回長い長いカーテンコールが続き、19時半開演、終演が23時を過ぎる豪華なガラとなりました。
新聞批評も全て良く、観客の惜しみない拍手はマラーホフ監督の今回の公演だけでなく、今までの、そしてこれからへの彼への想いにも聞こえてくる感慨深い、美しいものでした。マラーホフとフレンド、その名の通り、今までマラーホフ監督が一緒に踊ってきたフレンドが集まり、暖かい雰囲気が観客にまで伝わる公演。日に日に盛り上がって行きました。
サプライズだったのは、21日の初演のフィナーレの際にマラーホフ監督が舞台上で、宮廷舞踊家の称号を受けられました。

Photo : Emi Hariyama

私は、カーテンコールを舞台脇から撮ろうとカメラを持って待機していましたが、驚いて授賞式も撮ることに。新聞社も誰も写真を撮っていなかったので、私の写真が新聞に載りました。
これまでの功績を讃え、与えられたこの賞に観客の大歓声。皆心からの祝福を贈りました。

Photo : Emi Hariyama

Photo : Emi Hariyama

1月25日
ベルリンフィルハーモニーで長年素晴らしい功績を残したクラウディオ・アバドの追悼記念コンサートをフィルハーモニーで聞きました。
ズービン・メーター指揮。
まず、はじめに観客も立ち黙祷を捧げ、その後マーラー五番のアダージェットが演奏されると、神聖な空気に包まれました。最後にアバドのコンサートを聞いたのは昨年春、もしかしたら最後になるかもと毎年欠かさず聞きに行っていました。
素晴らしいコンサートでした。

1月末、マラーホフとフレンドの5公演が終わってから数日、サンクトペテルブルクに行ってきました。
懐かしい想い出が沢山の街。
13歳の時初めて訪れた海外でもありました。
そして、現ミハイロフスキー劇場、旧レニングラード国立バレエでも公演を見てきました。10年以上前に、ここレニングラード国立バレエで客演し「白鳥の湖」と「ジゼル」に主演した際のパートナー、キリル・ミャスニコフとも再開し、懐かしく嬉しい一時でした。
ワガノワバレエ学校は休暇中で訪れませんでしたが、ワガノワバレエ学校の新校長になった、ボリショイ時代から知り合いのニコライ・ツィスカリーゼとも偶然劇場で再会し懐かしかったです。
しかし、何と気温が毎日マイナス20度以下と言う寒さ、そこは懐かしいというか、懐かしい思いにならなくても良い部分でしたが、それも良い思い出!?でした。

2月1日
1001ナイトの初演。
THE NIGHTS
音楽:Natacha Atlas, Samy Bishai und 79D
振付:Angelin Preljocaj
ステージ:Constance Guisset
衣装:Azzedine Alaïa
休憩無し、1時間半の作品。ダンサーは本当に素晴らしかったです。
アクロバティックな動き、床技、デュエットも素敵でした。
しかし、ストーリーが無く動きだけで見せる作品で少し長く感じる部分もありました。ステージが、暗く折角の踊りや素敵な衣装が殆ど見えない所が多く、残念に思いました。
しかし、ダンサーの動き、踊りはさすが、凄く良かったです。

ソチオリンピックも開幕、ロシアは沢山のイベントで盛り上がることでしょう。
開幕式は、ご覧になった方も多いと思いますが、ウラジーミル・ワシリエフ、スベトラーナ・ザハロワ、ディアナ・ヴィシニョーワ、イワン・ワシリエフ、などがダンサーとして出演。ゲルギエフも旗を持ち、アンナ・ネトレプコが歌を歌い、豪華万歳でした。私は、ベルリンでロシア放送を見ていましたが、生中継の後の番組では、ツィスカリーゼがゲストとして出演していました。

バレエ団には、ラトマンスキーがいらっしゃって来月の新作のリハーサルに入っています。
早く春が訪れますように、、、

インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi International Arts
針山愛美のバレエワールド

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