1月15日から17日、YAGPユースアメリカグランプリの地方予選を見ました。

Philadelphiaで開催された予選を見たのですが、実は私はYAGPのコンクールを見るのは初めてでした。
15日は、プレコンペティティブ、ジュニア、シニアのクラッシックとジュニアのコンテンポラリー部門を、16日は主にコンテンポラリー部門を、17日はシニアクラッシック部門を見ました。
全体的に、日本のコンクールともジャクソンコンクールやモスクワコンクールともまた違います。
観客の声援、拍手がとてもアメリカ的でのりが良く、自分のバレエ学校の生徒が出場すると踊る前から拍手喝采でサポートし、終わっても口笛と声援の嵐。
とても暖かく、そして白熱した雰囲気が続きました。
ダンサーは個性的で、多数の子供たちが自由に表現しながら踊っているのが印象に残りました。テクニック重視で一つのミスでも許されないような張りつめた感じはあまり無く、コンクールであれなんであられ踊りはこうでなければ。楽しんで欲しい! と再認識しました。
4月にはニューヨーク決戦が行われます。

Photo:Emi Hariyama

Photo:Emi Hariyama

Photo:Emi Hariyama

Photo:Emi Hariyama

1月15日から25日、マリインスキー・バレエ団のニューヨーク公演が行われました。
Mariinsky Ballet in New York Mariinsky Ballet & Orchestra

総監督であるワレリー・ゲルギエフがマリインスキー劇場のオーケストラを引き連れてやってきた豪華なツアーです。メトロポリタンオペラやリンカーンセンターにあるDavid H. Koch Theater(NYシティバレエ団のメインシアター)もシーズン中であったため、会場になったのは通称BAMと呼ばれるブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージックの専属劇場。劇場は決してバレエにとって、また観客にとっても最高の場所とは言えませんでしたが、大雪の寒波の中、連日満員御礼の賑わいでした。

私は、1月18日『シンデレラ』、22日『白鳥の湖』、25日「ショパン・ガラ」(Chopiniana. In the Night. Withoutの3作品)を見ました。

『シンデレラ』
振 付:アレクセイ・ラトマンスキー
指 揮:ワレリー ゲルギエフ
<キャスト>
シンデレラ: Anastasia Matvienko
プリンス: Alexander Sergeyev
義母: Daria Pavlenko
義姉: Xenia Dubrovina
義姉: Anna Lavrinenko
善の精: Liubov Kozharskaya
シンデレラの母: Elena Bazhenova
シンデレラの父: Soslan Kulaev
四季
春: Vladislav Shumakov
夏: Boris Zhurilov
秋: Konstantin Ivkin
冬: Andrey Solovyov
ダンス教師: Viktoria Brileva, Yuri Smekalov

ラトマンスキーの『シンデレラ』は楽しいアイデアがいっぱい。衣装もモダンで豪華色鮮やかです。
ゲルギエフ指揮のオーケストラが奏でるプロコフィエフの曲も迫力があって、視聴共に大満足の公演でした。
シンデレラ役のアナスタシア・マトヴィエンコは、恵まれた容姿、身体を存分に活かし何処に居ても目を引く舞台オーラで魅了しました。
プリンスのアレクサンダー・セルゲイエフはシャープで切れのよいダイナミックな跳躍、ハッとさせられるくらいメリハリの利いた踊りが爽やか爽快。今後がますます楽しみなダンサーです。
今、コール・ド・バレエのレベルが素晴らしいマリインスキー・バレエ、コンテンポラリーな感覚とネオクラッシックのテクニックを駆使したラトマンスキーの振りをダンサーたちがよりいっそう映えたものにしていました。

 『シンデレラ』(C) Jack-Vartoogian

 『シンデレラ』(C) Jack-Vartoogian

 『シンデレラ』(C) Jack-Vartoogian

『シンデレラ』(C) Jack-Vartoogian

『白鳥の湖』
<キャスト>
オデット-オディール: Oxana Skorik
ジークフリード: Xander Parish
王妃: Elena Bazhenova
プリンスの従士: Soslan Kulaev
ロットバルト: Yuri Smekalov
ピエロ: Yaroslav Baybordin
パドトロワ: Ekaterina Ivannikova, Anastasia Nikitina, Xander Parish
小さい四羽: Anastasia Asaben, Anastasia Mikheikina, Anastasia Sogrina, Oxana Marchuk
大きい三羽: Alisa Sodoleva, Viktoria Brileva, Yulianna Chereshkevich, Diana Smirnova
二羽の白鳥: Ekaterina Ivannikova, Anastasia Nikitina
スペインの踊り: Liubov Kozharskaya, Anastasia Petushkova, Roman Belyakov, Alexander Beloborodov
ナポリタンの踊り: Anna Lavrinenko, Alexey Nedviga
ハンガリーの踊り: Olga Belik, Boris Zhurilov
マズルカの踊り: Xenia Dubrovina, Elena Androsova, Natalya Dzevulskaya, Maria Shevyakova, Andrey Solovyov, Maksim Petrov, Alexey Kuzmin, Vadim Belyaev

『白鳥の湖』(C) Jack-Vartoogian

『白鳥の湖』(C) Jack-Vartoogian

今回特に楽しみにしていたのは、イギリス出身でマリインスキー・バレエのプリンシパルにまで上り詰めたXander・Parishのプリンス役。期待通り、チャーミングで甘いマスク、美しいラインとつま先、柔らかい跳躍が印象に残りました。
オデット/オディールのOxana・Skorikは、一瞬、ザハロワを思い起こすような完璧なラインを持つバレリーナです。
感情をもう少し表に出す踊りが見たかったような気もしますが、凛としたオデット像、立っているだけでも息を呑む美しさでした。
二人のデュエットは少しまだぎこちない部分もありましたが、ワガノワ・スタイルの純クラッシック・バレエの真髄を見せられた素敵な公演でした。

『白鳥の湖』(C) Jack-Vartoogian

『白鳥の湖』(C) Jack-Vartoogian

『白鳥の湖』(C) Jack-Vartoogian

『白鳥の湖』(C) Jack-Vartoogian

1月25日
「ショパン・ガラ」
Chopiniana. In the Night. Without
<キャスト>
『ショピニアーナ』
第7ワルツ, Mazurka: Oxana Skoryk
詩人: Timur Askerov
プレリュード: Xenia Ostreikovskaya
第11ワルツ: Yana Selina
二人のソリスト: Anna Lavrinenko, Oxana Marchuk
ピアニスト: Alexandra Zhilina

ショパンのバレエと言えば『ショピニアーナ』です。
マリインスキー・バレエのダンサーがロマンティック・バレエの真髄を見せてくれました。

『ショピニアーナ』(C) Ulieta-Cervantes

『ショピニアーナ』(C) Ulieta-Cervantes

『ショピニアーナ』(C) Ulieta-Cervantes

『ショピニアーナ』(C) Ulieta-Cervantes

『In the Night』
振 付:ジェローム・ロビンズ
第1パ・ド・ドゥ: Anastasia Matvienko, Vladimir Shkliarov
第2パ・ド・ドゥ: Yekaterina Kondaurova, Yevgeny Ivanchenko
第3: パ・ド・ドゥ Uliana Lopatkina, Andey Yermakov
ピアニスト: Liudmila Sveshnikova

息をするのも忘れるほど美しいバレエでした。そして美しいダンサーたちには、まるで映画の宮殿舞踏会シーンへ連れて行かれたような豪華で優雅な気持ちになりました。三組三様、全く隙のない完璧なコントロールのもと、足音一つ聞こえない踊り、観客の集中し張り詰めた空気と一体になってクライマックスを迎えました。
終演後はもうため息、喝采の嵐でした。素晴らしかったです。

『Without』

振 付:バンジャミン・ミルピエ
第1パ・ド・ドゥ: Anastasia Matvienko, Konstantin Zverev
第2パ・ド・ドゥ: Kristina Shapran, Andrey Yermakov
代3パ・ド・ドゥ: Yana Selina, Filipp Stepin
第4パ・ド・ドゥ: Tatiana Tiliguzova, Ernest Latypov
第5パ・ド・ドゥ: Margarita Frolova, Xander Parish
ピアニスト: Philipp Kopachevsky

今、最も話題の一人、パリ・オペラ座の新芸術監督バンジャミン・ミルピエの作品。実は私は彼の作品を始めて見ました。
緩急のある魅力的なパ・ド・ドゥ、5組が全く違った表情を見せ、ユーモアが時々観客の笑いを誘い30分弱があっという間に感じました。
オリジナリティ溢れる独特のネオクラッシックの動きがステージに絵を書いていくように面白い演出。これから彼の作品を見るのが楽しみです。
10日間のニューヨーク公演は大成功のうち幕を閉じました。
11月には日本公演ですね、楽しみです。


1月23日
バランシンが最も愛し信頼し、多くのの初演作品を踊ったジャック・ダンボワーズとニュ−ヨーク・シティ・バレエの公演を見に行きました。

『HEAR THE DANCE: RUSSIA Symphonic Dances』
振付;ピーター・マーティンス
『The Cage』
振付;ジェローム・ロビンズ
『Andantino 』
振付;ジェローム・ロビンズ
『Cortège Hongrois』
振付:ジョージ・バランシン

三人の巨匠振付家の作品が一夜で見れる素晴らしいプログラムでした。
ロビンズの『The Cage』は衝撃でした。コンセプト、セット、振付、衣装ともまさにマスターピースと言える作品だと思いました。

さて、ニューヨークですが大雪、寒波に襲われ私も日本へ帰れなくなる寸前でした。
26日、27日はマンハッタンもゴーストタウンと化し、26日は何と24時間眠らない街の地下鉄も23時をもって運転を停止。ゲルギエフ指揮、ネトレプコ主演の『イオランタ』を控えたメトロポリタンオペラやブロードウエイも公演をキャンセルせざるを得なくなりました。
様々なうわさが飛びニュースが行き交い、私も食料を買い込み一日中待機しました。
次の日はニュ−ヨークのスタジオに教えに行きましたがバレエスタジオ以外はレストランまで閉まっていました。
そんなこんなでしたが、成田にやっと到着。
何と、その日に成田から羽田に直接移動し、日本到着3時間後には韓国に飛ぶことになりました。
韓国では、国立バレエ団のスタジオや大学のダンス・スタジオなどを見に行きました。

来月は、ベルリン、そしてアメリカからお届けいたします。

インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi International Arts
針山愛美のバレエワールド

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