5月、6月のほとんどはヨーロッパで過ごしました。

6月中旬にベルリンに戻り、文化的な日々を過ごす事ができました。

6月23、25、26日にベルリンでマラーホフ版『ラ・バヤデール』が上演されました。
本来は5回公演のはずでしたが初日と最終日にストライキが行われ、計3回のみの上演となりました。
内部のことを言うといろいろと書かなければいけないのですが、ドイツでも何度も新聞、ニュースで報道され今後の動向も注目されています。
2014年の夏にマラーホフ元ディレクターが辞めることになってから、ダンサーたちは自分たちの立場の危険を感じ、"ヴェルディ"と言うユニオンに加入しました。
いろいろと立場が守られる上、ダンサーが一丸となり問題などに立ち向かえるためです。そして現在、契約内容の改善を求め、賃金交渉や休暇の増加などを求めています。
交渉がうまくいっていないため、今年の2月から8公演がストライキのためキャンセルとなりました。
マラーホフ元団長がバレエ団にいらっしゃった時は、バレエ団が家族の様な雰囲気でこんな事は1度もなかったのですが、今シーズン団長がナチョ・ドゥアト氏に変わってからかなり荒れているようです。
この問題は、来シーズンにも持ち越されることになりそうです。

さて、『ラ・バヤデール』には、クラシック・バレエが好きな観客、そしてマラーホフ元監督を待ち望んでいたお客様がたくさんいらして暖かく素晴らしい雰囲気でした。
終演後、マラーホフ氏が舞台にあがると、主役以上に盛大な拍手喝采を浴びていらっしゃいました。本当にベルリン市民から愛されているのがよくわかりました。

『ラ・バヤデール』
振 付:ウラジーミル・マラーホフ
セット、衣装:ジョージ・ヨーグ
指揮者:ロベルト・ライマー
<キャスト>
6月23日
ニキア:エカテリーナ・クリサーノワ
ソロル:ジーヌ・タマズラカウ
ガムザッティ:クラシーナ・パブロワ
6月25日
ニキア:中村 祥子
ソロル:ミハイル・カニンスキー
ガムザッティ:エレナ・プレス
6月26日
ニキア:ヤナ・サレンコ
ソロル:マリアン・ワルター
ガムザッティ:エリザ・カブレラ

ストライキのため、主演3キャストが、一度ずつ踊るという結果になりました。
初日は、ボリショイ・バレエ団からのゲスト、エカテリーナ・クリサーノワとソロルのデビューとなったジーヌ・タマズラカル。
リハーサル期間が短かったとは思えないパートナーシップでした。
エカテリーナのニキアは演じているという感じがなく、ニキアの控えめ、かつ、真の強い女性像を自然に演じていて物語に引き込まれました。ジーヌは、躍動感と見事なジャンプで観客を湧かせ、ガムザッティ役デビューのクラシーナ・パブロワも安定したテクニックで踊り切りました。クラシーナの役作り的には、もう少し貫禄が欲しい所でしたが、デビューとは思えない素晴らしい舞台でした。
中村祥子ちゃんは、相変わらず完璧なテクニックで、ニキアの清楚で強くエレガントな雰囲気が身体から湧き出るようで本当に素敵でした。
最終日は、ヤナ&マリアン。惜しくも受賞は逃しましたが、今年のブノワ賞候補に名前が上がっていたマリアン・ワルターのソロルは、すべてにおいて素晴らしかったです。妻でもあるニキア、ヤナ・サレンコとのパートナーシップは一瞬の乱れもなく心も通っていて、素晴らしい舞台でした。
マラーホフ元監督は、毎公演後に舞台に上がられ挨拶されましたが、その度に大声援を浴びてその様子が新聞にも掲載されました。

6月20日
ベルリンの「blackmore」ミュージックファブリックと言うコンサート会場で、ベルリンフィルハーモニーのバイオリン奏者兼作曲家のホルム・ビークホルツ氏とコラボレーション公演を行いました。
2014年11月2日に、ベルリンフィルハーモニーのカンマーザル(小劇場)で公演した際と同じ様なプログラムでしたが、会場が違うと、コンセプトやセットも変えなければいけません。
今回は、小さなステージでしたのでコンパクトにまとめて踊りました。
ホルム氏が11月の公演のために作曲してくださった、日本の四季 "桜の夢" は、[
「春」「夏」「秋」「冬」の四楽章から成り立っています。

(C)Emi Hariyama

(C)Emi Hariyama

それぞれの季節に合わせた衣装とイメージで、ヴィジュアルアート的にも美しさとアジアを感じていただける衣装をシーズン毎に着て、振りはインプロビゼーション、その場のインスピレーションで30分の作品に仕上げました。
その他、手動式楽器を私自ら弾いて彼のバイオリンとコラボしたり、影の演出などを使い、計6曲に動きをつけました。いろいろなアイデアで多種の分野の方々に楽しんでいただける活動を、できる限り続けて行きたいと思っています。

(C)Emi Hariyama

(C)Emi Hariyama

6月24日
ベルリン・フィルハーモニーでヨハネス・ブラームスの「ピアノ協奏曲第1番 ニ短調作品15」を聞きました。
ヨハネス・ブラームスの初期の代表的作品の一つで、最初に作曲された協奏曲で私の大好きな曲の一つです。
ピアニストは、Krystian Zimerman。指揮はサイモン・ラトル。
久しぶりのフィルハーモニー。素晴らしい演奏に、心から感動しました。

ベルリンにも夏が訪れました。
7月最初の週末は、ベルリン異常気象で38度、体感温度は43度とニュースで放送されてましたが、まさに熱帯夜が続きました。
日本より蒸し暑くなるなど想像外でした。
そんな中、ベルリン大使館が女子サッカーの決勝戦のためのパブリックビューを設け、ドイツ人日本人が集まり応援する機会が! さすがサッカー好きなドイツの一夜でした。

そんな中、ベルリン大使館が女子サッカーの決勝戦の為のパブリックビューを設け、ドイツ人日本人が集まり応援する機会が!さすがサッカー好きなドイツの一夜でした。

大使館で夜中に観戦 (C)Emi Hariyama

大使館で夜中に観戦 (C)Emi Hariyama

さてベルリン国立歌劇場ですが、、、、いつになったら出来るのでしょうか?
現在の様子は、完成には程遠い工事現場となっています。
私たちのバレエスタジオがあった場所は、跡形もなく何だか寂しい気持ちになりましたが完成が楽しみです。
外観は、ピンク系になるようでその一部を見ることが出来、少しですが完成の雰囲気を感じることができました。
また、随時お伝えいたします。
来月は日本、アメリカ、ヨーロッパの話題からお届けいたします。

国立歌劇場 (C)Emi Hariyama

国立歌劇場 (C)Emi Hariyama

左から4番目が私自身 (C)Emi Hariyama

左から4番目が私自身 (C)Emi Hariyama

★インフォメーション★
6月22日に、KPMとウラジーミル・マラーホフ氏のコラボレーションによる陶器の置物の完成発表の記者会見に参加しました。マラーホフ氏のバレエシューズから型を取り、作られた置物にはマラーホフ氏のサインもペイントされています。
既に7月1日より発売開始となっています。
www.malakhov-foundation.com とKPMベルリン店 (Berlin)にて購入可能です。
価格は、980€ ですが、その一部分がマラーホフファンデーションに寄付されます。

ウラジーミル・マラーホフ、 Joerg Woltmann ( KPM社長)、 Thomas Wenzel (デザイナー)

ウラジーミル・マラーホフ、
Joerg Woltmann ( KPM社長)、
Thomas Wenzel (デザイナー)

陶器のバレーシューズ

インタビュー & コラム

hariyama.jpg

針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi International Arts
針山愛美のバレエワールド

ページの先頭へ戻る