日本は爽やかで過ごしやすい秋、私は今月東ヨーロッパはじめキューバ、ニューヨークを訪れました。

キューバは『グランプリマラーホフ』の為に行ったのですが、感動の連続、本当に素晴らしいコンクールでした。
このコラムでは、今月は東ヨーロッパからお届け致します。

2015年9月18日、19日の2日に渡り、スロバキアのコシシェでウラジーミル•マラーホフ版の『ラ・バヤデール』が初演されました。
劇場は1900年に建てられた歴史感漂う建物。金とパステルカラーのデザインが素晴らしく、高級感と趣きがあり100年以上たった今でも本当に美しい劇場です。
私は今年の6月に3週間1人で滞在し、振り付け指導をしました。そして8月25日から本番まで再度コシシェに行き、振り付け指導。最後の10日間はウラジーミル•マラーホフ氏がいらっしゃり、仕上げのリハーサルのアシスタントを担当しました。

(C) Emi Hariyama(すべて)

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9月7日からマラーホフ氏のリハーサルが始まりました。
マラーホフ氏が、今までリハーサルしてきた結果をどう評価されるかは私の責任でもありました。コールドには満足の御様子でほっと一安心、ソリストはかなり熱の入ったご指導をされました。

(C) Emi Hariyama

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8日からは毎日ステージリハーサルが行われました。朝からマラーホフ氏のクラス、コールドのリハーサル、そして5時前までソリストのリハーサル。5時からはステージリハーサルという毎日で、私自身も学ぶことばかりでした。
マラーホフ氏が、踊って見せて指導をされるその一つ一つの動き、マイム、目線、全てにおいて説明する必要がないほど、そして鳥肌が立つ程、心にずっしり来る時間でした。
ステージリハーサルでは、リハーサル中に進行を止めない為、二人で客席に座り、私はマラーホフ氏が小声でおっしゃる全ての注意事項を書き留めながら、全てをチェックしました。
このバレエ団の特徴の一つはダンサーの個性が素晴らしく、〝クラッシック、ジャズ、タンゴ、コンテンポラリー〟など、あらゆる技術に優れている事です。しかし純クラッシックのレパートリーは今回がほとんど初めてでした。
ダンサー達は、全ての注意事項を本当に真剣に物凄い集中力でものにし、普段は個人の個性、素晴らしいバレエ団のコールドバレエも、一糸乱れず揃い短期間でまるで違うバレエ団の様になりました。
そして9月18日、初演1日目は招待客だけの本番で、一般客は入る事が出来ない舞台でした。

スタッフ
構成、振付:ウラジーミル•マラーホフ
衣装セットデザイン:ジョージ•ロイグセット、衣装はベルリン国立バレエ団の『ラ•バヤデール』も担当したジョージさんが、今回新しくデザインされました。
何とこの日は、スロバキア大統領と、前スロバキア大統領の御二人がいらっしゃいました。
公演が始まる前にステージ上で挨拶され、また公演後のレセプションでは、大統領の他、市長などもいらして盛大なパーティーとなりました。
マラーホフ氏が初演本番中も、駄目出し事項を呟かれるので、またマル秘用紙に書き留めながら本番鑑賞。
着飾った観客の方々は本当にエレガントで、終演後は盛大な拍手と手拍子、ブラボー。大成功を収めました。

(C) Emi Hariyama

大統領

19日は、一般客に公開の初演(2)。
初めて舞台を、マル秘用紙なしで一観客として鑑賞しました。
大役を任されましたが、無事に幕が降り本当に感動でした。
ダンサー達、そしてマラーホフ氏、バレエ団のディレクターとスタッフには感謝で一杯の気持ちでした。

スロバキアからベルリンに戻り、2日後に人生初のキューバへ。一言では言えない人生の意味をも考えさせられる経験でした。
キューバのレポートはまた別に紹介致します。

(C) Emi Hariyama

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さて、キューバからベルリンに戻り翌日にはニューヨークへ。
ニューヨークでは、主に日本の子供達を指導しました。クラスやバリエーションを指導しましたが、皆の生き生きした瞳を見て元気を貰いました。
ボストン近郊にも日帰りで行き、アメリカのバレエ学校でマスタークラスをさせて頂きました。
素晴らしい環境のもとプロフェッショナルな生徒の皆様と、2時間やり甲斐ある充実した時間を過ごし、皆集中してレッスンしてくれ感激しました。
キューバからニューヨークへタイムワープした感じですが、世界の広さ、そして人生の意味をも考えさせられる時間を頂けた事に感謝の気持ちです。

来週はニューヨークシティバレエも見に行く予定ですので、来月レポートします。
来月は、ニューヨーク、キエフ、ベルリンからお伝え致します。

(C) Emi Hariyama

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インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi International Arts
針山愛美のバレエワールド

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