桜が美しい季節に、日本で過ごすことができ感動しました。
- インタビュー & コラム
- コラム 針山愛美
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春休みには、数日間ワークショップで充実した時間を将来のバレリーナと過ごすことができ、またコンクールの審査員としても沢山勉強させていただく事ができました。
3月19日
キエフ国立オペラ劇場にて、「マラーホフ」版の「パキータ」初演がありました。
2月にマラーホフ氏のアシスタントとして振り付け指導をさせて頂きましたが、今回は私1人でキエフに行く事になり少し責任を感じていました。
3月中旬からキエフに行き、仕上げのリハーサルを行いましたが、現地のバレエ学校の素晴らしい先生方のサポートのお陰で、無事に公演を終えることができました。
3月17日から19日にかけて、キエフ国立オペラ劇場内でキエフバレエフェスティバルが行われました。
このフェスティバルは、フェスティバルと言うタイトルで行われましたが、内容は15歳から18歳のダンサーの為のコンクール。
審査員は、ドイツのキールダンスシアターの芸術監督や、マインツのバレエ学校の校長先生はじめ、ベルリン国立バレエ学校の教師など、海外からも沢山の方がいらして熱のこもった審査を行いました。審査委員長は、エレーナ・フィリピエワが務めました。
(C) Emi Hariyama(すべて)
まず17日はレッスン審査でした。フィリピエワはアンシェヌマンを担当。
バーからセンターまで普通通りのレッスンがゼッケンをつけて行われましたが、本当にバレエ団員でも難しいと思えるような高度なテクニックを要するアンシェヌマンで見ごたえがありました。
18日の審査は、レッスン審査を通過したダンサーによるバリエーション審査で、クラッシックとフリーの2作品を踊らなければいけませんでした。
フリーの審査では、色々な作品を見ることができ、オリジナリティー溢れた新鮮で面白い作品から、有名なバレエの作品からソロを抜粋して踊るダンサーなど様々でした。
9日はガラ公演。
1部は、入賞したダンサーによるコンサート。
今年はウラーダ・コヴァレンコン(キエフ国立バレエ学校)、Sekino kaito(ベルリン国立バレエ学校)、Mateus waz guimares(ベルリン国立バレエ学校)の3名に第一位が与えられました。
2部はキエフバレエ学校の生徒によるマラーホフ版『パキータ』が、上演されました。
1か月の練習期間でしたが、コールドバレエの仕上がりが素晴らしく、またマラーホフから、今回の『パキータ』のエトワール第一キャストに抜擢されたウラーダ・コヴァレンコンは、キエフグランプリ2016で第一位にもなり今後が楽しみなダンサーです。
ガラには、ウクライナ大統領夫人も訪れ、素晴らしい公演になりました。
3月17日
キエフ国立オペラ劇場で、ヤナ・サレンコをゲストに迎えて『白鳥の湖』が上演されました。
最近は、なかなか満席になることが難しいのがオペラ劇場の現状ですが、この日は早々と完売していました。バレエ団の団員のダンサーたちが大勢袖から見守る中、独特の緊張感がある素晴らしい公演になりました。
ヤナとはベルリンでずっと一緒に踊ってきたのですが、キエフで見る彼女はもちろん初めてで、ベルリンにいる時とはまた違う角度から見ることができました。
キエフではヤナはスター的存在となっていました。最近では英国ロイヤル・バレエ団にゲストプリンシパルとして出演したり、ますます輝きを増す彼女。『白鳥の湖』はロシア版でとても懐かしく嬉しい気持ちになりました。
4月1日から10日
ロシアのサンクトペテルブルクでマリンスキー国際フェスティバルが開催されました。
4月1日は、ディアナ・ヴィシニョーワの冠公演で、彼女のバレエ学校時代から信頼する名教師リュドミーラ・コワリョーワに捧げる公演となりました。
世界で活躍するコワリョーワ先生の教え子が、ボリショイ劇場、ウィーン国立歌劇場、ダンチェンコ音楽劇場バレエなどからマリンスキー劇場に集まり、豪華キャストの素晴らしい公演となりました。
ウラジミル・マラーホフも援助出演し、ディアナと昨年夏に世界バレエフェスティバルでも踊った「オールド マン エンド ミー」を踊りました。
コワリョーワ先生は、私も13歳の時からお世話になっていて、妥協しないバレエの為に人生を捧げているような素晴らしい方、心が熱くなりました。
今後も今のままのエネルギーで素晴らしい生徒を世界に送り出してくれることと思います。
10日には、現地でファイナルガラを見ます。(来月にレポートいたします。)
4月8日
ノルウェー国立バレエ団がベルリンで客演しました。
「GHOSTS」
原作:HENRIK IBSEN'S "GHOSTS"
音楽:NILS PETTER MOLVÆR
ディレクター:Marit Moum Aune
振付:Cina Espejord
70分、1幕物バレエ。2014年の9月にノルウェーで初演され、今回は今回初めて国外で上演された作品です。
コンテンポラリーとネオクラッシックの要素を巧みに用いて、2つの家族関係を見事に描きあげていました。ダンサーも役者として、そして踊り手としてクオリティーの高い人がそろっていて見ごたえがありました。
(C)Emi Hariyama
4月8日
ベルリンフィルハーモニーにて、小澤征爾指揮のコンサートを聞きました。
天から何かが舞い降りたような感覚が身体をよぎり、観客とフィルハーモニーの演奏家、小澤氏が一体になり素晴らしい雰囲気のコンサートでした。
この日、小澤征爾さんは世界最高峰のオーケストラとも言われる、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団から、長年楽団と深く関わってきた「名誉団員」の称号が贈られました。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は、指揮者の小澤征爾さんが8日から始まるコンサートでベルリン・フィルを指揮するのを前に、「名誉団員」の称号を贈ったと発表しました。ベルリン・フィルは声明で、「小澤さんが懸け橋となり、日本はベルリン・フィルにとっての第2の故郷になった。数多くの音楽を楽団に取り入れ、新たな発見を何度ももたらしてくれた」と、その功績を高く評価しました。
私も今後、「架け橋」的な存在になりたいという思いが数年前からあります。
芸術文化、海外と日本の架け橋に1つでも貢献出来ることがあれば活動して行きたいです。
私は、5月21日、23日、26日にベルリンフィルハーモニーのバイオリン奏者とコラボ公演コンサートを日本で開催します。
この様な活動も今後続けて行きたいと思います。
先月と今月はコンクールで審査員を務めさせていただく機会がありました。
色々な国で舞台を見たり、また全幕作品を踊ってきた経験から感じる事の一つ。
数分のバリエーションの中でもその作品の情景や雰囲気が伝わってくるような、そんな素敵な踊りが見れるときは本当に嬉しく思います。
やはり身体から溢れるような喜びが、踊り、ダンスから感じられるバリエーションは本当に素敵だなと思います。また若いバレリーナの皆様の素晴らしい踊りを見る機会を楽しみにしています。
私もコンクールから学ぶ事がたくさんあります。
今後も色々と勉強していきたいと思います。
キエフ
今月は、ベルリンからロシアへ、そしてラトビアをまわりまた月末に日本に行く予定です。
5月には、ベルリンフィルハーモニー奏者と共演、自分でプロデュースさせていただいている公演も日本であります。
またレポートいたします。
インタビュー & コラム
針山 愛美 Emi Hariyama
13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。
1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
◆Emi International Arts
◆針山愛美のバレエワールド