あっという間に過ぎ去った2015年

お世話になった方々には本当に感謝の気持ちでいっぱいでございます。ありがとうございました。

暖冬の日本とはうってかわり、1月、ベルリンは一面の銀世界。冬本番で2016年の幕開けです。
2016年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

先月は、バレエ公演と研修のツアーで12月12日から20日に渡り、ラトビア、スウェーデン、エストニア3カ国を回ってきました。
世界文化フェスティバルに参加するために、半年位前からオーガナイズし、テロの脅威などが心配される中無事に公演を終えることができました。
日本から参加してくださった皆様と、アメリカから来てくださった子供達がラトビア現地で初めて対面し共演しました。

ベルリン Photo:Emi Hariyama

ベルリン Photo:Emi Hariyama

12月12日
日本を出発。
ラトビア現地で全員集合。着いた直後に、各国民族舞踊を披露するパーティーが行われ、世界から集まった子供たちが様々な衣装を着て踊っていました。文化の違いを見ることができ楽しかったです。

12月13日
さっそく午後5時から本番でした。
朝にホテルでオープニングとフィナーレをリハーサルし会場へ。
オープニングとフィナーレは、私が音楽を事前に選び、日本、アメリカ担当箇所を分け各地で振り付け。
私は日本からの参加者のために振り付けをし、アメリカの子供たちはアメリカで振りを作って来て本番当日の朝に初通し稽古しました。
当日の昼からリハーサルの前に、音合わせ、照明合わせを担当し、スムーズにリハーサルをすることが出来、そのまま本番。各自踊りたいと希望してくれたバリエーションを中に盛り込みながら、全体作品として数人ずつ日本的な作品も発表しました。
無事に終えることができましたが、参加してくださった皆様の素晴らしい集中力で、とても素敵な公演になりました。

Photo:Emi Hariyama

Photo:Emi Hariyama

Photo:Emi Hariyama

Photo:Emi Hariyama

12月14日
朝にラトビアを出発し大型客船でストックホルムまで。船の中で本番を行いました。
船内揺れる中の円形のステージで踊る事は、まずできない経験だと思います。そんな条件の中でも皆本当に素敵な笑顔で踊りました。
お客様は、船内でドリンクを楽しみながらの鑑賞。素敵な雰囲気でした。

12月15日
船内で一泊し、ストックホルムに朝到着。
ストックホルムでは、タイムリーにノーベル博物館など訪れることができ、今年受賞された2名の日本人、大村氏と梶田氏がサインされた椅子や、受賞者の作品なども見ることができました。
そして再び、客船に戻りリガへ。
船内で連日の本番です。この日の乗客は900人でとても賑わっていました。観光を1日した疲れも見せず、素晴らしい踊りを披露してくれました。
やはり連日舞台を経験すると言うのは色々な意味で成長出来るようで、1人1人が、個性的な表現を日々する様になって来ました。
海外で、型のの無い自由な自身の表現を身につけ、踊りを楽しんで欲しいというのが私の願いです。

ストックホルム Photo:Emi Hariyama

ストックホルム Photo:Emi Hariyama

ノーベル博物館 Photo:Emi Hariyama

ノーベル博物館 Photo:Emi Hariyama

12月16日
ラトビアに戻ってきて、そのままラトビアの世界遺産を観光し、夕方からラトビア国立バレエ学校のレッスンを生徒達と一緒に受けました。そして学校公演準備中のリハーサルも見せていただくことができました。
バレエ学校はラトビア国立ですが、旧ソビエト時代の香りを残すワガノワメソードでのレッスン。床は斜めの傾斜があり、懐かしい雰囲気のスタジオ。
生徒達は、やはり基礎に忠実にレッスンを行い、リハーサルでは「サタネラ」のパ・ド・ドゥなど高度な作品を見せてくれました。まだ弱いですが、ラインが美しく将来的楽しみな生徒達でした。

バリシニコフもこのバレエ学校出身 Photo:Emi Hariyama

バリシニコフもこのバレエ学校出身
Photo:Emi Hariyama

リガ  Photo:Emi Hariyama

リガ 世界遺産街並み Photo:Emi Hariyama

リガ  Photo:Emi Hariyama

リガ Photo:Emi Hariyama

ラトビア国立バレエ団で、今回参加した方の中から大人の方々はレッスンを受けさせて頂き、子供達は見学させて頂きました。バレエ団のディレクター自ら教えるレッスン、素晴らしい機会でした。
皆背が高く、ラインが美しくそして強い。アンデオールが完璧なダンサーばかりでした。
その後「ラ・バヤデール」のソリストのリハーサルを見学し、オペラ劇場の館内ツアーを1時間程。
ステージで写真を撮ったり、楽屋から劇場内のステージ、スタジオなど色々普段は見れないところまで見せて頂きました。
夕方からは、バレエ団の先生を特別にお呼びし、日本人とアメリカから参加の皆の為の特別レッスン。熱のこもったエネルギー溢れるレッスンでした。振りは、ワガノワメソードにプラスしてヨーロッパ風でもあり勉強になりました。

リガ劇場 Photo:Emi Hariyama

リガ劇場 Photo:Emi Hariyama

バルト海 Photo:Emi Hariyama

バルト海 Photo:Emi Hariyama

12月18日
大型リムジンバスでエストニアへ。ラトビアから30名ほどバレエの子供たちと一緒にエストニアまで走ること3時間。
現地の小さな劇場でしたが、とても暖かく素敵なコンサートでした。
現地ではエストニアのバルト海が一望出来る海岸も見て、ラトビアに帰国しました。
あっという間の1週間でしたが普段できないような素晴らしい経験をして帰国することができました。

「2015年」
この1年で私が強く思ったことの一つ、本当の幸せとは?
バレエを通して学んだ事ですが、人生において本当に大切な事は何か?
私が20数年前にボリショイバレエ学校に留学し、ペレストロイカの真っ只中にモスクワに居たときのことを思い出したしました。
物がなくても幸せな気持ちになったあの日のこと、その日を無事に生きて終えられた感謝の気持ちを。
東ヨーロッパや、ウクライナ、キューバなど私が今年訪れた場所の中には、決して今恵まれた環境にあるとは言えないところもあります。それでも、人々は本当に幸せそうな笑顔で過ごしていました。
今回の公演に訪れた時にも、エストニアでは各家庭で作ってきた民族料理を振る舞って下さったり、帰るときには涙を流して別れを惜しんで下さったり、そういう小さなことが私の胸に暖かく残っています。
振り付け指導などで数回訪れたウクライナでは、ロシアとの厳しい情勢の中でもバレエ学校、バレエ団では日々ダンサーが真剣な眼差しでリハーサルし、お客様の前で笑顔で感動を与えていました。
夏に訪れたキューバでは、涙が出てくるぐらい胸が熱くなり、人間としてのどうあるべきかということについて深く考える機会に恵まれました。
2016年、今年も架け橋になるべく存在として皆様のお役にたつような活動もしていければと思っております。


リガ Photo:Emi Hariyama

リガ Photo:Emi Hariyama

来月は、ヨーロッパから様々な舞台情報をお届けします。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi International Arts
針山愛美のバレエワールド

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