ジョン・マクファーレンの鮮やかな色彩と絢爛の美術で "魔法世界の輝き" を感じさせる舞台、多くの日本出身のダンサーたちが踊る

香月 圭　text by Kei Kazuki

日本出身のダンサーが多く活躍する英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ（BRB）。7年ぶりとなった日本公演では、6月21日、東京文化会館での『眠れる森の美女』終演後、ファースト・ソリストの栗原ゆうがプリンシパルに指名されたことも記憶に新しい。BRBで上演されるピーター・ライト版『くるみ割り人形』には、プリンシパルの平田桃子、水谷実喜、栗原ゆうが金平糖の精役で、ファースト・ソリストの伊藤陸久が王子役、ソリストの淵上礼奈がクララ役で登場する。ファースト・アーティストの杉浦優妃が雪の精に扮した2024年の舞台写真が示すように、彼女がどのように配役されるかも楽しみだ。

1990年のピーター・ライト版『くるみ割り人形』では、ヒロインの少女クララは不思議なくるみ割り人形を魔術師のドロッセルマイヤーから贈られる。ゲストが全員帰った後、プレゼントを探しにこっそり階下へ降りたクララは、恐ろしいネズミの王様と対面する。くるみ割り人形とおもちゃの兵隊たちとの戦いで、ネズミの王様が倒されると、クララはくるみ割り人形と共に魔法の冒険へと連れ出されます。舞い散る雪の結晶の中を旅し、魅惑的な王国へとたどり着き、そこで彼女は金平糖の妖精に変身する。ジョン・マクファーレンの装置・衣装は豪華絢爛で色彩が濃く、セット変化がダイナミックになっている。19世紀ドイツを写実的に再現し、ノスタルジーを感じさせた英国ロイヤル・バレエ版のジュリア・トレヴェリアン・オーマンのデザインより "魔法世界の輝き" が強い。ドロッセルマイヤーも謎めいた魔術師となっている。

ロンドンを拠点としていたサドラーズ・ウェルズ・ロイヤル・バレエを前身としていたが、1990年、バーミンガムに移転し、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ（BRB）と改名した。芸術監督のピーター・ライトは、BRBを温かく迎えてくれたバーミンガム市への敬意を表して、新版『くるみ割り人形』を制作した。1990年の初演では、プリンシパルの吉田都が金平糖の精を演じている。バーミンガムなどイングランド中部ウェスト・ミッドランズの祝祭シーズンを彩る恒例パフォーマンスとして定着している。

英国バーミンガム・ロイヤル・バレエでは、11月21日にバーミンガム・ヒポドロームで『くるみ割り人形』を鑑賞したバレエ団初代総監督ピーター・ライトの99歳の誕生日を盛大に祝った。6月18日にはバーミンガムで「ピーター・ライト卿生誕100周年」ガラが開催される。ピーター・ライトが同団のために手がけた『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『コッペリア』『ジゼル』といった名作のハイライトと、クルト・ヨース作『緑のテーブル』が上演される予定となっている。バレエ・ヨースに2年ほど在籍したライトにとって『緑のテーブル』は彼のお気に入りの作品の一つだという。

photo credit Johan Persson

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