【くるみ割り人形で世界1周】ニューヨーク・シティ・バレエ New York City Ballet
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子供たちが大活躍する『ジョージ・バランシンのくるみ割り人形』がクリスマスのニューヨークの街を彩る
香月 圭 text by Kei Kazuki
ニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)
『ジョージ・バランシンのくるみ割り人形』
George Balanchine's The Nutcracker®
振付:ジョージ・バランシン
美術:ホレス・アーミステッド(1954年)、ルーベン・テル=アルトゥニアン(1964年)
主演:メーガン・フェアチャイルド、ジョゼフ・ゴードンほか(2024年)
2025年11月28日~2026年1月3日 リンカーン・センター内デイヴィッド・H・コーク・シアター
https://www.nycballet.com/

Students from the School of American Ballet in New York City Ballet's production of George Balanchine's The Nutcracker. Photo credit: Erin Baiano
ニューヨーク・シティ・バレエの『ジョージ・バランシンのくるみ割り人形』は、1幕で主役の少女マリーとドロッセルマイヤーの甥→くるみ割り人形→王子となる少年、マリーの弟のいたずらっ子フリッツ、マリーの友人たち、そしておもちゃの兵隊たちと子どもたちが活躍する。ねずみたちとおもちゃの兵隊の戦いのシーンの前に、クリスマス・ツリーが5メートル弱から12メートルほどにまで、大きくなる仕掛けが見どころのひとつとなっている。2幕では、プリンセスとなったマリーがくるみ割り人形から王子に変身した少年に誘われて、カラフルなお菓子の国を旅して回る。90人のNYCBのダンサー、62人の演奏家に加えて、NYCB付属校のスクール・オブ・アメリカン・バレエ(SAB)から125人以上の子供たちが2つの交代キャストで出演する、ニューヨークの冬のホリデーシーズンにふさわしい華やかな作品となっている。2019年にシャーロット・ネブレスCharlotte Nebresが黒人初となる主役の少女マリー役を務め、2023年の公演では、池神和奏が日本人初のマリーを演じて話題となった。

New York City Ballet's production of George Balanchine's The Nutcracker. Photo credit: Erin Baiano

New York City Ballet's production of George Balanchine's The Nutcracker. Photo credit: Erin Baiano

Isabella LaFreniere as the Sugarplum Fairy in New York City Ballet's production of George Balanchine's The Nutcracker. Photo credit: Erin Baiano
金平糖の精は、21年間この役を踊ってきたメーガン・フェアチャイルドほか、近年はプリンシパルのユニティ・フェランやベテランのタイラー・ペック、サラ・マーンズ、パンデミック以降にプリンシパルとなったエマ・フォン・エンク、インディアナ・ウッドワード、ミラ・ナドン、エミリー・ゲリティ、ミリアム・ミラーなどが務めている。グラン・パ・ド・ドゥで金平糖の精のパートナーとして踊るカヴァリエ(騎士)役には、「バレエ・アステラス2025」にも出演したチャン・ウェイ・チャンや「The Artists -バレエの輝き-」で2023年に来日したローマン・メヒアのほか、男性プリンシパルでは古参のダニエル・ウルブリヒト、タイラー・アングル、アンソニー・ハクスリー、テイラー・スタンリー、中堅のジョゼフ・ゴードン、ピーター・ウォーカーなどが配役されていたのが昨年来の傾向となっている。今年2月にプリンシパルに昇進したギルバート・ボールデン3世、昨年は、カヴァリエ役のほか、マザー・ジンジャーやねずみの王さま、マリーとフリッツの父、シュタルバウム博士を演じるなど、八面六臂の大活躍だった。

Indiana Woodward as Dewdrop with the Company in New York City Ballet's production of George Balanchine's The Nutcracker. Photo credit: Erin Baiano

New York City Ballet's production of George Balanchine's The Nutcracker. Photo credit: Erin Baiano
バランシン振付『くるみ割り人形』は、ニューヨーク・シティ・バレエが1948年に設立されてから6年後の1954年2月2日に初演され、高い評価を得た。金平糖の精役はバランシンの3番目の妻だったマリア・トールチーフ。ニューヨーク・シティ・センターの共同創設者の一人、モートン・バウムからジョージ・バランシンにストーリーのある全幕バレエを振付するよう依頼されたバランシンは、当時はアメリカの観客にあまり馴染みのなかった『くるみ割り人形』を選び「原曲に立ち返りカットされた部分を修復し、物語の展開においてはE.T.A.ホフマンによる原作を用いた。ただ、マリインスキー劇場で上演されたダンスのアウトラインはそのままにした」("Balanchine's Complete Stories of the Great Ballets" 1977)と自著で回顧している。それ以来、『くるみ割り人形』はNYCBのクリスマスの定番となり、今では年間10万人以上が鑑賞する、業界で最も安定した興行収入を誇る作品となった。バランシン版の人気は国境を越えて、現在、このヴァージョンを上演している劇場は世界各地に広がっている。舞台美術はホレス・アーミステッド(1954年)、ルーベン・テル=アルトゥニアン(1964年)が手がけた。衣裳はカリンスカ。

New York City Ballet's production of George Balanchine's The Nutcracker. Photo credit: Erin Baiano
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