【くるみ割り人形で世界1周】イングリッシュ・ナショナル・バレエ

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2025/12/ 5掲載

エドワード朝の暗い夜のロンドンからカラフルでポップな「お菓子と喜びの夏の国」への転換が鮮やか

香月圭　text by Kei Kazuki

イングリッシュ・ナショナル・バレエ English National Ballet
『くるみ割り人形』Nutcracker

振付：アーロン・S・ワトキン、アリエル・スミス
美術：ディック・バード
主演：加瀬栞、大谷遥陽、鈴木絵美里、仲秋連太郎、渕山隼平、エリック・ウルハウスほか

2025年12月11日～2026年1月11日
ロンドン・コリシアム
https://www.ballet.org.uk/production/nutcracker/

Rhys Antoni Yeomans as the Nutcracker Doll in English National Ballet's Nutcracker by Aaron S. Watkin and Arielle Smith © Johan Persson

2023年よりイングリッシュ・ナショナル・バレエ（ENB）芸術監督に就任したアーロン・S・ワトキンは、2022年にオリヴィエ賞を受賞した若手振付家アリエル・スミスと2024年に『くるみ割り人形』を新制作した。これは75年のENBの歴史の中で、2010年から上演が続いてきたウェイン・イーグリング版に続いて、11番目のプロダクションとなる。20世紀初頭、エドワード朝の暗い夜のロンドンの街並みから、カラフルでポップな「お菓子と喜びの夏の国」への転換が鮮やかで、クリスマス・シーズンに華やぎを添える。舞台美術と衣裳は、新国立劇場バレエ団の吉田都演出版『ジゼル』やスターダンサーズ・バレエ団『くるみ割り人形』『雪女』『ドラゴン・クエスト』などでおなじみのディック・バード。

ENBもまた、日本出身ダンサーの活躍が顕著だ。新制作の『くるみ割り人形』では、金平糖の精にリード・プリンシパルの加瀬栞、ファースト・ソリストの大谷遥陽と鈴木絵美里（ファースト・ソリスト）が予定されている。氷の女王を演じるのは、鈴木絵美里と杉浦杏理（ファースト・アーティスト）。くるみ割り王子には仲秋連太郎（ファースト・ソリスト）と渕山隼平（ファースト・アーティスト）、金平糖の騎士にはエリック・ウルハウス（ファースト・ソリスト）が予定されている。

James Streeter as the Rat King in English National Ballet's Nutcracker by Aaron S. Watkin and Arielle Smith © Johan Persson

Emma Hawes as Sugar Plum Fairy and Aitor Arrieta as Sugar Plum Cavalier in English National Ballet's Nutcracker by Aaron S. Watkin and Arielle Smith © Johan Persson

ロンドンの屋根裏の秘密の工房。風変わりな玩具職人ドロッセルマイヤーは、幼い王子様のような人形をくるみ割り人形に変身させている。階下の「お菓子と喜びの店」を訪れたクララは、くるみ割り人形に目を留める。その夜クララの家で開かれたクリスマス・パーティーにドロッセルマイヤーが贈り物をもって現れ、クララにくるみ割り人形を贈る。賑やかな雰囲気の中、魔法の砂糖菓子を味わっているうちに、クララはくるみ割り人形が生き返る幻覚を見る。そして彼女が目を覚ますと、等身大になったくるみ割り人形とねずみの王が戦っていた。クララがねずみに致命傷を負わせると、くるみ割り人形は王子の姿に変身し、クララを冒険の旅へと誘う。王子はクララを、氷の女王イゾルデが治める冬の国へ連れて行き、その後、「お菓子と喜び」の夏の国へと誘う。そして二人は金平糖の精（Sugar Plum Fairy）に迎えられる、という良く練られた物語だ。

Ivana Bueno as Clara and Francesco Gabriele Frola as Nutcracker Prince in English National Ballet's Nutcracker by Aaron S. Watkin and Arielle Smith © Johan Persson

Anna Nevzorova as Ice Queen and English National Ballet dancers in Nutcracker by Aaron S. Watkin and Arielle Smith © Johan Persson

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