【くるみ割り人形で世界1周】英国ロイヤル・バレエ
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観れば心が温まるピーター・ライト版、多くの日本人ダンサーが出演するコヴェントガーデンのクリスマスシーズン
香月 圭 text by Kei Kazuki
英国ロイヤル・バレエ The Royal Ballet
『くるみ割り人形』The Nutcracker
振付:レフ・イワーノフに基づき ピーター・ライト
美術:ジュリア・トレヴェリアン・オーマン
主演:金子扶生、ウィリアム・ブレイスウェルほか
2025年11月22日~2026年1月5日
ロイヤル・オペラ・ハウス(ロンドン)
https://www.rbo.org.uk/tickets-and-events/the-nutcracker-peter-wright-details
ピーター・ライト演出の『くるみ割り人形』は、1984年の英国ロイヤル・バレエ団による初演以来、子供から大人まで魅了し続けている。この作品は、19世紀ドイツのシュタールバウム家で賑やかなクリスマスパーティーが開かれる場面から始まる。ジュリア・トレベリアン・オマーンのデザインは、当時の情景を細部まで豪華に再現したもので、クリスマスツリーの飾りが魔法のように動き出して大きくなるシーンにはワクワクさせられる。

© Alice Pennefather / RBO

© Alice Pennefather / RBO
機械仕掛けの玩具や時計の発明家で、魔術師でもあったドロッセルマイヤーは、かつて王宮に仕え、ネズミの人口の半分を死滅させる罠を発明した。邪悪なネズミの女王は、復讐としてドロッセルマイヤーの甥であるハンス・ピーターに呪いをかけ、彼をくるみ割り人形に変えてしまう。呪いを解く唯一の方法は、くるみ割り人形がネズミの王を倒すこと、そしてある少女が彼を愛することだけだった。ドロッセルマイヤーは甥を救ってほしいという願いを込めて、クララにくるみ割り人形を贈る。真夜中、ドロッセルマイヤーの幻想の世界へ引き込まれたクララは、ネズミたちと戦うくるみ割り人形を応援し、ついにくるみ割り人形は本来のハンス・ピーターの姿に戻る。雪の国に迷い込んだ二人を、ドロッセルマイヤーは二人をお菓子の王国にある砂糖園へと魔法の旅に送り出す。やがて二人は、シュガープラムの妖精と王子様に出会うのだった。お菓子の国の祝宴を堪能したクララは夢から覚める。外に出てみると、見覚えのある若い男性(ハンス・ピーター)とすれ違う。工房に戻ったドロッセルマイヤーの元には甥が帰ってきたのだった。多くの『くるみ割り人形』では、ドロッセルマイヤーが謎めいた人物として登場するが、ライト版では、家族を大切にする一人の人間として描かれる。彼がなぜクララにくるみ割り人形を託したのかが観客にも共感を得やすい筋立てとなっているのは、演劇の国イギリスならでは。くるみ割り人形と全編にわたって二人でずっと一緒に旅を続けるクララは、子供時代を終え、初恋に出会っていつの間にか成長を遂げている。そしてドロッセルマイヤーと甥との再会のシーンで観客は温かい感動に包まれる。

© Alice Pennefather / RBO

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ロイヤル・オペラ・ハウスでの英国ロイヤル・バレエによる580回目の公演となった11月22日の初日には、ピーター・ライト卿の99歳の誕生日と英国ロイヤル・バレエとバーミンガム・ロイヤル・バレエでの彼の功績を祝った。この日は金子扶生が金平糖の精、ウィリアム・ブレイスウェルが王子役を務めた。中尾太亮は1幕の兵士役と2幕の中国の踊り、桂千理は1幕のヴィヴァンデール、2幕の花のワルツでは前田紗江が薔薇の精、リードには佐々木万璃子が出演した。
マリアネラ・ヌニェスはワディム・ムンタギロフと組んで11月26日ソワレに主演予定。前田は12月20日に金平糖の精でチョン・ジュンヒョクを王子役として共にデビュー予定(12月27日にも主演)。佐々木は金平糖の精をレオ・ディクソンと踊る(12月22日マチネ、12月30日マチネ)ほか、イザベラ・ガスパリーニの代役でも金平糖の精を演じ、王子役のジャコモ・ロヴェロと共演する(11月26日マチネ)。11月27日と12月1日にはサラ・ラムと平野亮一が主演、中尾太亮がハンス・ピーター/くるみ割り人形を演じる。高田茜とジョゼフ・シセンズの主演コンビとハンス・ピーター/くるみ割り人形役のアクリ瑠嘉は12月3日、12月12日に登板。崔由姫とヴァレンティノ・ズケッティは12月4日マチネに主演予定。12月4日ソワレの金子扶生とウィリアム・ブレイスウェル主演日には五十嵐大地がハンス・ピーター/くるみ割り人形役で登場する。12月8日には、金子扶生がアナ=ローズ・オサリヴァンのカバーでマシュー・ボールと共演する。前田紗江は12月31日と1月3日マチネ、千秋楽の1月5日にクララを演じる。12月30日ソワレと1月3日マチネにはアクリ瑠嘉がミーガン・グレース・ヒンキスと主演コンビを務める。

© Alice Pennefather / RBO

© Alice Pennefather / RBO

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