幕間(まくあい)

まくま、と読んでしまった方。それは私です。
「まくまに○○で落ち合いましょう」なんて頻繁に使ってましたし、通じてしまっていたしで、しばらく誤用だと気付かなかったのです。

幕間とは、英語でいうとintermission。芝居などパフォーマンス上演中にある休憩時間のこと。もともとは歌舞伎用語で場面が終わって幕が下りたときから次の幕が開くまでの間を指します。大体20分ほどでしょうか。歌舞伎では長いときはお食事タイム込みで40分ということも。ちなみに「幕の内弁当」は幕間に食べることから呼ばれるようになったわけです。

幕は時間の経過、物語の進行のために閉めたり開けたりするものと思っていましたが、それは西洋文化の考え方らしいです。日本では「空間」を区切るもの。舞台と客席を一つものとする舞楽以来の日本芸能では、幕の存在はむしろ楽屋と舞台を区切るためとして重視されてきたそうです。

休憩中は楽しいですよね、観る側は。ドレスアップした人々を見かけるとそれだけでもうきうきするし、ロビーで軽く何かをつまみながら感想を語らうのも観劇の楽しみです。お手洗いタイムを取るのも忘れちゃいけません。しかし、舞台裏は次の幕開きに向けて進行が途切れることなく、着替えやら美術セットの配置転換やら照明チェンジやら、出演者スタッフは走り回る時間です。間(ま)を国語辞書で引くと、「ことをうまく運ぶためにある時の流れ」といった意味が載っていました。幕と幕の間は、舞台進行上必要だし、観客ものんびり楽しむためには必要な時間。せりふの間が悪いと作品全体がまずくなるように、間が良いことはさまざまな局面で役立つはず。「間」は大切と肝に銘じて、上手な間の置き方、取り方を身につけたいものです。

 

[解説]
文葉

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