ハムストリングス(英/hamstrings)

うーさむさむ。暦の上で一番寒い時期を迎えました。踊る前はストレッチを念入りに行って、硬直している筋肉を温めておきましょう。一番意識するべきは、ハムストリングス。バレエのレッスン中などにこの言葉、耳にしたことありませんか。踊るのにとっても重要な筋肉たちなのです。大まかに言うと太ももの裏側の筋肉群のこと。大腿二頭筋(長頭・短頭と二つに分かれています)、半腱様筋、そして半膜様筋とで構成されています。どこ?と思われる方、座って膝をそろえて伸ばし、背筋を伸ばしたまま上半身を傾斜させてみて。太ももの裏側がちょっと「ぴきっ」となるでしょう。そこがハムストリングスです。骨盤と膝関節をつないでいて、股関節・膝関節を屈伸させたり、大きく足を振り上げたり、脚を持ち上げたりするのに必要です。

足蹴りするような格闘技にも必要のようですが、他のスポーツでは鍛えられにくい筋肉のハムストリングス。バレエでは常にハムストリングスを使っているから自然と鍛えられます。タンジュ、デガジェ、グラン・バットマン、アラベスク、デヴェロッペ、フラッペ、ポール・ドゥ・ブラ...。脚を動かす以外にも立っている間もハムストリングスをとにかく「伸ばす」。かかとを押して立って、と先生に言われたら、ハムストリングスを伸ばすように意識してみて。あら不思議。自然とかかとで身体を押し上げ、上半身が楽に引き上げられませんか。上半身の力も抜けてくるでしょう。

以前、タンジュの回で、タンジュはバレエの出汁と言いました。旨い出汁は良質の材料から。ハムストリングスを丁寧にストレッチすることで、太ももの前面を使うことなく裏側を上手に使えるようになれます。腰痛予防のためにも、是非レッスン前後にストレッチをしてくださいね。疲れがたまりやすいですし。

トゥシューズを履いておうちでお稽古していて、テレビを蹴り、壊してしまった人がいたとか...。格闘家並みに強い脚力はバレリーナにもあった方がいいと思うけど、くれぐれもモノは壊さないで。

 

[解説]
文葉

ページの先頭へ戻る