ダンスール・ノーブルとダンス・キャラクテール(仏/danseur noble / danse de charactere)

2004年もあとわずかとなり、街はクリスマスシーズンまっさかり、年末年始特有の気ぜわしい雰囲気になってきました。そしてまた、大切な人と観れば温かな気持ちになれそうな『くるみ割り人形』の季節でもあります。王子様とお菓子の国での華麗なダンス。クララ(マーシャ)と一緒に見る甘い夢の世界には欠かせません。ところで、三大バレエ(=02年12月分参照)や『シンデレラ』といったバレエ作品では、王子様と民族舞踊が必ず登場しますよね。ざっくりと言ってしまえば、王子様が「ダンスール・ノーブル」が踊るべき役であり、民族舞踊は「ダンス・キャラクテール」の一つなのです。

「ダンスール・ノーブル」とは、プリマ・バレリーナやソリストのパートナーを務める男性舞踊手のこと。正統派バレエダンサーと解説しているのを目にしたことがありますが、何が正統で何が異端なのか? それはやはり、エレガンスがみそのよう。女性をうまくサポートしてくれ、かつ主役の王子様が似合う気品あふれる優男系が、バレエの王道いわゆる「正統派」ということなのでしょうか。

では異端とは?
ダンス・キャラクテールは、先程挙げたマズルカなどの民族舞踊、『ジゼル』のヒラリオンやミルタ、国王とお后様、道化役のような芝居とマイムで見せる役、『眠り』のブルー・バード、『バヤデール』のブロンズ・アイドルといった超技巧で魅せる役のこと。英国ロイヤルバレエ団には、お芝居の専門アーティスト「Principal Character Artist」が存在します。

バレエ作品では確かにラブロマンスを描くことが多く、私達も話の主軸として楽しんでいます。自分のお気に入りの「王子様」を見に行くことも素敵なことですが、作品に厚み奥行きを与えてくれるダンス・キャラクテールを見に行くことも忘れてはなりません。異端や正統派くずれなのではなく、れっきとした「助演」。高いテクニックや演技力でわずかな時間でお客様を魅了します。おぜんざいにはしょっぱい昆布が箸休めについてくるように、甘さを引き立たせるためには対象的なものが必要なのです(?)。

 

[解説]
文葉

ページの先頭へ戻る