こけら落とし(こけらおとし)

新築された劇場などで行われる初めての興業。劇場のお披露目公演のこと。

かつての劇場は木造の芝居小屋。「こけら」とは木片・木くずのことで、かんなやのこぎりを使ったあとの木くずがそこかしこに散っていたのでしょう。屋根に残った木くずを落成時に払い落としていたことから、落成を祝してかけられるお芝居や興業を指す言葉になりました。
こけら落とし公演は、劇場に足を運ぶお客様へのお披露目パーティーであって、これからこの劇場がどんな方針で運営されていくのかを象徴する演目が企画されます。制作サイドは劇場のカラーをこけら落とし公演で伝えるべく、あれこれ工夫をこらし、地元の住民とコラボレーションをしたり、芸術監督の就任依頼、スペシャルな演出家、振付家、出演者、ダンスカンパニーの来日の調整など、大変な思いをしてプロデュースしているのです。みなさんもあの劇場は実験的なダンス公演メイン、海外からの翻訳物を多くかけるといった、何となくの劇場イメージがあると思うのです。お気に入りの劇場がある方も多いでしょう。こけら落とし公演は演目を楽しんでもらうだけでなく、劇場ファンをいかに作るか勝負の場なんですね。
ちなみに漢字で書くときはご用心。こけらは、「柿」(かき・9画)ではなく杮(8画)です。つまり、つくりの部分が「なべぶたと巾」ではなく、縦棒が一本貫くように書くんですよ。

 

[解説]
文葉

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