解説:文葉

カノン

(英・仏/canon)

 音楽用語。ですが、振付方法にも応用されて使われてますね。カノンとは、パッハベルのカノンが有名ですが、音楽之友社の新編・音楽中辞典によれば、「厳格な模倣による対位法的手法の一種。また,その手法によって作られた楽曲」とあります。模倣のパターンも様々で、基本は「同一旋律を複数の声部が一定の時間的間隔をおいて模倣してゆく」もの。それにも2パターンあって、同じ高さの音での場合と、一定の音程距離を保っていく場合とあります。特殊なカノンとして、反行カノンと逆行カノン。また、模倣される主題や音型を変化させていくものもあります。輪唱もカノンの一種。

カノンの手法を使った楽曲は中世から見られ、バッハの活躍したバロック時代では、対位法の手腕を示すためのに多くの楽曲が作曲されました。振付はというと、バレエ然り、コンテンポラリーダンスでも然り。カノンの手法がよく見られます。バレエの振付でなら、バランシン。特に『シンフォニー・イン・C』など、オープニング・コーダはカノンで踊る。すると、ユニゾンで踊るのとはまた別な印象があるわけです。空間が息づいている力強さというか、華やかさにどんどん高揚させられてしまって圧巻でした。あとは、『ジュエルズ』のダイヤモンド。冒頭のコール・ド・バレエが、時間差で同じ振付を踊るのを見ているだけ(失礼)なのに、ダイヤモンドの永遠のきらめきを見ている心持ちになり恍惚に包まれました。最近では、新国立劇場でのケネス・マクミラン振付『マノン』。快楽を求める女たちが次々に踊りつないでいくと華やかさ倍増。使用音楽のリズムと音が複雑になればなるほど、振付のカノンは生きてくるような気もします。波のように流れる動きを見ていると感情が高まって。振付で逆行カノンなどもあるのかしら。今度は意識して見てみよう。