解説:文葉

オーケストラピット

(orchestra pit)

客席の前側の一部が可動式(セリ)になっていて、上げたり下げたりできるよ うになっている構造。可動式ではなく、固定床だったり、客席床のフタをはず すとオーケストラピットが現れる劇場も。セリ構造の場合、舞台面まで上げて エプロンステージ(せり出し舞台)として使うこともあります。

オペラ誕生のモンテベルディの時代からオケピは存在していたようですが、その時代時代でオケピの構造は変貌をとげます。指揮者が客席を向いていた(!)時代もありました。巨匠リヒャルト・ワーグナーは、自分の作品専用の劇場、バイロイト祝祭劇場を作る際、演出上オケピを消すことを考えます。それまで舞台前にあったものを、舞台の下に入れ込もうと。階段状のピットを作り、また譜面灯をあまり目立たせないようにさせ、その徹底ぶりに演奏者側は苦痛だったんじゃないかと同情してしまいます。その当時音響面はよかったのか? 座席に音響のためにクッションを敷かなかったのに。

劇団四季の四季劇場「春」「秋」のオープン直前、オーケストラピットにたまたま入るチャンスがあって。舞台下にやや隠れるように作られた構造で、孤立した空間に押し込められた感じがした。見えるのは天井、壁、客席、そして指揮台。指揮者は、自分の足近くにいる楽団と頭から見える舞台上のダンサーといっぺんに指揮をしなくてはならない・・・。想像すると結構大変・・・。客席からは頭がぽこっと見えるだけでも、公演を握る大事なお役目なのですね。

やっぱり、生演奏だと嬉しい。感動もひとしおだ。オーケストラピットに譜面灯が灯っているとわくわくする。開演前の練習しているフレーズについ耳を澄ましてしまう。オケピありがとう。