解説:文葉

腕のポジション(仏/ positions des bras)

先月に引き続きクラシック・バレエの基礎固め。腕の使い方のおさらいです。
お叱りを受けることを承知で申しますと、実は、腕のポジションを語るのを避けてきました。なぜなら、ポジションに振られた番号が流派によって大きく異なるから。バレエの流派によって同じ形のポジションでも違う番号で呼んでいて、ワガノワは○番だけどチェケッティではこう…、とすべて覚えるのはナンセンスに感じるのです。番号を正確に覚えるよりも、腕のポーズに名称があればその呼び名と、腕や肩周りの筋肉の使い方を正しくマスターする方が何倍も大切でではないでしょうか。

腕のポジションは7つの形があります。ポジションの番号は一例です。

1)「アン・ナヴァン」en avant… 「前方に」の意。
手のひらを内側に向けた両手を、肘が床を向いてしまわないように左右に張りながら、胃の前辺りで丸くする。中指と中指の間は少し隙間を開けます。腕で少し大きな風船や樹木を包みこむようなイメージ。 ※第1ポジション
2)「ア・ラ・スゴンド」à la seconde… 「二番目の(位置)に」の意。
アン・ナヴァンから左右に腕を開きます。手のひらは身体の正面、前を向けて、腕は開きすぎず、手のひらが視界に入っているように。そして肘と腕全体は丸みを帯びています。 ※第2ポジション
(「ドゥミ・スゴンド」… ア・ラ・スゴンドよりも少し低めに。手のひらを前にしているものと、手のひらを床の方へ向けるものとあります)
3)「アン・バ」en bas… 「下方へ」の意。
アン・ナヴァンをそのまま下ろします。バーレッスンは、このポジションで始まり、このポジションで終わるでしょう。肘を横に軽く張り、丸みを持たせ、指先は太ももにつけることなく、少し隙間をあけます。
4)「アン・オー」en haut… 「上に」の意。
アン・ナヴァンをそのまま頭上へ。アン・バの反対と言いますか、両腕を上方にあげ、丸を手のひらを内側にして丸く、肘は耳の真横ではなく視界に入るように少し斜め前にします。  ※第5ポジション
5) アン・ナヴァンから、片方の腕だけを横へ開いた形。
ア・ラ・スゴンドと同様、横に開くときは、開きすぎず、少し前へ。 ※第3ポジション
6) 5)の横へ伸ばさずにしている腕を頭上へ。 ※第3ポジション
7) アン・ナヴァンから、片方の腕だけ頭上へ上げた形。
アン・オーと同じように、上に持ち上げる腕は少し前に。 ※第4ポジション

これらの形を作るのに、まず肩に注目してみましょう。
バレエを踊るときの約束事で、常に両肩は肩甲骨の辺りからまっすぐ床の方向へ下ろすと同時に、両耳と肩の間を広げるようにして首を長くする。腕全体も肩から指先にかけて伸び出ていくように、少しひっぱります。肩を持ち上げないことが重要なのです。ただし肩甲骨から下ろそうとして、胸を張るように背骨を反って肩を背中へ落としてはいけません。あくまで背骨と頸椎はまっすぐに。顎は突き出さない。肩は自然に。そんなこと言っても、腕を上にあげれば肩は多少上がるものですが、肩、肩甲骨、首まわり、背骨の筋肉を柔軟にしておくことで、上がらないようになっていきます。首を回したり、両手を肩に乗せ、肘を肩の高さまで持ち上げて、肘で円を描いたりと、柔軟体操を積極的に取り入れていきましょう。
次に、腕全体の筋肉の使い方です。まず、手首の辺りを意識して外へ引っ張る。手のひらや手の指を意識される方もいらっしゃるかもしれませんが、手首、もしくは親指の付け根付近を外に外にと意識する方が、腕の筋肉が伸びるのが実感できて、私はお勧めです。さらに上腕(二の腕)と下腕の内側の筋肉も常に意識します。上腕の内側は身体の中へ、下腕の内側は身体の外へ(小指から親指方向へ)回っていくように。
そして、最大のポイントは肘。肘を張ったり、肘をなめらかに動かすと美しいバレエの腕になります。肘が張っていないと、なんだかだらしない印象になってしまいます。
指先はエレガントに見えるよう美しい形を保たなくてはだし、バレエは動かず立っているだけでもいろんな筋肉を使っているんですね。