解説:文葉

ボール 

(英/ball、仏/bal)

紳士淑女が集い優雅な舞踏会が繰り広げられるボールルーム。現在では競技として見せる社交ダンスがメジャーで、映画『ステップ!ステップ!ステップ!』で知りましたがニューヨークの公立小学校に通う子ども達は人種も性別も関係なく、情操教育の一環で社交ダンスがカリキュラムに組み込まれているとのこと。競技としてきれいに踊るためためにステップを覚えることが、人間性を豊かにさせるための勉強につながるなんて、私は目からウロコでした。

ボールルームダンスはもともと、17~18世紀にかけて、ヨーロッパ諸国の宮廷で典礼、儀式などの機会に踊られた宮廷舞踊から派生したものです。バレエも同じく宮廷舞踊から産み落とされたものですが性格が全く違う。バレエは鑑賞用、プロフェッショナルなパフォーマーがいる。ボールルームダンスは集会者同士の交流を楽しむダンス、参加型です。メヌエット、カドリーユなどゆったりとした曲でパートナーとのコミュニケーションを高めるために踊られました。フランス革命後は、軽快なワルツに乗ったダンスが大流行し、数多くの名曲が誕生するのに伴って発展し、今われわれが想像するボールルームダンスが確立されていきました。

ところで、球技のボールと同じなのはなぜなのでしょう。これは偶然ではなく、対立とも関係があるからなのです! ballの語源は、政治的・軍事的対立、戦闘と根深い関係があります。ボールは宮廷が権力を誇示し参加者がそれを祝福する典礼でありながら、そこは政治の世界、内心快く思っていない人がいて参加者同士のいがみ合いが始まってしまう。一時期、ballはbrawl(騒々しい口げんか)とわざと入れ替えて皮肉っていたほどです。19世紀から20世紀の初めは社交の場が決闘で終わることもあったとか。そんな物騒な面と華やかな面と二面性がballにはあるのですね。