解説:文葉

フラッペ 

(仏/ battement frappe)

 正式にはバットマン・フラッペ。バーレッスンの中盤に出てくる足の動き。美しい甲を手に入れられる、バットマン・タンジュ同様とっても重要なエクササイズです。

 準備で動足は横にタンジュをし、かかとを軸足のくるぶしの上に乗せて、足首をフレックス。スュル・ク・ドゥ・ピエにします。そこから床を蹴ってすばやく脚全体を伸ばし、スュル・ク・ドゥ・ピエに戻す。一つのカウントでこれを行います。伸ばすほうにアクセントを付けて、勢いつけて膝を伸ばすと同時に足首、甲、爪先までを糸張ったようにぴん!と張るのを見せるつもりで。前横後ろと各方向に行いますが、後ろは特にアン・ドゥオールをお忘れなく。膝を伸ばしたときに膝が下を向くのは御法度です。準備のときだけでなく、スュル・ク・ドゥ・ピエに戻ってくるたびに、常にかかとを正面へと押し出し、太もも、膝、すね、足首、足先がアン・ドゥオールするように意識していれば、ひざが落ちちゃう事態は起こりません。スュル・ク・ドゥ・ピエでは前・横から軸足を包み込むように、後ろのときはかかとだけを軸足につけて。

 フラッペで気をつけたいポイントはいくつかあるうち、その一番は何と言っても勢いをつけて床を強く打つこと。それまで優雅にバーレッスンを行っていたとしても、このフラッペだけは遠慮せず、「え?こんなに強くいいの?」と戸惑うくらいに足を高速で動かし床を強くたたきましょう。え? 床を叩くなんてはしたない? いえいえ、お行儀の悪いことじゃないのです! むしろ優しくなぞっては膝の屈伸運動にしかなりません。ふたつ目に5本の指全部で床を押し滑らせる。これはタンジュやデガージェ(ジェッテ)と同じです。床を上手に使って足の裏をマッサージすると思って、ほぐれるように足の裏全体を意識してくださいね。最後は足首を最速で伸ばす。足首を伸ばすと自然とよくほぐれた足の裏がきれいに縮まります。

 このフラッペ、甲と足の裏の筋肉強化に効果てきめん。飛びあがる動作に力強さが出るだけでなく、ポワントを上手に履くのに役立ちます。高く飛ぼうとして、上半身ばかり上に上にと伸びあがっても肩が上がってしまうだけ。下から床を押し上げるだけの筋力がなければ、飛びたくても飛べませんよね。プロのダンサーは床と足の裏の間にぽっかり空間ができて、かかとと指しか床についていないくらい、片方の土踏まずから向こうの景色が見える!? 土踏まずがきれいなアーチを描く足を目指しましょう。

 最近の子はスキップができないらしい…。ニュース番組で知り愕然としました。子供の体力向上を呼びかけるための専用のホームページができてしまうくらいなのだから、スキップに限らず体力全般の低下ぶりは深刻に違いありません。忙しくて運動できないのか。遊び方もインドアに変わっているせいか。大人のメタボ撲滅キャンペーンと同じで、体全体を動かす機会は今の生活は自然発生しないから、こうして危機意識が芽生える。私なんて幼少のころはスキップの競走なら負けなかったくらい…というのは大げさですが、スキップが得意と思っていたのはおそらくバレエのおかげかもしれません。バレエは、しなやかで柔らかく、シフォンが舞うようにとろみのある動きが魅力的なのですが、それは足の裏の筋肉が上半身からの圧力を吸収し、床を自在につかんで、押し上げることができるから。プリエをばねにきれいな放物線を描きながら飛び上がり、次の動きへのつなぎをスムーズにするためにも、足の裏を集中してケアしていきたいものです。