解説:文葉

パ・ドゥ・シャ

(仏/pas de chat)

意味は“猫のステップ”。
5番ポジションから前足で踏み切り、空中で両脚を曲げ、後足から下りて5番に着地するパ。空中でつま先が触れ合うように、一瞬ふわりと浮かび上がる。軽やかさが命のパ。
主に横方向での移動は、かわいらしいパ・ドゥ・シャで。縦方向には、グラン・パ・ドゥ・シャです。踏み切るときにルティレが一瞬見えるのですが、ついてくる後ろ足は曲がりません。頂点が両脚を前後180度にまっすぐと開脚した状態。よく、シャッターチャンスとなる有名なポーズです。
ちなみに、パッセを通らず、グラン・バットマンから前へ飛ぶのはグラン・ジュテです。こちらは絶対に膝を曲げてはいけません。地面からすりあげるのです。


馬を描いた絵画ばかりを集めた展覧会へ行ったときのこと。走っている姿を描いたはずの絵の中で、馬は空中に浮かんでました。前足と後ろ足を開いて、それこそ、グラン・パ・ドゥ・シャをして開脚しているところを見せるように。走っているというよりは、空中で止まっているようにしか見えない…。じゃあ、実際、どこが変なのか走っている馬を描こうとしてもうまく描けないのですが、この不自然さは何なんだろう。
馬の走る姿を人間は、その昔、写真や映像の技術が無かった時代、両脚(後ろ足)で踏み切って、両脚(前足)で降りるものとして認識していたようです(人間のすばらしい知覚を持ってしても!)。フィルムが発明され、運動をコマ送りで見ることができて初めて、4本の脚がばらばらに動いているのを確認できたとか。