解説:文葉

クペ(仏/coupé)

フランス語「切るcouper」が由来のつなぎのパです。軸足を取り換える動きです。
たとえば、右足を横方向へタンジュし5番ポジションの前に閉じ、挟みきったとき、軸足だった左足を後ろのシュル・ドゥ・ク・ドゥ・ピエにする。5番ポジションの後ろに閉じ、前のク・ドゥ・ピエになることも。それぞれ「クペ・ドゥシュ」「クペ・ドゥスー」と呼ばれます。また、タンジュしないでその場で軽く跳躍し(ルルベして)片足で降りるときもあります。その例が「クペ・ジュテ」。ジュテを常に同じ足で行い前進するために、クペで踏み替えます。この動きを私たちがよく目にするのは、グラン・パ・ド・ドゥで、主に男性が脚を前後ろに開脚しながら飛ぶのを連続してマネージュする(円を描く)動きの「クペ・ジュテ・アン・トゥールナン」ではないでしょうか。勢いのある連続ジュテのあいだは、回転しながらクペをしているでしょう。

クペについては少し混乱してしまうのです。さまざまな形態の「クペ」に出会うので、クペとは何か…。そこで、譲原晶子氏の論文「「クペ」から見たバレエ史」(『美学』217号、美学会 2004年)を参考に探究。譲原氏は、クペは何を切っているのか、という疑問を研究の一番の動機にしてクペと呼ばれた動きの系譜を実に丹念につまびらかにしています。クペはバレエ史最古のパであって、17世紀から20世紀にかけて「切る」概念をベースに運動形式を変化・派生させてきました。音楽の流れを切るものだったのが、ダンサーのエネルギーをシフトチェンジさせる仕掛けへと。現在のクペの種類が複数あるのはこのためなのでしょう。

何かを「切ろう」って思ってクペしているかしら。強く意識しないまでも、何かは変わっています。軸足が一度交換され、それまで軸足として床についていた足が新しい軸足の足首にシュル・ドゥ・ク・ドゥ・ピエの形で収まることで体重移動が起きて動きにタメが生まれるし、気分的にもスウィングというか、遊びがでてきて楽しい。不思議と踊りの中でアクセントとなって、それまでとは別な流れや勢いを生むポンプのような。つなぎのパだからといって単なるバトンタッチや接着剤の役割なのではなく、続くものをより拡張させることができたり、より強くすることができたり。クペで区切ることは、前の流れの終焉であると同時に新たな流れの誕生、なのですね。